雪の日の思い出
雪が降ると思い出す。
岐阜県山県市(旧美山地区)で生まれ育った私の30年前の冬の記憶は、分厚く雪が降り積もる玄関からの景色だった。
小中学生の頃は、雪が降るたびに家族みんなで雪かきをした。
5時とか6時とか、まだ真っ暗な中起き出して、スキーでもするのかってくらい着込む。
分厚い手袋をして、ニット帽をかぶって、チラチラと雪が降る中、家族全員が外に出ていた。
雪が降っても親たちは仕事へ、私たちは学校へ行かなくてはいけない。
雪かきしないと車が出せないし、歩く道もない。
我が家の駐車場から庭を通り抜け、公道まで出るのに何十メートルもあるのを、えっちらおっちら雪かきをする。
田舎だから土地も広い・・・。
通称ママダン(ママさんダンプ)という、雪かき用のカートが最強だった。
しかし我が家には1つしかない。
一番力があり、効率よく動ける父親が、そのころのママダン担当だった気がする。
幼い私たちはスコップだ。
何十センチもある雪の層をすくっては脇に積み上げる。
その繰り返し。
雪は湿り気を帯びてとても重い。
すぐにクタクタになる。
どうにか車や人が通れるくらいになったら、切りあげる。
ストーブでぬくぬくになった部屋でみんなが上着や手袋、靴下を脱いで乾かす。
ほっと一息つける、その時間が好きだった。
やかんからしゅわしゅわと湯気。
こたつにみかん。
雪かき自体は寒いし重いししんどくて本当に嫌だったけど、終わった瞬間は「ふ〜やったねぇ」なんて、対して成果を上げてもいないくせに、さぞ頑張ったかのように振る舞ってストーブに当たるのだ。
今は、実家の方でもそこまで降ることは珍しくなった。
私が現在住んでいる岐阜県各務原市なんて、そもそも年に数回降る程度で、積もってもすぐに溶けてしまう。
雪かきはとてもしんどかったけど、雪が降るたびに思い出す。
今では懐かしい良い思い出だから、もうちょっと雪降ってくれてもいいのにな、とすら思う。
今日の天気予報は晴れ。
朝に積もった雪たちも、今チラついている雪も、昼の太陽では溶けてしまうのだろう。
この雪景色を少しの間だけ、楽しもう。
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ママダンが通じる地域と通じない地域とあるよね。
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