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変なシリーズ:「不思議な家と僕がオバケになるまで」第十二話

【前書き】

皆様、お疲れ様です。
カナモノさんです。

「悪魔と青年が紡ぐお話を、シリーズとして書いたら。」
十二話です。今回は、オバケが喋ります。

少しの間でも、お楽しみ頂けていることを願います。


【不思議な家と僕がオバケになるまで】第十二話
「オバケの茶屋」

作:カナモノユウキ


《登場人物》
・きつね 心の悪魔「アコ」と共に過ごしている青年。
・アコ  元夜更かしの悪魔、現在は心の穴を埋める心の悪魔としてきつねに寄り添っている。
・オバケ きつね達が度々見かける方、多分女性。

あの時は、エスカレーターで具合悪くなって気持ち悪かったんですけど。
今思えば、ラッキーだなって明るく思えますよ。あの後すぐ、アナタに会えたんですから。


「おお、アソコで休もうぜ!…新しい店だな…オバケの茶屋だってよ!」
「オバケ…さっきから見掛ける白いオバケさん居るかな?」
「おお、居るかもな!とりあえず入ってみようぜ!」

《お店に入るアコときつね。》

「何か…お洒落なカフェ…だね、それに色んな方々が…。」
「そうだなぁ~、妖怪に悪魔も居るな。寧ろオバケ少ないな。」

アコから聞いたんですけど、あのお店オバケはマスターなんですね。
最初はオバケ向けに人間のお茶菓子を出してたら、妖怪とか他の方がに人気出たんだとか。
確かに、あそこのパンケーキは懐かしい味がしたな。
あ、それでその時!もういても立っても居られなくなったんですよ僕。


「あ!…あのカウンターの白い方!さっきから見掛けてるオバケさんだよ!」
「え?俺様には見分けつかねーけど…そうなのか?」
「きっとそうだよ…確信はないけど。僕、ちょっと話しかけてみる!」
「お、おお。…珍しいな、きつねがあんなに興味持つの。…俺様は、何かぁンまいもんでも食べようかな~!」

本当、あの時は色々…ごめんなさい。

《カウンターのオバケに近づくアコ。》


「あの…横の席、いいですか?」
「…ドウゾ。」
「あ、ありがとうございます。…あの、さっき一階にいましたよね?」
「…ソウデスケド。…アナタ、人間デスカ?」
「ちょっと前までは、今は半分悪魔らしくて…だからここにも入れてると言うか。」
「ソウナンデスネ…アノ、ワタシニ何ノ用事デスカ?」
「え?あ、いや用事と言うかなんというか…アナタに興味があって。」
「興味?」
「あの、良かったら友達になりませんか?僕たち。」
「…何デスカ急ニ。」
「何か見掛ける度にその…何だか気に掛かって、無性にこう…ざわざわするというか、だからその…あの…。」
「サッキカラナンデスカ?ハッキリ言ッテ下サイ。」
「寂しそうに見えたから!…だから、何だか凄い失礼とは分かりつつも心配になって。」
「…ソウデスカ。」
「あの…友達になりませんか?」
「遠慮シマス。…アト、オバケニナル人ハネ、元々寂シイ人ナノヨ。ソウ見エテ当然ダカラ。」

《その場で姿を消すオバケさん。》

「あぁ…行っちゃった。」

《アコが後ろから声を掛けてくる。》

「何だ?フラれたのか?」
「おわ!…何だ、アコか。…うん、失礼なことしちゃった。」
「きつねは元々人付き合い向いてねーじゃねーか、それにそういうお前が声掛けに行ったことがスゲー事だろ。」
「褒められているのか貶されてるのか…ねぇアコ、オバケってどうやってなるものなの?人が死ぬだけじゃないの?」
「オバケはな、孤独な人間が成るもんらしいぞ?自殺とか、孤独死とかな~。」
「…そっか。」
「俺様に出会ってなかったら、お前もオバケだったかもな。」
「そうだね…また、会えないかなオバケさん。」
「その内また会うだろうさ!さぁ!ここの目玉の〝懐かしいあの頃のレトロパンケーキセット〟食べようぜ!」
「とりあえず〝昔のパンケーキ〟なのかな?…そうだね食べてから行こうか。」

あの時友達にはなれなかったけど、その後しっかりと…友達になれて。
今、こうして…。

オバケさん、戻ったら…初めて会ったオバケの茶屋へもう一度、パンケーキ食べに行きましょうね。





続く


【あとがき】

最後まで読んでくださった方々、
誠にありがとうございます。

やっと喋りましたね、オバケさん。

今更ですが、この物語は「きつねがオバケになるまでの物語り」です。

なので今このきつねはオバケになってる?
とか何か色々考えると…面白くない?

というか、僕もよく分かってないんだけどね。

では次の作品も楽しんで頂けることを、祈ります。
お疲れ様でした。

カナモノユウキ


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