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白黒つけられない。

岩礁に照りつける陽射しの割には、吹いてくる海風が冷たく肌寒い。江の島では海の家の建設作業が始まっている。
休日、朝から次男に急かされながらお弁当を作り、病み上がりの三男は学校に行きたくないと言い車で校門前まで送る。朝までソファで寝たのに子どもたちを送り出してまた昼まで寝てしまった。大学の提出課題の要項を見るのが怖くてメールが開けない。珍しく早く帰宅した長男に一緒に海に行こうと誘うも、友達と遊ぶと言い、結局いつもの面子で家で集まり出す。

よく子どもたちと江の島の裏側で、カニを捕まえて遊んだな。最近は子どもたちは子どもだち同士遊ぶし、喧嘩は自分たちで解決するし、母は母というアイデンティティを失い始めている。子どもたちが父親を必要としないように、母もそのうち用無しになるのだろうか。

昼に目が覚めてから、写真仲間に教えてもらった坂口恭平のスペースを聴いていた。リスナーが順々に悩み相談をしていく。親への恨み、旦那さんとの不和、抽象的な喋り口から坂口氏は声を聴いただけで悩みが見えるという。
いのちの電話。昔、どうしても人に言えない悩みがあって、でも苦しくて「30分傾聴します。8,000円」というようなものにも縋ったな。でも結局何も言えなかったんだけれど。人に話して楽になるのならば、人に話したほうがいい。ただ聞いた側もそれなりの傾聴スキルがないと話すことも難しい時がある。

眠い。寝ても寝ても今日は眠い。
人に相談しても堂々巡りな悩みは解消されない。仕事も恋愛も行き止まり。解決策なんかない。今の悩みは、誰かが助けてくれるものでもない。逃げ出したい。誰かが悩まないようにわたしが我慢すればいいだけの話。それでも、寂しいとか心に空いた穴とかは、埋めるのが難しい。

少し平坦な入道雲がヤシの木の向こうに見える。もうすぐ夏がやってくる。まだ早いのに水着を買った。毎年、子どもたちを離島に連れて行っている。去年は八丈島に。名探偵コナンが好きな子どもたちは映画の舞台となった島に喜び、長男は光るキノコの自由研究をすすめた。ウミガメの泳ぐ海も満天の星空も綺麗だった。

何歳まで一緒に行けるかは分からないけど、綺麗な景色、非日常を見せたい。今後、生きていく上で、何が彼らの救いになるかは分からないけど、わたしはこの世に綺麗な景色があることで救われた部分が大きいから。


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八丈島にて



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