新卒入社半年の22歳コンサルタントが研修講師になるまで <Part2>
前回の記事では、なぜコンサルティング会社で研修講師になったのかという背景と研修講師の心構えを書きました。
この記事では、3カ月後に迫った研修講師デビューに向けて、セミナーの品質管理を行うCS本部からお墨付きをもらうまでに実践した準備と練習について書いていきます!!
登壇予定の研修は「話す力【基礎編】」というテーマの2時間の研修です。
実際にやった準備と練習
1. 先輩講師の動画を視聴する
2. 関連書籍を読みあさる
3. 自分で実践する
4. シナリオを作成する
5. 録音して話す練習をする
6. 人に見てもらってフィードバックをもらう
早速ひとつずつ紹介していきます。
1. 先輩講師の動画を視聴する
トーマツイノベーションが実施するオープン型の研修は、テーマ毎にテキストが決まっており、どの講師が登壇しても同じようなクオリティで実施することが求められていました。
そのため、学習用の教材として、お手本となるベテラン講師が実際に登壇した際の研修動画がほぼ全てのテーマにおいて用意されていました。
まずは何度も繰り返し動画を見ることから始めました。
全体の流れを掴んだあとは、ベテラン講師が話したセリフを一言一句漏らすことなく、書き起こしをしました。
一通り書き起こしができたら、私はある作業に取り掛かります。
この作業は人から何か真似たいと思った時に非常に重要なコツとして、今でも意識していることです。
それは、「自分が真似できる部分と、その人だからできることを切り分ける」ことです。
例えば、研修では必ず事例やエピソードを盛り込みますが、その人の経験談は本人にしか話すことはできません。
私が人の経験談をいくら話しても、聞いているお客様にはリアルに伝わらないのです。
経験した本人だから伝えられること、その方の立場や知識・技術だから言えることを無理して取り入れないことです。
経験談だけでなく、言い方にも要注意です。
例えば40代の管理職ベテラン講師が
基本的な話す力は管理職になってからの方がより求められます。
なぜなら部下を指導しないといけないからです。
でも、管理職になった途端に身に着けることはできません。
だからこそ今からしっかりと話す力を鍛えていくべきです!!
と少し強めの口調で話していたとしましょう。
この話を新卒である自分自身がそのまま話すのは大変危険です。
40代の管理職ベテラン講師は、自分が管理職という立場であり、部下を指導・育成するときに話す力が大切であることを経験値で知っています。
苦労したこともあるのでしょう。「もっとやっておけばよかった」という想いすら持っているかもしれません。だから、自分みたいにならないように今からやっておくべきだと、まだ管理職ではない若い受講者に伝えているのです。
これを当時新卒だった私がそのまま話すとどうなるか・・・
単なる上から目線の押しつけになってしまいます。
「管理職を経験していないお前に言われたくない」と受講者に思われても仕方ありません。
ですから、こういうセリフは「真似できない」と区別しておくのです。
しかし、セリフは真似できなくても、真似できるエッセンスはあります。
それは、「ここで具体的な事例を話している」「研修内容が受講者の実務に役立つ内容であることを伝えるエピソードを話している」というエッセンスです。
このエッセンスが掴めれば、セリフはそのまま真似できなくても、どんな内容を話せばいいのかはわかります。
こんなことを意識しながら、ひたすら動画を繰り返しみていました。
2. 関連書籍を読みあさる
次に着手したのは関連書籍をひたすら読みあさることです。
新卒で入社したばかりの私には、研修講師に必要な知識のバックグラウンドがありませんでした。
上司や先輩から教えてもらったのは「研修講師として登壇するときは、話している内容の10倍の知識を裏側に持っておかないといけないよ」ということです。
つまり研修は、膨大な知識や経験から一部をお伝えしている・・・というものなのです。
入社して数カ月の私にそんな知識や経験があるはずもなく、それを少しでも補うために「話す」「プレゼンテーション」「伝える」などに関連する書籍を読みまくりました。
社内には各研修テーマ毎にオススメ書籍なども一覧化されており、まずはオススメ書籍から読んでいました。
少なくとも10冊は読んだと思います。
今でも新たな研修コンテンツを作るときは関連書籍を5〜10冊くらいは読むようにしています。
関連書籍を沢山読むことで
・どの本にも書かれている最低限抑えるべき基本
・特定の本にしか書かれていない応用
・テーマに関する事例
を知ることができます。
3. 自分で実践する
ここまで、動画の視聴と書籍を読むことというインプットを中心に準備をしてきました。
ですが、研修講師が知識だけで登壇してしまうと、参加者にとって現場で使えない机上の空論をお伝えしてしまうケースが多いと感じます。
・実践するためのコツは何か?
・実践することで得られる気づきや体験は何か?
・どんな場面で役立つのか?
・どんなやり方をすると失敗してしまうのか?
参加者のみなさんはこういうことが気になります。
現場で実践できる、参加者のみなさんにとって身になる研修にするためには、講師も実体験を持っていることが理想です。
そのため、テーマに関して今まで経験していないことは、できる限り自分で実践をするというのを徹底的に行いました。
例えば、タイムマネジメントの研修を行うとしましょう。
研修コンテンツの中に時間管理を上手に行うためには、
・カレンダーには人との約束だけでなく、自分の作業予定も書き込む
・何にどれくらい時間を使うのかを書き出す
・1日のやることを全て書き出して優先順位をつける
・1日の終わりには時間の使い方の実績を書き込む
ということをやりましょう!という内容があります。
(こういう内容はどの書籍にもよく書かれていますね😊)
これらの知識を知って「さぁ、みなさん、これを実践しましょう!」というのは簡単です。
ですが、実際に実践してみると
「1日のやることはいつ書き出すのがいいんだろうか?(前日の夜?当日の朝?)」という疑問が湧いてきたり、「時間の使い方の実績を思い出して毎日記録するのってこんなに面倒なんだ」と思ったりします。
こういう体験をして、講師になると
「私は1日のやることを前日の夜に書き出していました。時間の使い方を振り返った上で翌日のやることを書き出すことで頭も整理できましたし、何より、朝一番にやることが決まっているので、気持ちよく仕事のスタートを切れるようになりました。」
という話ができるようになります。
また、
「1日の時間の使い方の実績を書き込むってできそうですか?みなさんのご想像通り、めちゃくちゃ面倒です!!笑 私も最初はいやいややっていました。しかも、予定と実績が全然違うんです。1時間で終わらせる予定のものが2時間かかったり、1時間の予定だったものが20分で終わった・・・という経験も沢山ありました。でも、そうやって『自分が何にどれくらい時間がかかるのか』を把握していくことで、予定を立てるのがすごく上手くなるんです。今では初めての仕事でない限り、ほとんど予定通りの時間で実施することができます。
また、無意識のうちに無駄にしてしまっている時間も見えてきます。無駄に使っている時間を自覚しないと改善できませんからそういう意味でも実践する価値はあると思います。
面倒だとは思いますが、1週間だけでいいのでやってみてください!」
こんな風に伝えることもできます。
この実践エピソードがあるのとないのでは、受講者の印象は大きく変わるというのはなんとなく想像できるのではないでしょうか。
もちろん、職場の環境が違うなどの理由で、研修講師としてお伝えする内容を全て実践することが叶わない場面もあるかもしれませんが、それでも実践できることは実践することを心がけています。
当日も「話す」というテーマについて
・上司への報告は結論から話す
・商談ではお客様の話のスピードに自分の話のスピードを合わせる
(ゆっくりお話しされるお客様にはゆっくり話す、比較的早口でお話しされるお客様には自分も少し早めに話す)
など、機会を見つけては実践していました。
さて、またまた長くなってきましたので、後半の3つについては次の記事でご紹介していきます。
ここまでの内容で不明点や質問などあればお気軽にコメントくださいね!
できる限り回答させていただきます💪😁
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?