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変なシリーズ:「不思議な家と僕がオバケになるまで」第二十九話

【前書き】

皆様、お疲れ様です。
カナモノさんです。

「悪魔と青年が紡ぐお話を、シリーズとして書いたら。」
二十九話です。この部屋ずっと書きたかった話。

少しの間でも、お楽しみ頂けていることを願います。


【不思議な家と僕がオバケになるまで】第二十九話
「線で区切られた部屋」

作:カナモノユウキ


《登場人物》
・きつね 心の悪魔「アコ」と共に過ごしている青年。
・アコ  元夜更かしの悪魔、現在は心の穴を埋める心の悪魔としてきつねに寄り添っている。
・オバケ きつね達が度々見かける方、多分女性。

49階の最後の部屋…あの部屋は、印象的でした。
いい意味でも、悪い意味でも。

「すげえなここ、確かにこっりゃあ〝線で区切られた部屋〟だあぁ~。よっ!ほっ!よっ!ほっ!」
「横幅跳びしたくなる気持ちは分かるけど、ちょっと落ち着きない…でも…この部屋一番開くて、長いかもね。」
「右見ても左見ても、果てが見えないなぁ。しかもこの区切っている線!よっ!ほっ!よっ!ほっ!よっ!ほっ!」
「だから~…でも、〝跨ぐ度に景色が変わる〟ってどう言う事なんだろう…これが〝境界線〟なのかな?」
「確かに、こっちが花畑の時…こっちは荒れ地な。踏み越えて情景が変わっても、曇りの逆サイドは晴れだな。」
「確かに線で区切られているけど…何かドンドン悪化していないかな?こっちは都会で…こっちは廃れた村だ。」

跨げば跨ぐほど、景色が左右で変わるんですけど…何だか不安になる景色と、平和な景色って感じで。
左だけの世界が好きでしたね…、右の世界は…進めば進むほど残酷でしたね。

「…〝人間社会の境界線〟ってことか?悪魔の哲学者でも住んでたのかね~。」
「え、悪魔の哲学者が何でこんな部屋を?…あ、人間社会の研究とか?」
「そうだな、色んな学問があるけど〝人間学〟が一時ブームと言うか熱心に研究されてた頃があったぜ。」
「〝人間学〟…僕は今も半分人間なんだと思うんだけど、僕たちが研究対象だったんだ…不思議な感覚だ。」
「〝心理学〟はそれに近いんじゃねーのかねぇ~、まぁ悪魔の〝人間学〟はもっと生々しかったけどな…。」
「どういうこと?…あ、景色が凄い華やかで。お祭りかな?凄いにぎやかだ。」
「なら、今境界線跨ぐと分かりやすいぜ。…人間が研究される理由がよく分かるだろうぜ。」
「え?こっちに?…あぁ、そうか。…あっちは〝平和〟、こっちは…〝戦争〟か…確かに逆だ。」
「〝人間学〟の内容は大体…〝醜さ〟って勉強したことがあんだよ。…きつねの髪は綺麗なのになぁ。」
「…この部屋の〝あっち〟と〝こっち〟は、人間の〝境界線〟を可視化してるんだね…。」
「そういうこったな…この部屋無しだな!ここで最後だしよ、別の階に移動しようぜ、きつね。」
「うん…そうだね、アコ。」

悪魔にとっても…僕たちだって、なんでこんなに〝醜い部分〟があるのか。
理屈をあてがうことは出来ても、本当の疑問は…解決していないんですよね。
だから、今も〝平和〟と〝争い〟の境界線が増え続けている…。

もしも、悪魔がその学問で〝答え〟を出しているのなら。
聞いてみたいですね、その〝答え〟を…。





続く


【あとがき】

最後まで読んでくださった方々、
誠にありがとうございます。

ちょうど、一人でネタだししていた時にこの部屋を思い付いて。
「この部屋書くまで頑張ろう!!」と心に決めて書いたエピソード何で。

何か、嬉しい。
こういう感じが、やっぱり好きです。

では次の作品も楽しんで頂けることを、祈ります。
お疲れ様でした。

カナモノユウキ


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