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人生には必ず山に登りたくなる時が来る

即席山ガールとなった私に、最近十日町に移住してきてくれた山の先輩・山ちゃん(山川さん)はそう言った。


人生には必ず、山に登りたくなる時が来るらしい。


山で農業していることもあり、「山に行きたい」と言うと、周りから「すでに山ガールじゃんww」と言われた。なるほど…???

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十日町市に移住してはや10年。移住前から、今に至るまで「山に住みたい」と言い続け、はや十数年?もちろんいわゆる中山間地に住み続けているけれど、実際に住んだと思っているのは独身時代の4年間だと私自身思っている。


結婚後は同じ市内の夫の実家で同居生活スタート。虫だらけの年中アウトドア生活みたいな分校暮らしから一変、便利生活へ。集落の規模も以前の約10倍以上。



「山の廃校に一人で住んで農業してる変わった子」と言われ続けていた私と結婚してくれ、今も「通い農業」を支えてくれる夫には、冷静に考えてみても全く頭が上がらないはずなのに、いつも「山に住みたい」と夫に言っては、喧嘩みたいになったり。


山にいる自分が一番心も体も自分らしく心地いい。居住地が変わる変化、違和感をずっとずっと受け入れられないままだった。いつか山に住みたい思いを捨てきれず、最初の移住地へ結婚後も「通い農業」を継続していたけれど、果たして無理が出てきたのだった。

変化にやっと向き合う

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当時、長年続いた干し芋加工も軌道に乗り、委託加工から自社加工へすべく、加工所を建設する計画を進めていた。多方面から資金的な支援もいただき、集落に説明をし、設計もでき、着々と進んでいたが、加工所をめぐるトラブルが発生し、建設は着工直前に白紙になった。辛い1年だった。


振り返れば、家族との時間をはじめ、多くのものを犠牲にしていた。

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農地がある地域まで往復1時間通い、日々の農作業をしながら、ひと、もの、お金の管理をしつつ、地域の人たちともちゃんとコミュニケーションし、一方まだ小さいこどもや義父母ともちゃんと向き合うこと。


無理だった。体力的にも精神的にも無理をしすぎた結果だった。当時はよく過呼吸になったり、ポロポロ涙が出たり、夫にも心配をかけてしまった。農地に通う度に、辛かった記憶を思い出し、胸がざわつき、通うのが辛くなってきた。それがここ2年のこと。でもやっと冷静に分析し、失敗に向き合えるようになったのも、2年経った今。


気づけば、結婚して6年になってしまっていた。変化に対してあらがってきたけれど、新しいステージへ切り替わる時かもしれない…。これと言った答えはないけど、今できることで、いつも心にある「山に住みたい」の「山」の解像度をもっと高めることで、次のステージへのヒントを得たいと思った。私が本当にやりたかったことってなんだろう、と。


6年かかった。
6年経ってやっと、やっと変化に向き合えるようになってきた。

キャンプから始まったアウトドアへの道

やったことは2つだった。

1つは、「women farmers japan」の活動運営。(この話は後日)

優先順位2

2つ目は、キャンプだった。今日はその話。
ちょうど大厳寺高原キャンプ場がスノーピークさんと連携して改修を行うにあたり、夫もお仕事させていただいたご縁もあり、大厳寺高原キャンプ場へ向かった。

小さい頃は毎年キャンプしていたのに、すっかり忘れていた。

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結果、最高だった!!!

そーだよねぇ、キャンプ最高ですわ〜。
そうそう、こんな感じだったな〜と小さなころの記憶も蘇り。

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大厳寺キャンプ場は水遊び場が充実していて、とにかく夏にはもってこい。

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何気にバーベキュー検定初級を持つ夫と私は、久しぶりにウェーバーのBBQ台も引っ張り出して、ステーキ焼き!うひょー、ものども焼け焼け〜い。

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友達の農家さんたちの野菜たちに舌鼓を打ちつつ、もう幸せオブ幸せでした…。(↑長女は常に水着)

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1歳なったばかりの次女ものびのび〜。

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夜は満点の星空でたくさんの流れ星が横切っていった。
焚き火をしながら、静かで幸せな時間。


美味しい食。心動かす大自然。その中でエネルギーを発散する子どもたち。農業を通じて家族とやりたかったことが、ここでできてしまったことに少し戸惑ってしまった…。


それ以降、休日は大厳寺高原キャンプのレビューをあーだこーだと夫婦語らいながら、アウトドアショップに行っては物色し、大自然を求めて、次のキャンプに向けての装備を整える日々だったのですが、そこで目にしたのが「アルプス」の情報だった。

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アルプス・・・・?


「いよいよ踏み出そう、雲上の世界の稜線へ!」


ピーン!


私の中で、たくさんのイメージが繋がってしまった。

実はwomen farmers japanで先日行ったリーダーシップ研修の中のあるビジョンワークで、ピンとくる絵を選ぶワークがあったのだが、

私が選んだのは、大気圏を突破するロケットの絵だった。

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(◀︎確かこんな感じの絵:かなこ作)

ワークでもずっと
「下界とは遠いところで、でも地球の変化がダイナミックに感じるところで、その美しい変化をただただ感じていたい」みたいな話をしていた。


さらにさらに、ここずっと毎朝朝食の片付けをしながら観ているNHK BS「グレートトラバース3」!!!

https://www4.nhk.or.jp/greattraverse/

佐藤家では、毎朝義母がBSで朝ドラ「はね駒」(1986年放送/斎藤由紀主演)からの、朝ドラ「エール」を観る流れなのだが、エールが終わると、グレートトラバース3が始まるのだ。ちょうどここずっとグレトラの田中陽希さんは北アルプスを登っていて、もうそれが最高で最高で、心がバクバクして、このたった15分の番組が毎日の楽しみだったのですが・・・。



「山、登ってみたいなぁ・・・」


と、急に降りてきた。
大気圏を突破するロケットの絵、グレトラ3…、私の中で、伏線回収がされてしまったのだ…!山に登るのだ!(単純)
そうして、日曜日にモンベルで装備を揃え、火曜日にはおとなり南魚沼市の坂戸山に登山していたのだった。(はや)

超人見知りの私が当時、なぜか話しかけた子が…。

キャンプするにも登山するにも、新潟はもとより、おとなり長野、群馬、富山とすぐそばに最高なロケーションがあることに気づいた。

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そんなこんなで、山に登りたいと思い立った私を導いてくれた友達がいた。

ゆみちゃん。

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(◀︎この日ゆみちゃんは「トレーニングだから」と言って15kgの水を背負って登っていた!すごすぎる…)

実は6年前、妊娠した時に母親学級で一緒になった方で、ゆみちゃんの息子くんと、うちの長女は誕生日が1週間違い。その後も予防接種などで会うこともあり、ゆみちゃん曰く私から話しかけたそうだった!(あまり覚えていない…)



超人見知りの私が、知らない人に自分から話しかけるなんてよっぽどの何かがないと本当にありえないのだが、当時の私、グッジョブ!!!(涙)
当時は、なんだかんだでLINE交換し、以降facebookでお互いの様子を見守り、だけど普通友達にありそうなシャレオツなカフェにお茶しに行くとかはなかった。そんな私たちが、ゆみちゃん行きつけの山(行きつけのカフェみたいに言う)に行くことになったのだ…!


実は、山に登りたいと思い立った時に一番に思い浮かんだのが、ゆみちゃんだった。ゆみちゃんは産後、息子くんを背負ってガンガンに山に登っていたからだ。ゆみちゃんが登山の投稿する度に「私もいつか…」みたいなコメントをストーカーのように毎回していた(恥)


・・・えっ、今じゃね???

とうとうその時がきた!!!

縁に、命が吹き込まれるタイミングがある

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出会った当時「十日町に住む前は、山小屋で働いていた」と言っていたのを思い出した。その時は「山小屋いいな〜」くらいにしか思ってなかったのだが、今になってよくよく聞いてみると「長野の北アルプス、槍ヶ岳の山小屋」だったのだ!!!(最近アルプスの本ばかり読んでいるミーハー即席山ガールは大興奮!!!)


思い切って「山に登りたくて」と久しぶりにLINEをしたら、最終目的地・北アルプスに向けて、こういうステップを踏んだらいいと丁寧に教えてくれた。そしてゆみちゃん行きつけの山「坂戸山」に一緒にトレーニング登山することになった。

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登山しながら話していると、ゆみちゃんと私はとてもよく似ていることに気がついた。人が苦手なこと、案外日常生活でやらかしちゃうこと、本当は山に住みたいこと、などなど…。

適材適所といえばそれまでだけど、自分が一番パフォーマンスを発揮できる場所はやっぱりある。似合う場所と、似合わない場所もある。


やっぱり山にいるゆみちゃんはとてもイキイキしていた。
そして、いつかの夢のために、ちゃんと日々山に登って体力づくりをしていた。そんなゆみちゃんの姿には尊敬しかない。本当にかっこいい。


思い立ったらすぐ行動派だけど、思い立って行動しても、実現しないことは多い。今回ゆみちゃんがいたから、こんなにすぐ登山への一歩を踏み出せた。ゆみちゃんと6年前に母親学級で出会えたことは、過去からの素敵なプレゼントに思えた。過去の縁に、命が吹き込まれ、時を経て今新しい何かが芽吹くような。本当にありがとう・・・。

一歩を踏み出せば、確実に頂上に着く

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次の目的地は苗場山。
苗場山では、今年干し芋加工を一緒に行ってくれた山ちゃんが、苗場山の山小屋で働いているので、ゆみちゃんと会いに行く。向かいたい先に、道先案内人のようにそこにいる友人を辿ってゆく。最終目的地は、ゆみちゃんが働いていた北アルプス・槍ヶ岳。向かった先に何があるのか分からないけれど、縁を辿りながら、心の赴くままに、山に向かってみようと思う。

歩き続けてもうまく行かないことが多かったここ数年だったけれど、山は一歩踏み出せば確実に頂上に着く。その当たり前の事実を体感して、小さな自信と勇気を取り戻せるようだった。


おわり


【雪国農業から、こころ動く世界を】
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