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【本との出会い24】いちからはじめる (松浦弥太郎)

165ページまで読んで、ハッとしました。

私のnoteは、次のように見られているのではないかと。

本に書いてあることや、誰かが言った言葉を上手にパッチワークしてそれっぽく仕上げてるのが得意な人はたくさんいます。そういう人は資料を読みながら話すのは得意ですが、「何も見ないで自分の心の中にあるものを話してごらんよ」というと何も話せないのです。(本部引用)
「あ、本気でこういうことを考えたんだな」「頭の中にこういうことがあったんだな」そんなアウトプットであれば、仮に表現がつたなくても、見た人を感動させることができるのです。(本文引用)

「引用操作の文章をアウトプットとは言わない」と言われた尻から引用してすみません(笑)。

笑いごとじゃないです。これまでのnote見直すと、中には引用と要約で「整えた」記事が結構あります。

1.なぜこの本を手に取ったか

近所のイオンの書店を何気なくのぞいていたときに、紫表紙のこの文庫本が目に留まりました。

著者の松浦弥太郎さんは、「暮らしの手帳」の編集者と、なにかで読んでお名前は存じておりました。(この人を知っています、わかっています、というのは、「うわべだけだ」と序章で書かれているのにも、ハッとしました。)

影響しやすい私は、「わかりました」という言葉が、今この時点でも、私の中でも周囲でも、相当蔓延飛来していることに気づきます。

表面で生きないで、深みにはまってみようぜ! 人生なんだから。と言っているように感じました。

で、なぜ手に取ったか?ですが、この本の色です。

ちょうどその前日、凝り始めた万年筆の新しい色を探していた時に、この紫色とちょっと茶色っぽい色のどちらにするか、しばらく悩んでいたので脳に残っていたのです。

結局、その小さな考え事が、私とこの本を引き合わせたわけです。

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話は飛びますが、「いくつになっても、ずっとやりかったことをやりなさい。」という本を今読んでいます。

その中で推奨されているひとつのルーティンが「アーティストデート」です。

何かというと、「普段、自分があまり行かないことをやる」というルーティンなんですが、その日はそうもいかず、せめて書店で背表紙でも眺めながら気づきやアイディアを探そうとしていたわけです。

そういう意味では、最高のアーティストデートの成果にめぐりあったということですね。


2.そう言いながらも、自分の生き様というか、信念というか、軸と一致していることがたくさんあって心地よい。

仕事とは何か?

私は、「世の中の困っている人を、助けてあげること」「困っている出来事を解決してあげること」だと言い続けてきました。

生活のための仕事でもあり、必ずしもそいうことばかりをしてきたわけではありませんが、それが根っこにあるのは本当です。

著者も、本質はそのようなことを訴えています。

私は、そういう精神、姿勢で仕事をしていますが、だからこそ、「損したなあ」「ばかくさいな」と思うことも正直多くありました。

しかし、この技術発展の時代だからこそ、このあと、AIにできない仕事というのは、「人を喜ばせる」ことで、この本の題名でもある「いちからはじめる」姿勢に人々の心が動くものだという著者のメッセージが、目の前に明るさをもたらしました。

3.「いちからはじめる」とは?

本質に立ち返る。途中にまた立ち返ってみる。そもそも、仕事とは?と問いかけて、いつでも立ち返ってみて、また進む。

そういうことだと理解しました。

目の前のの仕事、というか作業を効率的に片づけていくことが仕事の成果と思いがちで、今はそんな「効率化」「生産性」みたいなビジネススキルものが本でも動画でもたくさんあります。

私、そういうの大好きです。(笑)

効率は否定していません。たくさん考察するために有限な時間を使うためには、効率化できるものはどんどん実行しないといけないからです。

いちから考えて、いちから将来のことを考えて、ビジョンと情熱をもって取り組もうということのようです。

それを「勇気」「観察」「熟知」「勤勉」の姿勢で取り組んでいると、いい仕事、いい人生が送れるということなのでしょう。

言葉を変えると、「丁寧に」ということでしょうか。

私は粗雑な人間ですが、この「丁寧」という言葉は大好きです。

長男の名前は「寧」とつけました。これまた粗雑な人間になっていますが(笑)

4.80:20の法則

本書にそうは書いていませんが、「2割は余裕を持つ」「1日の20%をチャレンジに使う」など、有名な原則の数値が結構でてきます。

中でも気に入ったのが、「自分の底を見せないように2割の余裕をとっておくこと」という教えです。

もうベストを尽くしました。これ以上はできません。限界です。

それを人に見せるな、ということです。

それが自分のメンタルを守る方法だと書いています。

よく、「もう限界から、あと一歩」とか、言いますが、そうした出し尽くし感は、必ずしも、特に仕事の場面ではいいことではないのですね。

「ああ、これで熟知した」ところまでやれば、その先の熟知には行けないということですから。

50を過ぎて、今も猛烈に仕事(作業)をしていますが、立ち止まって「そもそもなんのために?」といちからはじめたいものです。

思いやりに満ちた、いい本でした。



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