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産前産後の理学療法って何ができるの?

産前産後の時期の方に理学療法士は何ができるの?
っていうのを、
たぶん一般的な病院や施設の理学療法士さんたちも
あんまり知らないのかも...と思ったので

今日は徹底的に産婦人科PTにできることや
その専門性などをを書いてみたいと思います。


1. 産婦人科のリハビリで多く出会う訴え

本当はグラフ化したものもあるんですが
ちょっと勝手に出してはいけないと思うので
多いものだけ羅列すると...

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パッと見はやっぱり骨盤周囲が多いかなっていうのも
あるのかもしれませんが
基本的には全身的にいろんな症状の訴えがあります。

乳房トラブルとかも
一見理学療法士には関係なさそうに感じるかもしれませんが
アライメントによる影響も考えられるので
アプローチすることは結構あります。


2. 一般的にはどうしてるの?

こういう症状って一般的には

妊娠中だから産むまで我慢するしかない
産後だから仕方ないので、日にち薬で頑張るしかない

って思われていることが多くて
私も外来していてよくそんな風に聞かれます。

もしかしたら、産婦人科の医療者の方も
そう思ってらっしゃる方が多いかもしれなくて、
そういう部分に対して理学療法士が関われるなんて
全然考えたこともないっていう方のほうが
まだまだ多いのが現状
だと思います。


3. 産前産後のトラブルに対して理学療法士ができること

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 3-1. 骨盤底トラブルに対して

ただ骨盤底筋エクササイズを紙を渡してしているだけでは
結局どこをどう動かすのが正解なのか全くわからない中で行うので、
どうしても意味が薄れてしまうんですよね...

骨盤底筋もきちんと機能評価が必要で、

・筋力が低下しているのか?
・筋持久力が低下しているのか?
・速い収縮ー弛緩ができていないのか?
・動かしやすいポジショニングが取れていないのか?
・そもそもの骨盤のアライメント不良なのか?

という部分をみた上で、
じゃあどうやって機能を高めていったらいいのか?
をお伝えしていくことができたりします。

 3-2. 運動器トラブルに対して

産前産後の解剖学的・生理学的・運動学的な
身体の変化を踏まえて、

アライメント(姿勢・骨格のバランス・ゆがみ)の評価や
筋の機能評価を行った上で
痛みを取りのぞくための対応をしていきます。

骨盤ベルトは一時的でしかなかったりするので
状態をどうやって改善していったらいいのか?
を一つ一つ評価しながら対応するのが
理学療法士の役割です。

特に、この時期の胸郭や体幹の機能評価はすごく大事
そこから適切にその人に合わせて
対応を重ねていくことは
理学療法士が得意な部分だと思います。

が、一般的な整形外科の知識だけでは
なかなかうまくいかないこともあって、
産前産後特有の解剖生理と運動学的な知識は必要になります

そこがわからないと、
今どんな状況なのかの理解につながらないし、
リスク管理もできないので
危険も出てきてしまうんですよね。


 3-3. 入院中の予防・指導

切迫早産などでの入院は
なかなか介入も難しい面もあるかもしれませんが

出産後の入院中に

・痛み回避のための座り方や寝返りなど姿勢・動作指導
・腰痛や腱鞘炎を予防するための抱っこの方法
・肩こりや腰痛や臓器脱予防につなげる授乳姿勢

(助産師さんと連携必須)

などを行うことで
その後の産後の生活ってだいぶ違うかと思いますし
知っておくことって大事だと思うんですよね。


4. 介入のためには勉強が大事

今ある知識だけでなんとか...
もある程度はできてしまう分、
ちょっと怖いところもあるなと思うのは
やはりリスク管理の部分。

知らないままでは済まされないこともあったりするし
産婦人科医の先生や助産師さん看護師さんとの
共通言語がないままでは
臨床的には難しいことがたくさんあると思うので

やはり介入するためにはしっかり勉強することは必須だと思います。


今はPTさんは理学療法士協会の中でも
基礎セミナーなどからたくさんたくさんオンラインセミナーがあるので
これから関わりたいって思っている方は
どんどん受けられるといいんじゃないかと思います。

立ち上げることになってしまった!
っていう場合も
結局理学療法士がこの分野でどんなことができるのか?を
適切に把握していないと、きちんとした介入はできないので
こういう学べる場所を活用できるといいですよね。

サポートいただけるととっても励みになります!