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私たちが花を見ると、花はよろこぶ

一月の二週目くらいからしばらく、頭がやたらと元気になっている感じで落ち着かなくて、うっかり気を抜くと物を落としたり、食器を割ったり、コンロの火を消し忘れて味噌汁が煮詰まったり、ゆで卵にちょこっとだけ残っていた殻がじゃりじゃりしてアンニュイな気分になったり(これ、すごい破壊力)と、なんだかふわふわ危なっかしかったので、なるべく静かめに、ゆっくりめに、こまめに方向確認して、深呼吸して~と、ちょっと慎重に過ごしていました。

とにかく思考のテンションが高めで、入ってくる刺激に対してもすぐにイエーイ!と反応しちゃうような感じだったので、あまり興奮するようなものは与えないでおこうと、スマホの電源を切るようにしたり、時間をとって長編映画を観るとか、小説を読むとか、スパンが長めのことをするようにしたりして。ほっとくと、思考だけがものすごく先にいってしまいそうだったのです。

普段よく聴いているポッドキャストや音楽も、頭がくるくるしちゃうのであんまり聴かなかったのですが、なぜかこれだけは聴けたのが、エックハルト・トールの動画でした。
お腹の調子が悪いけど、おかゆなら食べられる!みたいな感じ。

エックハルト・トールは「The Power of Now」で有名になった人なのですが、本のタイトルどおり、話をする時もまさに「いま、ここ」から言葉を届けてくれるので、思考で理解しようとしなくてもすんなり入ってくるし、言葉からつたわる「いま、ここ」にいるあり方(トールはBeingとかPresenceといっています)が、忙しくなっていた頭をすっと静めて、「いま、ここ」にいる感覚を思い出させてくれるのです。

クラニオの先生、ローズマリーのクラスもそういう性質があって、だから、知識や情報をリフレッシュするためもあるけれど、そのあり方を体で感じて思い出すために、何度も見学や再受講をしたくなります。

トールも話しているけれど、「いま、ここ」にいることができたらある意味それだけで、それが言葉であれ、芸術であれ、施術であれ、食べ物であれ、誰かとただ座って過ごすことであれ、何をしていてもそれを通して誰かの「いま、ここ」にふれることができる。どんなあり方でいるか、どこにいるかがいつも大切なんだなと改めて思います。

そんなわけで、家事をしながらとかしょっちゅうトールの動画シリーズを流していたのですが、話の中で素敵だなあと思ったことがありました。

トールはよく、「いま、ここ」にある感覚を思い出すためには、「いま、ここ」にあるものを見るのがいい、といって、花や木を見るとか、犬や猫みたいな動物と過ごすことを勧めています。
その流れで、一つの動画でこんなことを言っていたのです。(どれか思い出せなくて記憶で書いているので、たぶん正確な言葉ではないけれど)

「花は『いま、ここ』を体現しているから、『いま、ここ』の感覚を思い出すために花を見るのはとても役に立ちます。
そして少し詩的な言い方をすると、私たちが花を見ると、花はよろこぶんです。花は、自分が美しいことを知りません。私たちが花や自然のあり方を見て、その美しさに気づく時、はじめて、花や自然は自分の美しさに気づくんです」

海に沈む夕陽とか、変わっていく空の色とかを見るたびに、自然って誰も見ていなくても惜しみなくその美しさをあらわしてくれていて、すごいなあ、ありがたいなあ…と常々、思っていました。でも、私たちがその美しさに気づくことで、自然も自分自身が美しいことに気づくのか、そういうふうに世界に美しさがあらわれていくのか…と思ったら、私たちがそこに向ける意識、きれいだなと感動する気持ちにもちゃんと役割があったんだ、と、嬉しくなりました。

そして、きっと、それはすべてに通ずるのだと思います。
何かが世界にあらわれるのは、体現するものだけでなく、それに気づくものがいるから。

だとしたら、やっぱり、美しいものや、やさしいものに気づいていけたらいいなと思うのです。

美しくないものを目を背けて見ないようにする、というのではなく、何が目の前にあっても、起こっていることがどんなに混沌としていても、悲しかったりおそろしかったりしたとしても、その奥にいつもあるだろうほのかな光みたいなものに気づける、そのスペースを持っていられたら。

自分の外側も、内側も、どちらもそういうふうに見つめていられたらいいなと思います。

ということで、今日も今日とて、エックハルト・トールの声を聴きながら、「いま、ここ」を思い出しています。

ほんとうにたくさん!アップロードしてくれているから、ありがたいです。字幕がついている動画はあまりないけれど、内容が全部わからなくても「あり方」は伝わってくると思います。

本も邦訳が出ているのですが、監修で内容がちょっと変わったりしているみたい、なので、ゆっくりでも原書で読むのがいいかもです。シンプルで読みやすい英語です。


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