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日本企業に明確なコンセプトがない理由

労働市場の流動性と日本企業のコンセプトの関係

先日、研修でコンセプトについて考える機会があったのですが、外資系企業には、GoogleやAmazon,Tesla等明確なヴィジョンや企業コンセプトを発信しているところが多いが、日本企業にはそのような会社は少ないという話がありました。」

この違いの背景には、労働市場の流動性が大きく影響しているのではないかと考えました。そこで、労働市場の流動性と企業コンセプトの関係について考えてみました。

労働市場の流動性とは

労働市場の流動性とは、労働者が職場を移動する頻度や容易さを指しています。流動性が高い市場では、労働者が比較的容易に職を変えることができ、企業もまた、必要な人材を迅速に獲得することができます。アメリカやヨーロッパなど、多くの海外市場ではこの流動性が高い傾向にあります。

日本の労働市場の特徴

一方、日本の労働市場は流動性が低いことで知られています。日本では、終身雇用や年功序列といった伝統的な雇用慣行が根強く残っており、一度就職すると同じ会社で長期間働くことが一般的です。このため、労働者が職を変えることは少なく、企業もまた、採用した人材を長期間にわたって育成することが求められます。

流動性の低さと企業コンセプトの関係

その労働市場の流動性が低いことが、日本企業が明確なコンセプトを持ちにくい一因となっているのではないかと考えました。理由の一つは、流動性が低い市場では、企業が多様な人材を迅速に採用することが難しく、特定のコンセプトやビジョンに合致する人材を揃えることが難しいためです。結果として、企業は無難なコンセプトに留まりがちなのではないかと思いました。

さらに、長期間にわたって同じ企業で働くことが前提となるため、企業は全従業員に共通する普遍的な価値観やコンセプトを設定しがちです。このようなアプローチでは、具体的で尖ったコンセプトよりも、幅広い従業員に受け入れられるような無難なコンセプトが選ばれる傾向があります。

外資系企業のアプローチ

対照的に、労働市場の流動性が高い海外では、企業が明確なコンセプトを打ち出し、それに共感する人材を集めることが一般的です。例えば、アメリカのテクノロジー企業は、「イノベーション」「ダイバーシティ」「スピード」といった具体的なコンセプトを掲げ、それに賛同する優秀な人材を世界中から集めています。労働者もまた、自分の価値観やキャリアプランに合った企業を自由に選びやすいため、企業と労働者のマッチングがより効率的に行われているのではにかと考えました。

結論

日本企業が明確なコンセプトを持ちにくい背景には、労働市場の流動性の低さが影響している可能性があるのではないでしょうか?終身雇用や年功序列といった雇用慣行が根強い日本では、全従業員に共通する無難なコンセプトが選ばれやすく、結果として企業の個性が希薄になる傾向があります。一方で、労働市場の流動性が高い海外では、企業が明確なコンセプトを打ち出し、それに共感する人材を集めることが可能です。日本企業が明確な企業コンセプトやヴィジョンを発信していくには、その前提条件となる労働市場の流動性を高める施策も取り組んでいく必要があると研修を受けて考えました。

おわり

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