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時間切れ!倫理 42 エピクロス派

(ア) アタラクシア

 ヘレニズム時代を代表するもう一つの哲学がエピクロス派です。創始者はエピクロス(前341生?)。
 特徴は快楽主義。ストア派の禁欲主義と全く反対かなと思うと、実はとても似ている。エピクロスは快楽が一番大事だという。快楽は何かというと、それは最高善。アリストテレスは最高善は「幸せ」といった、それは「観想的生活だ」といった。エピクロス派は最高善は快楽だという。これは肉体的に気持ちいいことするのではない。つきつめると、この人たちも追及しているのは心の平安なのです。
 この広い世界の中で、心安らかに幸せに暮らしたい。一番の快楽は何かというと、友情。仲の良い友達と一緒にいることが一番幸せ。それが「魂の平安(アタラクシア)」。アタラクシアとは「煩わしさがないこと」とあります。ストア派と非常に似ているわけです。ストア派は「不動心(アパテイア)」、エピクロスは「煩わしさがないこと」。友達と一緒にいられたら、それでいいじゃん、そういう感じです。
 実際にエピクロスは、アテネの近郊に自分の仲の良い仲間を集めた共同体を作って静かに暮らした。これが彼らの理想。外の世界のことに煩わされずに、政治のこととは関係なしで、自分達だけで静かに暮らす。彼らのスローガンは「隠れて生きよ」。

(イ) 死を恐れる必要はない

 快楽の反対が不快、恐怖。人間にとって最も恐怖なことは、死です。そこでエピクロスは、「死を恐れる必要はない」といった。これは有名です。
 彼らは、デモクリトスの原子論を信じていた。原子から世界はできている。人間の肉体もアトムが集まってできている。死んだら、そのアトムがバラバラになるだけだ。
 しかも人間は死ぬことはないという。意味わかりますか。死ぬ瞬間はすでに死んでいるから自分の死を経験できない。死んでしまったら、当然意識はないので、死を体験することはできない。人は、誰かが死ぬのは見ることができるけども、自分が死ぬという体験は絶対出来ない。だから人は死ぬことはない。だから恐れる必要はない。そして、肉体はもとのアトムとなって散らばるだけ。納得できるかどうかは別として、論理的です。反論はしにくいですね。

新プラトン主義
プロティノス

 新プラトン主義はプロティノス(204生)の名前だけで結構です、新プラトン主義といいますが、プラトンとはほとんど関係ありません。ローマ帝国が300年続く間に、国内では徐々にキリスト教信仰が広がっていきました。キリスト教の教義とギリシア哲学という、まったく相いれない二つの思想の橋渡しの役割を果たした哲学です。そして、その後発達するキリスト教神学に大きな影響をあたえました。キリスト教の関連でのちに再び触れますが、名前だけ覚えておけばよいでしょう。

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