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キューバ #5 / 廃墟の中のレストラン


次から次へとクラシックカータクシーがやってきては客を落としていく。その建物は一見するとこんなところにレストランが?と思ってしまうような廃墟で、そこにドレスアップした人たちがどんどん入っていった。

宮殿の様な階段を上って二階に行くと電気の配線が裸で走っているところに仰々しいシャンデリアがつる下がっていて、絶対的な違和感があるのになぜかかっこいい。

窓であっただろうところにガラスはなく、建物の骨組みだけ残された形だ。もうひとつ階段を上がると急にレストランが現れ、中に入ると美しいパターンのタイル張りの床と気の利いた内装がヨーロッパに来たのかと錯覚する。

席に着くと外から入り込んでくる夕方の風が気持ちいい。

なかなか忙しかったマイアミから移動が続き、なんだかやっと落ち着いたねと3人で乾杯した。キューバでの食事には期待しないほうがいいと散々 言われ覚悟はしていたがその必要は全くなかった。

私たちがラッキーだったのかはわからないが滞在中に食べたものは全て美味しかった。キューバンサンドイッチからイメージして肉料理が多いのかと思っていたけど、海が近いためシーフードのオプションも多くペスカトリアンの私(当時)は苦労しなかった。強いて言うなら生野菜にはあまり期待しないほうがいいのかもしれない。

日が暮れ始めピンクとオレンジの間の空は綺麗なブルーに変わり、そこから真っ黒になった。街灯が少ないため夜はハッとする暗さだ。

デザートまでしっかり楽しんでからビルの屋上にあるバーに上って街を見渡してみたが、やはり電気のついている建物は少なかった。天井が高いこの建物の屋上は6階ほどの高さで、そこからかなり先まで見える。オールドハバナにはホテルやデパート、国の建築物を除いて4階以上の建物はあまり見当たらない。

少し先に電気のついたルーフトップバーを見つけ、二軒目はそこにすることにした。歩いて5分ほどのそのバーで大きく括れば同じ業界とは言え、それぞれ職種の違う3人で仕事の話になった。旅を共にすると普段の生活とは関わり方が変わるため、ぐっと距離が縮むのは友達と旅をする醍醐味の1つだと思う。

東京ではなかなかすることのなさそうな、熱量のある会話を楽しんだ。


 続く

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