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善意と悪意の境界線

 久しぶりの更新になってしまった。少しだけ体調を崩したが今は元気だ。
ここ最近、とあるドラマを続けて観ていた。以前に〈オトナの土ドラ〉として放送されていた作品で『火の粉』というタイトルだ。話数は全9話。放送当時もその得体の知れない男・武内(演:ユースケ・サンタマリア)の表情や行動が怖すぎると話題になったようだ。彼のような男が隣に越してきたら本当に恐ろしいと感じた。度が過ぎる善意はもはや悪意だという事だろう。

 でも、僕たちは知らないうちに『誰かに認められたい』や『感謝されたい』などという思いを持ってしまうことがある。人間はとても脆く厄介だ。
その思いが何かのきっかけでドロドロと溢れ出してしまったとき事態は急転するのだろうか。亡き母を忘れることができず、彼女の教えを守ろうとするあまりに自己愛が強すぎて、結果、愛してくれたはずの周囲の人たちを傷つけてしまう。見返りを求めるから、破滅へと向かってしまうのかも知れない。武内という一人の男を通して、僕自身にも通じるかもとハッとした。

人を裁くって、ものすごく怖いことなんだな

 とある過去の裁判と判決がキーになっているが、この作品を観るとやっぱり裁判員裁判って怖いなと思った。一般人が文字通り「人を裁く」のだから。下手をすれは被告人に恨まれるかもしれないし、身内に危害が及ぶかも知れないと思うと、そこまでの責任が負えるのかという気になってくるよ。
あと、もうひとつ怖いと思ったのは『人間の思い込み』だ。人は優しくされたり自分の味方だということを実感すると「あの人がそんなことするわけない」や「あの人に限って、そんなはずはない」という具合に信じてしまう。

その火の粉はいつふりかかるか分からない

 もちろん、最初から疑うのもあまり良い事ではないが、信じ込むのも問題だろう。人は簡単に被害者にも加害者にもなり得るということなのだろう。見た目ではわからない。これが結構、厄介なのだ。火の粉は突然飛んでくる。放送当時も観ていたはずだが、あらためて観てみると新たな発見もある。色々と教訓となることも多かったなと思う。観始めるとクセになった。

 ユースケ・サンタマリアの得体の知れない目や表情の芝居は一級品だ。


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