江藤由貴子

聖蹟桜ヶ丘でひっそりと暮らしています。

江藤由貴子

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最近の記事

コレクティブハウスに住んでみたら、母が元気になった。

2020年の夏、私はコレクティブハウスに引っ越した。 コレクティブハウスとは、北欧発祥の、住民みんなでゆるやかに繋がる暮らし方のこと。 私の引っ越してきたコレクティブハウスは20世帯が住める規模のところで、三十人弱で暮らしている。 引っ越しのご挨拶にと、私は福岡に住む母にケーキを頼んだ。 母はキャロットケーキを作るのが得意で、私がこどもの頃から作ってくれていた。 けれども、その時、私は母に断られてしまった。 母が私のお願いを断るなんて初めてのことだったので、とてもびっく

    • 26人分の夕食を作った。

      コレクティブハウスに住んで3ヶ月後、私は26人分の夕食を作った。 それまでの人生で、私はそんなに大勢のごはんを作ったことはなかったし、作れるとも思ったことはなかった。 メニューはホタテのシチュー、かぼちゃサラダ、お刺身サラダ。デザートは実家の母に頼んで、手作りのキャロットケーキを焼いて送ってもらった。 実は、コレクティブハウスというものの存在を知ったのは、十年も前のことだ。その頃から、誰かと繋がりあって暮らすということに憧れていた。けれども、コレクティブハウスの、ある決ま

      • コレクティブハウスに住んでみた

        2020年の夏、わたしはコレクティブハウスに引っ越した。 コレクティブハウスというのは、北欧ではじまった、住民どうしがゆるく繋がりあう暮らし方のこと。 管理人はいなくて、住民自ら、共用部の掃除や庭の手入れをしたり、月に一度の定例会で暮らしの様々なことを話し合ったりする。 シェアハウスと似ているが、コレクティブハウスには各戸にキッチンやお手洗い、お風呂があるので、単独で暮らすことも可能な点が違う。各部屋を見れば、普通の賃貸マンションとおんなじで、それにプラスして共有の広いリ

        • セミオの思い出①

          あれは2020年の夏の始め。 神田川添いの遊歩道でセミオと出会った。 実はそのちょっと前まで、家から歩いて20分のその場所に、素敵な遊歩道があることを知らなかった。新型コロナの影響で突然在宅勤務となり、緊急事態宣言下の外出自粛で、気軽に電車に乗って出かけられなくなったので、仕方なく近所を歩き回っていて、偶然見つけた。 夏の初めの夕方、いつものように水音を聞きながら散歩していたら、見たことのない大きな虫がもくもくと歩いていた。茶色い、ゴツゴツ、ごわごわしたからだを揺すり、道

        コレクティブハウスに住んでみたら、母が元気になった。

          使い終わったガムテープの芯で箱を作り始めて、もう二十年になる。 きっかけは、アロマセラピーだった。 当時、わたしは銀座のアロマセラピーショップを辞めたばかりで、ブログでエッセンシャルオイルのことを書いていた。ずっと続けるつもりでいた仕事を突然失ってショックだったのと、どこかでアロマセラピーにつながっていたい気持ちを捨てきれなかったから。 そうしたら、嬉しいことにエッセンシャルオイルを売って欲しいというひとが現れた。それでネットでショップを開いた。嬉しかった。 わたしのお