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「もう全部平凡で良い」と、友に言われたあの日から。

私より一回りほど若い彼は、
20歳の誕生日に、
そう話してくれた。


あれから私も、
言葉をさほど綴らなくなりました。
元々そんなに書きたいことなど
なかったのかも知れません。

現状にさほど文句を言わなくなりました。
元々そんなに思い悩んでは
いなかったのかも知れません。

友の一言をきっかけとして
生きる上での執着を少し手放してみた時、

水底に沈んでいくのではなく、
ただ緩やかに浮き上がっていくだけの自分に気づきました。


いつだって「飢え」は、
最大の原動力でした。

満たされない今に、
少しでも何かを注ごうとして。
心の隙間を吹き抜ける風に耐えられず、
ひと時でも我を忘れようとして、
足掻き続けて参りました。

そんな嵐もここ最近は止み、
夕凪の湖畔の様に静寂と涼風を湛えて下さいます。

それでも尚、
今のわたしは多くを抱えております。
自覚できるもの、
できないもの問わず数え切れぬほどの執着が、
内側を絶えず蠢いているのです。

彼らがいつ突然に暴れ出し、
再びわたしの心を蝕むのか。
それは分かりません。

これだけ生きてしまえば、
分かろうとする努力の虚しさにも
気づいてしまっているのですから。

それでも尚、
昔よりは幾ばく身体も軽くなりました。

然れども、
時に浮き上がり、
時に沈み込み、
流れに身を任せる日々にもいずれ飽きてくることでしょう。

そうしたら次は、
どこへ泳いで行きましょうか。

その先には、
一体誰がいるでしょうか。

そうこうしている間にも、
季節は夏に向かっております。

2024.3.16
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