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エピソード5(日進月歩 輝&輝の15年)

自主企画コンサート

輝&輝が自主企画のホールコンサートを初めて行ったのは、2012年の9月でした。「一流の奏者はホールでコンサートをするもんだ!」という憧れがあったので、ホールで輝&輝のコンサートをするということはプロ奏者としての一つの夢でもありました。

ところで、ホールでコンサートをするためには、二つの方法があります。一つはホールから依頼されて公演を行うという方法、もう一つは自分たちでホールを借りて公演を行うという方法です。

しかし、ホールから依頼を受けられるようになるにはある程度の知名度があったり、実績がないといけません。ちょっと津軽三味線業界の中で名前が知られ初めてきたくらいでは、フリーランスの我々はまだまだ信頼度はほぼゼロでした。

なので、その頃私たちが輝&輝としてワンマンのホールコンサートをするには、後者の手段しかありませんでした。最初は段取りがわからなかったので自分たちだけでホールを借りてみようなどとは思い付かなかったのですが、名古屋で応援してくださっていた津軽三味線ファンのとあるホール職員さんの後押しで、最初の一歩を踏み出すことになるのです。

輝&輝ファーストコンサート

さて、初めてのホール自主コンサートは2012年9月の名古屋公演。約300席くらいのキャパシティーで、前述のホール職員さんとひかりママ、佳泉ママ全面協力のもと企画が始まりました。

今思うとこんなに心強い協力があることはどれだけ恵まれていたか、と思うのですが、この時プロ1年生の私たちはコンサートの準備をそれはそれはおろそかにしてしまっていました。

その時の様子はイラストレーターちゃずちゃんが漫画にしてこの本に載っているのでぜひ気になる方は見ていただけたら…

ひかりママは衣装を手作りで作り、佳泉ママは愛知の知り合いにDMを送り、コンサートでお手伝いしてくださるたくさんの方々が暑い中路上でチラシ配りや近所のお家へのポスティングをしてくれていました。。。

私たちも自分たちの中では頑張っているつもりでしたが、今思うと準備の一番大変で面倒な事務作業を後回しにしてしまっていました。

最初のコンサートは、このような形でしたので周りの大人たちからたくさん叱られ、自分たちの準備不足に気づいた頃にはたくさんの方のおかげで、あとは演奏すれば良いだけの舞台が作り上げられていました。

なんと情けない、、、といたたまれなくなったと同時に、ホールで自分たちのやりたいことができることは本当に快感で、300名という方が自分たちの音楽を聴いてくれるという空間にとても感動しました。もっともっとクオリティーを上げた音楽を届けたいという気持ちが芽生えました。

東京での初ホール自主企画

それから一年後の2013年9月に東京で初めて「今度こそ自分たちで動くぞ!」と東京で野方区民ホールを押さえて輝&輝5周年コンサートを開くことを決意!

ここで、ホールコンサートをする際のおおまかは流れを見てみましょう。

①コンサート発案

②コンサートホールを予約する

③チラシを作り集客開始!

④チケット、プログラム作成

⑤出演者とリハーサル

⑥ステージ資料やタイムテーブルなど資料制作

⑦ホールスタッフや音響照明スタッフとの打ち合わせ

⑧お弁当やケータリングの手配

⑨集客リストまとめ、受付周りの備品揃え

⑩当日!!!

大体ざっくり書くとこんな感じなのですが、この中でも特に大変なのがやはりなんといっても③の集客です。知り合いづてにチラシを置いてもらえるお店を紹介してもらったり、和楽器のコンサートに挟み込みをお願いしたり、、、方法は様々ですが輝&輝も試行錯誤しながら本当に色々なことにチャレンジしてきました。

作戦①:路上ライブ

まず私たちが行ったのは路上ライブ。東京都のヘブンアーティストの免許を貰っていたので、不特定多数の方に輝&輝の存在を知ってもらうには打ってつけの手段でした。
特に休日の上野公園には本当にたくさんの方がいらっしゃり、多くの方に演奏を見てもらいました。今でもたまに出会った方が初めましてだと思いきや、「何年か前上野公園で観たことあるよ」と言ってくださり、数年越しにご縁が繋がっていくことに驚くことがあります。

私たちは多い時には週一で路上ライブをしてコンサートの宣伝をしていました。コンサートが近づいてくると焦りも大きくなり、真夏の直射日光の下、二時間路上ライブを続けていたら2人で熱中症になりかけて知らぬ間に昼寝で5〜6時間もの間気絶したように眠ってしまっていたこともありました。

無茶なことはしたらいけない、と思いながらも、名古屋のコンサートの時にどれどけ一生懸命皆さんが宣伝活動をしてくださっていたかが身に染みました。。

作戦②:掲示板にチラシ貼りに行ったら…

2013年、まだたった10年前なのですがこの頃SNSの影響は今ほどの力がありませんでした。なので、知り合い以外のホールコンサートに足を運んでくれる方を探すには、まずは紙媒体のチラシを目にしてもらう必要がありました。

私たちは、インターネットで拾ってきた中野区の地図を広げて、区外在住の人でもチラシを貼れる掲示板をチェックしました。掲示板と言っても、ウェブ上のものではなくて、リアルな物。よく公園の前などにあって地域の案内やゴミの出し方が載っているあれです。中野区の地図を印刷して丸をつけ、掲示板がどこにあるのかを確認して確か10箇所くらい赤丸を付けてたと思います。中野駅の高架下、ホールに隣接している掲示板、住宅街、などなど。。

8月の昼過ぎから灼熱の太陽の下、大きな地図を片手にたくさんのチラシを持って足を運びました。

しかし、この時真夏の大都会。夕方になるとだんだん雲行きが怪しくなってきました。一心不乱にチラシを画鋲で止めていると、ゲリラ豪雨に見舞われてしまいました。。

雨が降る想定をしていなかった私たちはびしょ濡れ。。。もう少しでリストコンプリートというところで動けなくなってしまいました。

しかし、さすが中野!!!
古着屋さんを発見して500円でワンピースを購入!笑

なんとか復活して無事にチラシを貼り終えることができました。

宣伝活動のなんと大変なことか。。。
身を持って学ばせていただきました。

作戦③:サンドウィッチマン作戦

それから数年、輝&輝はことあるごとにホールでの自主コンサートを企画してきました。毎度毎度場所によって集客の仕方を変える必要がありましたが、ある時ぴーちゃんがものすごいアイデアを思いつきました。

それは、静岡からの仕事の帰り道。私たちは主催者の方のご好意でグリーン車に乗せていただいていました。東京に着いた時に降りようとしたら、なんと同じ車両に中尾彬さんがいらっしゃいました!!!!同じ駅での降車で、お席の都合上私たちの後ろに中尾さんが並ぶ形に………。

新幹線を降りてからミーハーな私たちは「びっくりだったね〜」と話していたらぴーちゃんが一言「中尾さん、めっちゃ三味線の三つ折りケース見てたよ!ここにコンサートの案内が書いてあれば…」。

「もしかして、チラシ貼れば良いのでは…!?」

イラストレーターちゃずちゃん協力の下、急いでA4のチラシをA3に拡大コピーしてラミネートし、輝&輝のサンドイッチマン作戦が開始されました!この効果は絶大で、チラシを貼ったケースを持ち歩いて移動しているだけで本当に多くの方から声をかけてもらえました。しかも全国各地で!!!

これは、ただ宣伝になるだけでなく、輝&輝を見つけてもらう効果も絶大で「輝&輝さんですよね?私も津軽三味線やってるんです!」と何人もの方が声をかけてくれました。今では、そのうちの一人が最近始めたレッスン生の一人になってくれたというミラクルまで起こっています。

輝&輝にとって自主ホールコンサートとは

企画するたびに「本当に大変!!!!」と思うのですが、やってみると一つ一つのコンサートが思い出になり、未来の輝&輝を鮮やかに彩ってくれたことは間違いありません。先日、15周年コンサート「日進月歩」東京公演を行った際に、お世話になった方からこんなメッセージが届きました。

「ユニットを15年続けることは本当に大変なことと思います。“山あり谷あり”のプロセスがあったことと拝察致します。「継続は力なり」とは言われますが、今やお二人が何をやっても確実に“輝&輝色”に映ります。しかも何方にも親しみを感じる色なのでは、と思います。
これからも、世の中には楽しく心地よい音楽を、伝統芸能の世界には刺激を発信し続けて下さい。陰ながら応援しています。」

私たちがこれまで望んでもなかなか形にできなかった”輝&輝カラー”というものが15年にしてやっと目に見えるものになってきてたんだと目頭が熱くなりました。続けてきて良かった。
これも、自主企画コンサートをする度に様々な経験をし、失敗をし恥をかいてきたおかげだと思います。今も絶賛コンサート宣伝中ですが、本当に日々不安と闘って過ごしています!コンサート準備中は三味線を弾いている時が一番心癒される境地に至ります。笑 
「コンサートは準備が99パーセント」は本当にその通り。お次は名古屋公演成功のためにできる限りの準備をしていきます!!!!

皆様、名古屋でお待ちしております!!!!

津軽三味線 輝&輝 15周年コンサート 「日進月歩」  名古屋公演 

日時:2023年8月27日(日) 15:00開場/15:30開演 
場所:のぶながホール 
チケット:一般4000円 学生2000円 *未就学児無料
出演:輝&輝(津軽三味線)
          正調津軽三味線(津軽三味線)
          福士豊桜(民謡)
          伊藤辰哉(キーボード)
          鈴木良教(パーカッション)

■イープラス購入ページURL

https://eplus.jp/sf/detail/3848820001-P0030001