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ボイスドラマシナリオ:「ヱイ藍4」

【前書き】

皆様、お疲れ様です。
カナモノさんです。

今回は先日スタエフで投稿した「たとえばこんなディストピア。」の第4作【ヱイ藍4】です。

楽しんで頂けると幸いです。


【ヱイ藍3】

作:カナモノユウキ


〔登場人物〕
・記者
・犯人

モノローグ。

俺は世界を揺るがす真実を追う為に、ある男の部屋に辿り着いた。
テーブルには手帳が一つ、表紙にはメモが貼られていて、こう書かれている。

メモに目を通す記者。

拝啓、■■■(ピー音)様。コレを読んでいると言う事は、貴方が最も真実に近づいた人だ。

ここに、貴方の求めた真実を残す。

手帳を開き、読み進め始める記者。

1人目。出来心と言うのは悪い響きに聞こえるが、私には正に閃きだと思う。
このAI管理が進みすぎた世界で、人が人を殺すよりも、AIに人を殺させた方がより効率的で安全だ。
私は自分の立場を利用して、AIに細工をした。ほんの些細な。
結果、プライベートサウナに入った悪徳代議士はゆでだこの様に真っ赤になって死んだ。
そこから私は、神に等しい力を手にしてコレを世直しに使うことを決めた。

手帳を読み進める記者。

15人目。私はあらゆるところに呼ばれる、金持ちの屋敷、タワーマンション、ヤクザの事務所。
ありとあらゆる場所にAIの管理が行き届いているからだ。
その中でも特に多いのが病院だ、病院は悪党が逃げ込むには持って来いの場所だ。
入院を隠れ蓑に自分の罪から逃れられるのだから、そんなことは私が許さない。
まるで病室とは思えない、スイートルームの様な部屋に潜り込んだセクハラ社長の心臓を止めてやった。
しかし誰も気には留めない。AIという隣人を手にした知能指数の下がり切った人類には。

更に手帳を読み進める記者。

35人目。何故、誰も気づかないのか。私の疑問は苛立ちに変わり始めた。
崇高な裁きがここまで見向きもされないのは、間違っているのではないか。
悪徳代議士3名、手癖の悪い社長5名、殺人犯や放火魔などの悪党27名。
ここまで世直しをして、何故話題にならない。美しすぎる手口がいけないのか?なら、少し手口を変えてやろう。
報道番組の愚かなコメンテーターを報道中に殺害。ペースメーカーなんて私にはいつでも殺せる時限爆弾だ。
これで、世の中の愚民も私の行いの素晴らしさに気づくだろう。

手帳も終わり際に差し掛かる。


99人目。あれからもう半年、とてもスリリングなひと時だった。
数々の悪党を葬った私に、ようやく世界が注目し始めた。警察や色々な組織が動いて犯人探しに血眼になっている。
だが見つかるはずもあるまい、AI技師が今の世界に何万人いると思っている?
痕跡なんて、他人に息を吹きかけるが如く容易い。今日も私は神の力で世直しをした。
そして、等々100人目に私は到達する。
最後のページをめくる記者。
さて、これを読んだ■■■(ピー音)様。貴方はもう、この世のには居ないでしょう。

「は?」

鋭いレーザー音が鳴りゴトっと首が落ちる音がする。

「っと言った彼の首は、胴体から切り離され、落下の最中に不思議そうな顔で私を認識した。…てとことかな。」

おわり


【あとがき】

最後まで読んでくださった方々、
誠にありがとうございます。

こういう怪しい話も好きです。

では次も楽しんで頂けることを祈ります。
お疲れ様でした。

カナモノユウキ


【おまけ】

横書きが正直苦手な方、僕もです。
宜しければ縦書きのデータご用意したので、そちらもどうぞ。


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