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【過去記事】それぞれのお花畑で

 去年から家にいることが多くなって、朝、運動をしている時や、家事をしている時にYouTubeとか、Spotifyのラジオとか、何かを流して聴くことが増えた。

 YouTubeは興味のある動画をいくつも流していると、どんどんそれに近いものを提案してくれる。

 ありがたいのと同時に、こうやってそれぞれの人がどんどん自分の信条や興味に合った情報ばかりを追求できるようになって、これからもっと一人ひとりの世界の見方に偏りが出てくるんだろうなあ、とも思う。

 それがいいことなのか、悪いことなのかはわからない。
 私みたいに基本的に頭が花畑で生きているような人にとっては幸せなのかもしれないけど(Instagramのフィードを見てもほっこりする普通の人の動画とかおもしろい動物の投稿ばかり出てくるし、そういうのを見てよくにやにやしている。平和だ。)、世界はこわいことで満ちていると感じている人にとっては、そういう情報ばかりが集まってきて、もっとこわいのかもしれない。

 ニュースもほとんど見ないし、ソーシャルメディアも(Instagramのほっこりする動画とか以外は)あまり見ていないので、大半の時間をお花畑で過ごしているんだけれど、それでも、もやっとしたり、なんだか不安になるような情報や話にふれることはある。

 今は特にいろんな声が世の中にあふれているし、どの立場からでも、ほとんどの人は自分の信じていることが他の人にも良いことで、世界を良くしていくのだと思って一生懸命、発言している。
 その勢いを感じるからこそ、やっぱり大きな声や強い声を聞くと、心が揺れたり、迷いが起きたりする。
 お花畑でのほほんとしている場合じゃないのかな(いや、お花畑で生きるためにすごく一生懸命生きてるんだけど)、自分にはピンとこないような情報や意見も一応、ちゃんと入れておくべきなのだろうか…なんて思い始める。

 でも、そうやって、がんばっていろんな情報を見始めると、頭が痛くなったり、体がずーんと重い感じになったりして、むむむ、見ておくべきなのかもしれないけど心と体が受け付けないぜ、と、なってしまうのだ。

 なんて、ひとりでもやもやしていたら、この間、『喜びから人生を生きる!―臨死体験が教えてくれたこと』という本の著者、アニータ・ムアジャーニさんの動画がYouTubeでぽこんと上がってきた。

 アニータさんは、若い時にがんになって、何をしてもどんどん症状は悪化して、とうとう手術台の上で死にかけたのだけれど、その時に臨死体験をして、そうしたら、がんがすべて消えてしまった、という経験をした人だ。そして、その時に「向こう側」の世界を見たことで、生きることについての見方がすっかり変わり、自分がそれまでどれだけほんとうの自分から逸れて生きてきたかに気がついて、それ以来、本を書いたり講演をしたりして、自分の体験とそこからの学びを伝え続けている。

 私は数年前に友だちに勧めてもらってアニータさんの本を読んで、全体からあふれるよろこびと命のパワーみたいなものに、すごく力づけられた。

 動画があるなんて知らなかったから(私が知らなかっただけで、だいぶ長いことYouTubeで配信しているみたい)、おお!しゃべってるアニータさんが見られるのね!と、わくわくして見た。

 そうしたら、ちょうど、いろいろな意見や考え方が飛びかっている今、どうあったらいいかという話で、とても参考になった。

 アニータさんの基準はとてもはっきりしていた。
 その情報や意見にふれた時に「恐れを感じるか」「安心して、気分が良くなるか」、それだけで判断したらいい。
 恐れを感じる声には耳を傾けなくていいし、反応して説明や反論をしようとする必要もない。それをやろうとすると、自分までが同じ言葉を話すことになるから。
 ただ、自分が、自分の体がどう感じるかに注意を向けて、ほっと気分が良くなるような考え方だけを取り入れて、そう感じさせてくれる人たちだけを周りに置いておけばいい。

「それが誰の声であっても、それが医師であっても、自分の中の恐れを刺激するような声は絶対に聴かなくていいのです。『もう治りません』と言われて自分の中に嫌な感じがしたら、それを信じる必要はない。『私はまだ生きていく』と考えた方が心地よいのなら、かならずそれを信じること。そして、それを信じる人たちとだけ過ごすこと」

 自分が実際にがんになって治療を受けた体験もあるアニータさんの言葉だからこそすごく説得力があって、ああ、それでいいんだ、と思えた。

 偏っていても、いいんだ。
 というか、偏らないことが、たぶん無理なのだ。

 無理やりしっくりこない情報をシャットアウトしたりする必要もないけれど、がんばって目を通そうとする必要もない。知るべきことは、きっとちゃんとやってきてくれる。
 だから、それぞれの人が自分の体の声をしっかり聴いて、一生懸命、自分の気分のいいところにいるのが一番だ。

 誰かの声に恐れを感じたら、もやっとしたら、無理に耳を傾けることもないし、その声を変えようとしたり、攻撃する必要もない。
 ただ、静かにそこから離れて、自分の心地良い場所に行く。
 花を植える。寝転がって、のんびりする。

 そうやって、それぞれの人がそれぞれのお花畑を楽しんでいたら、隣同士は自然に仲良くなるかもしれないし、遠くにいる人とはだんだんふれあわなくなるかもしれない。

 それで、そのうち、結局は世界中が大きなひとつのお花畑でつながっていくんじゃないかな。それでいいな、それがいいんだな、と、思う。

https://www.youtube.com/watch?v=blihNqUpIXE&feature=emb_title

アニータさんの動画。他にもたくさんあります。
英語もはっきりして聞きやすいです。

別アカウントに書いた2021年7月1日の記事を再投稿しました。

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