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変なシリーズ:「不思議な家と僕がオバケになるまで」第十三話

【前書き】

皆様、お疲れ様です。
カナモノさんです。

「悪魔と青年が紡ぐお話を、シリーズとして書いたら。」
十三話です。この部屋は…ちょっと嫌かもです。

少しの間でも、お楽しみ頂けていることを願います。


【不思議な家と僕がオバケになるまで】第十三話
「料理人の部屋」

作:カナモノユウキ


《登場人物》
・きつね 心の悪魔「アコ」と共に過ごしている青年。
・アコ  元夜更かしの悪魔、現在は心の穴を埋める心の悪魔としてきつねに寄り添っている。
・オバケ きつね達が度々見かける方、多分女性。

オバケさんは、料理って作ります?僕は一人暮らしし始めてから多少の自炊レベルだったんですけど。
料理って食べてもらうのがメインなのか、自分で食べるのがメインなのか…考えちゃいましたね。


「地図によると~、この階の空き部屋は3部屋だな!直ぐそこにあるぞ、見てみようぜ!」

《部屋の前に辿り着くアコときつね。》

「…何か、普通の扉っぽいけど。…〝オープン〟の札が掛かってる。」
「まぁ前の誰かがそのままにしたんだろうぜ!さぁ、内見再開だぁ~。」

《扉を開けるアコ、イイ香りが鼻をくすぐる。》

「…何かさ、良い匂いしない?香辛料とか、焼き上がりのパンみたいな匂い…。」
「おお、ここ厨房じゃねーか?それに、確かに上手そうな料理も並んでるな!」
「アコ、勝手に食べない方がいいよ、誰かのだったらどうするんだよ。」
「え?ここ空き部屋だろ?なら誰のもんでもないだろ!」

テレビとかで観た事のあるディナーみたいな料理が並んでいたんですよ、誰も居ないはずの部屋に。
それだけで不思議な光景だったんですけど…。

『おい!料理まだかよ!早く持って来いよ!』
「おお?何だ?誰かいんのか?」
「ほらぁ!誰かの料理なんだよ!その空き部屋って言うのも多分違うんだよ…。」
「いやいやそんな訳ないぜ?この地図は正確にちゃんと情報を伝えてくれるからな!」
「じゃあ、この声って…誰?」

《声の方、カウンターを覗くと暗闇が広がり声だけが飛んできている。》

『おい!こっちは腹ペコなんだ!早く料理をよこせ!』

声がするから誰かいると思うじゃないですか、でもね…。

「…誰も居ねーのに、声だけしてんぞ?」

確かに、誰も居なかったんですよね。
あるのは空のテーブルとイスに、薄暗くロウソクだけが灯ったフロアだけだったんですよ。


「…本当だね、何かここも不気味だし。他行こうか。」
「また変な部屋だなココ、料理だけ作りたかったんかね?」
「料理は勝手に出来上がってたから…ずっとウェイターをしてたかった方が住んでいたの…かな?」
「どっちにしても、そんな落ち着かねー部屋に住むなんて…面白い奴だなイシシ!」

料理を作り続けたかったのは部屋なのか、食べ続けたかったのが部屋なのか。
それとも、前に部屋の持ち主なのか…何があったのかとか想いを考えると不思議な気持ちになっちゃいました。




続く


【あとがき】

最後まで読んでくださった方々、
誠にありがとうございます。

料理って、人の為派か自分の為派かっていると思ったりするんですけど。

まぁ〝派〟と別けることが失礼かもなので…ごめんなさいm(__)m

でもこのお客さんが部屋の意志なのか、作っている方が部屋の意志なのか…未だに考えるんですが…どっちなんですかね?

では次の作品も楽しんで頂けることを、祈ります。
お疲れ様でした。

カナモノユウキ


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