知られざる理学療法士の世界
2月度のオンライン子亀会報告です。
医療や介護の世界でも病院の中で行われているがゆえになかなか知り得ない理学療法士の世界が知りたい!!と、現場リーダーのお二人をお招きしての開催でした。
理学療法士Physical Therapist(以下PTで表記)は、動作の専門家です。寝返る、起き上がる、立ち上がる、歩くなどの日常生活を行う上で基本となる動作の改善を支援する専門家。
病気やケガで機能が弱った身体を、また日常生活に戻すために行うトレーニングです。
(re 再び + habilis 適した + tate 状態にする =re habilitate 本来あるべき状態への回復)
リハビリの歴史は第1次・2次の大戦後に負傷兵の社会復帰から始まりました。
理学療法士は日本では1965年に法律が整備され、2000年の介護保険が始まるタイミングで広まり、国内では現在約13万人の方が登録されています。
一般的な病院のイメージはお医者さんと看護師さんだと思いますが、患者さんに携わるのはPTを含めたリハビリ職、薬剤師、栄養士、ソーシャルワーカーと多様。そしてコミュニケーションを取りながらの多職種連携こそが患者さんの復帰には何よりも大切。まさにチーム医療なのですね。
[リハビリには急性期と回復期があります]
例えば3大疾病と言われる脳卒中等で病院に運ばれます。今までは絶対安静が基本だったそうですが、治療の進歩により手術の低侵襲化や鎮痛管理の進歩によりPTの早期介入・早期離床が進みできるだけ寝かさないことが現在の原則になりつつあるとのこと。
そして急性期の治療が終わると回復期に入り、リハビリ病院や地域包括病院へと転院します。この段階では医学的・社会的・心理的なサポートが必要な患者さんに対して、多くの専門職種(PT以外では作業療法士OTや言語聴覚士ST)などがチームを組んで集中的なリハビリテーションを実施し、心身ともに回復した状態で自宅や社会へ戻ることを目的とします。
その後退院して日常生活に戻っていくのですが、介護保険を使われる高齢者ですと機能訓練を中心としたデイサービスに通いながら維持期を過ごします。
また急性期前と維持期には「予防」という概念があることも忘れてはなりません。
今回リハビリ現場の最前線で活動されるお2人から話をお聞きし、人生100年時代と言われる現代で、自分のことは自分で出来る大切さを考えさせられました。
病気にならない人はいないし、足腰が弱くなれば転倒によるケガのリスクは高まります。人は必ず病院のお世話になる訳ですが、医療の進歩に伴い治る時代なのです。
しかしその先は元の生活を送ることになるので、やはりリハビリが重要になります。長寿時代ですから人にお世話してもらうのは最小限にして、出来ることならば身の回りのことは自分自身で行いたいものです。
[最後に]
地元森下エリアで、地域包括支援の仕組みづくりを行っております。そこでは様々な専門分野を持つ人たちが主体的に集まり、様々な福祉ニーズを解決できるまちを目指します。
ボランティアベースで継続して行うためには、個々の負担が重くなり過ぎないように多数の仲間が集い、かつ活動が楽しくある必要があります。
また大勢のボランティアさんをまとめる地域リーダーも大切です。ソーシャルマインドあふれるメンバーとの絆を大切に、私も出来ることを一つ一つ丁寧に進めて参ります。
[今回の講師]
聖路加国際病院 リハビリテーション科 マネジャー 理学療法⼠ 岡村⼤介さん
江東リハビリテーション病院 リハビリテーション科責任者 理学療法士 畠田将行さん