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【映画】すばらしき世界 〜この世界は生きづらく、あたたかい〜

ものすごく、心に残る映画でした。
主演の役所広司さんの演技もすごいし、共演の俳優陣も申し分ありませんでした。
ストーリーが、犯罪、裏社会の闇を描いた内容にはなっていますが、それでも限りあるものでも、人生はすばらしい、そんなメッセージの映画でした。

1.小説「身分帳」の映画化


この映画の原案小説は、佐木隆三さんという方の「身分帳」だそうです。
もうすでに絶版になっていた小説を監督の西川氏が読みその面白さに映画化を決意したそうです。

この映画は、実際の出来事をもとにつくられています。


2.助演の俳優陣

主役が刑務所を出所し、かつての子分がソープランドに案内します。
「まずは、ひとっ風呂浴びてもらいます」と。

そこのソープ嬢役が、とても存在感あります。

宮城出身、震災で被災したソープ嬢という設定。「もう少し稼いだら息子を迎えにいける」と役所に話すシーン。グッときます。

3.ものすごいシーン


①障害者を嘲笑するシーン

就職した障害者施設で、入所者の障害者を虐待し、それを嘲笑する職場にいるシーンで、役所は怒りに震えます。
しかし、その怒りを抑え、いっしょに嘲笑するシーン。
「葛藤」、ここでキレると、また刑務所暮らしに逆戻り、生涯の半分を刑務所で過ごした役所も、この残酷さには怒りをぶちまけたく体を震わしますが、ものすごい引きつった顔で、周囲に合わせ嘲笑してしまいます。

②安田成美との電話のシーン

この映画の中で、安田成美は、かつての「恋人?」役として出演しています。ですが、出演シーンは役所を被告とした裁判の傍聴者、関係者としてのわずか。
すごいな、と思ったシーンは、役所との電話のシーンです。

声だけのシーンなのですが、役所を思う心と思いやりが声から伝わってきて、ジーンとします。

話し方セリフだけで、ここまでのことをできるって、女優だなあと思いました。

4.実は、主演は仲野太賀ではないのか?

この前科者の役所を取材するルポライターが仲野太賀が演じています。そのそばには、テレビ関係者として番組をうまく作ろうとするディレクターの役の長澤まさみの関わり方がいやらしくすごいです。

仲野太賀は、段々と役所のことを取材対象だけではないなにかを感じていきます。近所のスーパーの店長など、役所にかかわる人たちの、見守り方がなんとも言えず重いです。

映画を最後まで見てから気づきましたが、この映画の主演は本当は仲野太賀なのか、と思ったことです。

絶妙に自分の存在感を消しながら、でも役所の変化を見事に照らしている役割。

5.スーパーの店長 六角精児さん

下のリンクの中に、西川監督とスーパーの店長を演じた六角精児さんの対談が載っています。

この映画についての動機や見どころが満載ですので、これ読んでから映画見るのがおすすめです。






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