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長編小説『くちびるリビドー』を楽しROOM

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「私がウニみたいなギザギザの丸だとしたら、恒士朗は完璧な丸。すべすべで滑らかで、ゴムボールのように柔らかくて軽いの。どんな地面の上でもポンポン弾んで生きていけるし、水の上ではプカ…
note版は【全20話】アップ済み(【第1話】は無料で開放&解放中☺︎)。全部で400字詰め原稿用紙…
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2020年3月の記事一覧

物語の中で “音楽を” 流したくて。/『くちびるリビドー』創作こぼれ話〈3〉

2015年の日記をひらく(ちなみにそれは石井ゆかりさんの『星ダイアリー2015』)。 “突然またR…

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『くちびるリビドー』第13話/3.まだ見ぬ景色の匂いを運ぶ風(1)

 携帯電話の着信画面に「公衆電話」の四文字が表示されるとき。その相手は、ほぼ100%決まっ…

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『くちびるリビドー』第14話/3.まだ見ぬ景色の匂いを運ぶ風(2)

「やっぱりここでごまソフト食べなきゃ、こっちに来た気がしないよ」 「お昼も過ぎたことだし…

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『くちびるリビドー』第15話/3.まだ見ぬ景色の匂いを運ぶ風(3)

 母と暮らしたマンションを出ることに決めたとき、小泉社長(寧旺の父であり子役時代の事務所…

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『くちびるリビドー』第16話/3.まだ見ぬ景色の匂いを運ぶ風(4)

「悪いけどワタシ、じじいと一緒に風呂に入るなんてゴメンだからさ」と寧旺が言ったのは、レス…

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『くちびるリビドー』第17話/3.まだ見ぬ景色の匂いを運ぶ風(5)

 翌日は快晴だった。きりりと澄んだ十一月の青空は、抜けるように高い。  リビングに下りて…

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『くちびるリビドー』第18話/3.まだ見ぬ景色の匂いを運ぶ風(6)

 夕日を見た、久々に。本物の太陽が本物の海へと呑み込まれていく瞬間を。  語り続ける私たちに「時間」なんてものは存在しなかったけれど、高く晴れ渡った空に真っ白な光を放っていた昼の神は、西に傾くほど巨大化し赤みを帯びながら、確実に私たちの頭上を移動し続けていた。  そして、それを待ち構えるこの海の何者にも媚びることのない厳しさと激しさを前にしていると、嘘の言葉なんて口にするより先に風に吹かれて消えてしまう。沈黙さえ、岩に打ちつける波の音が(それは砂浜に寄せては返す平穏な波音とは

『くちびるリビドー』第19話/3.まだ見ぬ景色の匂いを運ぶ風(7)

「秘密なんて、どこにもないよ」と母は笑うだろう。「ママは単なる『酒の飲み過ぎ』で、肝臓を…

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最終回『くちびるリビドー』第20話/3.まだ見ぬ景色の匂いを運ぶ風(8)

「そういえば……マモルね、このところ体調崩しててさ。お店、閉めちゃってるのよ」  真夜中…

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