読書メモ「冬を越えて」(前編)
育休フリーランサーの心は忙しない。赤ちゃんは想像以上に可愛いし、日々の成長は目まぐるしい。一瞬たりとも見逃したくない。自分のエネルギーを、子どもや家族との時間に100%向けたくなる。
一方で、仕事仲間の活躍を目や耳にするたびに、じわりと焦燥感が忍び寄る。しかも便宜上「育休」と書いたが、会社員でないので、実際にはただの無職だ。このままじゃ社会に置いていかれる。かと言って、今何かに手をつけたところで大したことはできずに中途半端に終わりそう。とはいえ…
そんな行ったり来たりの中、友人から勧められた当書。彼女に他意はなかったと思うが、プロローグを読みながらハッとした。この文章、冬をそのまま育休に置き換えてみると、途端に自分のことを言われているように思えてならない。
人生で唐突に直面する困難や、スローダウンを余儀なくされる時期は、厳しい冬のように避けることはできない。見ないふりするのではなく、どのように準備して迎え入れ、乗り越えていくのか--どうやらそういったテーマの本らしい。
興味深いのは、当書がニューヨーク・タイムズのベストセラーリスト入りを果たしていること。資本主義の最高峰とも思えるニューヨーカーも、コロナ禍でスローダウンした世界に、何か意味を見出そうとしたのかもしれない。成長・成功・勝利を追い求める本はエネルギッシュだが、その勢いだけで解決できない側面が人生にはある。そんなエアスポットに目を向けたテーマが、今の自分にフィットした気がした。
私は、育児とキャリアに向き合う期間をどう迎え入れて過ごしていくのか、この本を通して考えてみたい。育休はブランクなのか、それとも?
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