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【地主さんと私】㉕不死鳥のごとく



【やぃ!新年おめでとう】



地主さんからのメールを見なかった事にして

華麗にスルーした2021年の幕開け


地主さんの畑は未だに竹竿が刺さったままだ
無論・トマトもそのまま・マルチもそのまま
大雪に見舞われて みんな仲良く雪の下にある


みんなが畑に来なくなって
私達も片付いた畑に訪れる理由もなくなっていた

今年は雪が遅く 
新年を迎えても未だ 畑はそのままだった

そして 地主さんは 私達には早く片付けろと言いつつ
一切なにもやってない事が判明した

ある日を境にぴったりと畑に来なくなった
そう大家さんが教えてくれた


「まぁ、燃え尽きちゃったんじゃない?」

レンタル農園の大家さん(地主さんではない)は
お茶をすすりつつそう言った
新年度の農地の打ち合わせで顔を合わせた際の話だ


「元々さぁ、あの人さぁ、畑で黙々ってより
俺の話を聞いてくれる人大好きって人だもんね
農作業だって、見てもらえるから必死だったじゃんね」


思い当たる節はある

なんせ今までは春先は本当に丁寧に丁寧に畑を起こしたり
何度も何度もトラクターを入れるのだが
秋には殆ど来なくなり草がぼうぼうだったからだ


今まで撒いてたのも蕎麦とかでしたもんね


「そうね、でも結局、草に負けてそのまま冬を越して
春になったらかき集めて燃やして、
うちが臭くされるってオチがつくわけでさ

蕎麦なんか一回も収穫してんの見たことない


そうだったそうだった


歴史は繰り返してた


昨年が異常だっただけだ



「たぶん秋にもう燃え尽きちゃったんじゃないのかなー」


雪を眺めつつ 大家さんは笑っていた


打ち合わせが終わり、そのまま別れ
大家さんは帰って行ったが

本屋に寄ろうとしたら



地主さんからの電話がきた



【やい!生きてんのか、コロナ大丈夫か、どうしてた?】


うわー。。。
まるでどこかで見張ってたのかのような(汗)



生きてますよと返事をしようと思ったら


【あのな!今年はお前に畑貸せないからな!】


まぁ、あの状況の冬越しじゃ借りたくないですし
別にいいですよ

(つかそれ言うの何度目だ・汗)


【でな!焼肉店に売るいい商品なんかないか!

アイデアをな!】



あ、ガラケーなので電池切れそうです。すいません。

ブツっ。 ツーツーツー


(電源を落とす)


結論


2021年 【地主さんは やはり諦めない】




おしまい


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