新卒入社半年の22歳コンサルタントが研修講師になるまで <Part3>
前回の記事では、3カ月後に迫った「話す力【基礎編】」の研修講師デビューに向けて、セミナーの品質管理を行うCS本部からお墨付きをもらうまでに実践した準備と練習について前半の3つをご紹介しました。
実際にやった準備と練習
1. 先輩講師の動画を視聴する
2. 関連書籍を読みあさる
3. 自分で実践する
4. シナリオを作成する
5. 録音して話す練習をする
6. 人に見てもらってフィードバックをもらう
この記事では、後半の3つについて書いていきたいと思います!!
それでは、4つ目の「シナリオを作成する」について見ていきましょう。
4. シナリオを作成する
ここまで紹介してきた
1. 先輩講師の動画を視聴する
2. 関連書籍を読みあさる
3. 自分で実践する
は、シナリオを作るための準備だと言っても過言ではありません。
研修講師として、登壇する際に必要なスキルは「シナリオスキル」「デリバリースキル」の2つです。
シナリオスキルは、どのような内容を話すか。
デリバリースキルは、どのように話すか。
だと理解していただけるとわかりやすいと思います。
私が現在行っている研修・セミナーはコンテンツを作るところから行うのが通常ですが、この時はすでに決まっているコンテンツ(テキスト)で登壇をするという状況でした。
コンテンツ作りについては、別途まとめるとして、今回は定型コンテンツに対してどのようにシナリオを作ったのか、当時の私が実施した方法を記載します。
まず、当時の私が考えたのは、「話すための台本を作成する」ということでした。
一言一句、どのように話すのかを先に決めるという方法を取りました。
この方法を選択した理由は2つあります。
・当日考える余地を残すと口癖や無駄なことを言いかねないというリスクを減らすため
・話し方(デリバリースキル)に集中するため
です。
話し方は、抑揚・スピード・間(沈黙)・ボディランゲージ・視線などです。
これらに集中するために、「何を話すか」は事前に全て決めておこうと思ったのです。
シナリオのベースとなるのは、「1. 先輩講師の動画を視聴する」で書き起こしたものです。
真似できる部分をベースに作っていきます。
真似ができない部分は、本を読んでインプットした知識や自分が実践して得た成功体験/失敗体験、実践のコツをエピソードとして盛り込みました。
シナリオを作るときに大事にしていたのは、
・各スライドで伝えるメインメッセージを外さない
・笑ってもらえる、雰囲気を緩ませるポイントを作る
・様々な参加者に対応できる事例を盛り込む
・タイムラインをしっかり作る
・話し方もシナリオへ落とし込む
という4点です。(他にも細かい点は色々ありますが)
◯各スライドで伝えるメインメッセージを外さない
基本的に研修スライドを作成するときは、1スライド1メッセージです。
それぞれのスライドで何を伝えたいのか、また、前後のストーリーとの関係性はどうなっているのかをしっかり把握しておかないと、伝え方を間違ってしまいます。
◯笑ってもらえる、雰囲気を緩ませるポイントを作る
話し方の研修は2時間の研修でしたが、2時間ずっと緊張感のある空気感では参加者の方も疲れてしまいます。
大事なポイントに集中してもらうために、「楽しんでもらう」「気が抜ける瞬間を作る」ことも重要となります。
そのために、失敗談で少し笑える事例を入れたりするのです。
ですが、私自身は笑いを取るだとか、即興で雑談するということが非常に苦手なため、最初からシナリオを作っておきます。
◯様々な参加者に対応できる事例を盛り込む
研修にもよりますが、参加者にはいろんな方がいらっしゃいます。
例えば、職種です。
営業 / 製造 / 研究開発 / 経理・総務などのバックオフィス、など。
また、年齢や階層の違いもあります。
新入社員 / 中堅 / プレイングマネージャー / 管理職 など。
研修テーマについて、既に実践している方、初めて話を聞く方という違いもあります。
参加者の方のタイプによって、印象に残る話や具体例が違います。
「話し方について初めてチャレンジする方は◯◯から始めてみてください」
「既にある程度実践されている方は、××の落とし穴に陥らないように気をつけましょう!」
というように、いろんなタイプを考慮して複数の事例を用意しておきます。
どんなタイプの参加者にとっても、「あ、これは自分に当てはまる!!」というポイントを研修の中にいくつか作っておくことが大切です。
◯タイムラインをしっかり作る
研修には時間制限があります。
限られた時間の中で必要な要素を伝えることが求められます。
ですから、どのスライドに時間をかけるのか、どの部分はサラッと話をするのかというペース配分を決めておかないといけません。
各スライド何分で話をするのか、どこで休憩を取るのかという時間配分を全てテキストに書き込んで準備をしました。
◯話し方もシナリオへ落とし込む
ここまで「何を話すか」ということを中心にシナリオへと落とし込みをしてきましたが、最後は「どうやって話すか」をシナリオへと落とし込みます。
話し方をシナリオへ落とし込むとはどういうことか?
例えば、
・間(沈黙)
・強調
などです。
シナリオへと落とし込めない「話し方」もありますが、上記2点は大事であり、シナリオへの落とし込みが可能な部分です。
特に「間(沈黙)」は非常に大切です。
研修の時間内で参加者の方とやりとりができる時間は限られます。
制約のある中で問いの投げかけを有効活用することで、参加者のみなさんに考えていただく機会を多く作ることができます。
「もし、みなさんと一緒に働いているメンバーの方の話し方がわかりにくい時、みなさんはどのように対応をしますか?」
というような投げかけです。
このような問いかけをした時に「間(沈黙)」が必要になるのです。
投げかけをした後に、直ぐ答えを言ってしまうと、みなさんの考える機会を奪ってしまいます。
ですから、投げかけをした後には「間(沈黙)」をとって、みなさんが頭の中でその場面を想像し、考える時間を与える必要があります。
でも!!!!
初心者研修講師にとって「間(沈黙)」ほど怖いものはありません。
参加者のみなさんから注目され、講師(先生)という立場で話をしている中で、注目されながら誰も喋らない時間を作ること・・・は本当に怖いんです。
みなさんも経験はありませんか?
誰かと話をしていて、ふと訪れた沈黙の時間・・・「き、気まずい。何か話さなくちゃ!!」ということ。
研修講師も間を埋めるためについ喋りたくなるのです!!
そこで、私が行ったのは、投げかけのセリフの後に「5秒間"間"を空ける」ことを台本に入れておくことでした。
講師として登壇した際には、投げかけをした後、(いち、に、さん、よん、ご・・・)と心の中で数を数えて間をとっていました。
それくらいしないと、怖くて間を取れなかったんです。
強調する部分も、「ここは強調する!!」というようにマーカーを引いたり、印をつけていました。
こんな風にしてシナリオを作成したら、あとはひたすら練習あるのみ!!です。
5. 録音して話す練習をする
どんなにシナリオを作り込んでも、実際に話せなければ意味がありません。
話す練習として最初にやったのが、
話す→録音する→自分で聞く→修正点洗い出す→もう一度話す
をひたすら繰り返すことです。
まず、最初は自分の録音を聞くのが恥ずかしすぎて、最後まで聞けません笑
自分で聞こえてる声と、録音で聞こえる声が全然違います!
「え、自分ってこんな話し方なの?」ってなります。
それでも録音を聞くことで、「自分が想像している話し方になっていない」ということがよくわかります。
・もっとゆっくり話しているはずなのに
・ここは間をとっているはずなのに
・変なところで言葉を区切ってしまっている
・「えー」という口癖があったんだ!?
などなど。
自分の想像に実際の話し方を近づけるために、何度も練習を行います。
ですが、どんなに自分で録音しても、あくまで「自分視点」でしかフィードバックをかけることができません。
自分では聞き取りやすい / わかりやすいと思っても、他の人から聞いても「聞き取りやすいのか?」「わかりやすいのか?」を知るためには、実際に人に聞いてもらうしかありません。
そこで、最後の段階です。
6. 人に見てもらってフィードバックをもらう
CS本部の最終チェックに向けて練習も最終段階に入ってきました。
ここまできたら、業務終了後に会社のセミナールームを借りて、実際に使用するスライドをスクリーンに投影しながら話す練習をしました。
練習をするときには、1人で練習するだけでなく、上司・先輩・同期など、いろんな人に声をかけ、時間をいただいて話している姿を見ていただきました。
そして、率直なフィードバックをいただくのです。
フィードバックをいただくことで、自分自身では気づくことができなかった改善点を知ることができます。
ここでは、話し方だけではなく、立ち居振る舞いについても指摘をもらうことができます。
・手の位置が気になる
・ウロウロしすぎ
・参加者の皆様にできる限り背中を向けない
・顔の表情が硬い
などです。
いろんな方から客観的なフィードバックをもらうことで、自分の話し方・立ち居振る舞いをさらに改善していけるのです。
ここまでやって、CS本部の方の講師デビューチェックに挑みました。
結果は・・・
一発合格!!
ほっとしたことを覚えています。
練習に付き合っていただいたみなさんには本当に感謝をしています。
正直、私自身はあまり指摘を受けませんでした。
自分で練習していたことも影響するかもしれませんが、「話す内容」「話し方」「立ち居振る舞い」において、ほとんどのフィードバックはなかったです。
唯一覚えているのは「〜と思います。」という言葉尻が多く、自身がなさそうに聞こえるとというフィードバックです。
このフィードバックをいただいてからは「です。 / ます。」で言い切るように心がけました。
無事にCS本部のチェックをクリアしたからといって油断はできません。
研修本番に向けて、継続して練習は続けました。
練習の成果を研修本番で!
ついに研修デビューの日が来ました。
今でも覚えています。
10月23日でした。
参加者は23名。(←当時の週報に書いてあった😂)
自己紹介はめちゃくちゃ緊張してあまり記憶がないくらいでしたが、しっかりと2時間の研修をやり切ることができました!!
研修講師としてきちんと役割が果たせたかどうかは、アンケート結果で決まります。
満足度などのデータを集計し、設けられた基準をクリアできていれば、無事に講師としての最低ラインを達成したということになります。
ドキドキしながらアンケート結果の集計をしていましたが、無事に基準をクリアし、研修講師としてのキャリアがスタートした訳です。
ここまでだらだらとPart1〜Part3に渡って、私が研修講師としてデビューするまでの道のりについて書かせていただきました。
最後までお読みいただき本当にありがとうございます🙏✨
研修講師としてデビューした後も様々な壁にぶつかりながら、今日までやってきました。
・マイクの電源が途中で切れる😂
→今なら直ぐに対応できるけど、当時はパニック
・ポイントやタイムラインを書き込んだMyテキストを同期に貸したままだったことを忘れており、Myテキスト無しで本番に😑
→何回か登壇していたテーマだったので、全て頭に入っていて乗り切れた
・ある研修の講師が急遽登壇できなくなり、代打で登壇したら、研修テキストが刷新されており、次のスライドで何が出てくるかわからない状態に😱
→ちょうど、研修テキストの構成やアニメーションを刷新しており、研修テーマによって刷新されているもの/されていないものが混ざっていた。内容がガラリと変わった訳ではないものの、次のスライドが何なのかわからなのはドキドキ。参加者同士で自己紹介していただいている間に、スライドの順番とアニメーションを必死で記憶しました
他にも、色々とありましたが、なんだかんだよくやってきたなと思います。
次の記事からは、今までに経験してきたことを踏まえ、知識などを体系化していきたいなと思います!!
少しでも役に立ちそうだなと思ったら遊びにきてくださいね!!!
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