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【ご質問】ウィメンズヘルスの勉強って何から始めたらいいの?

周りに産前産後に関わるセラピストがおらず、
何から始めたらいいのかわかりません。
現在の仕事に全力で取り組むことはもちろん、
それに加えて今からできることがあればアドバイスを頂きたいです。

2年目PTさんより。

というご質問をいただきました。
このご質問も本当に多いので、実際にどんな知識や勉強が必要なのか?
について、具体的に書いていきますね。


■アライメントや動きの評価

まず、大前提として、整形外科的な体の見方が必須です。

●各部位のみでなく、全身をみれること。
●骨盤の細かい評価
●1回の介入に変化を体感してもらえること。

●各部位のみでなく、全身をみれること

ウィメンズヘルス・産前産後って言うとどうしても骨盤のことが頭に浮かぶかもしれませんが、足部からの運動連鎖が症状を引き起こしていることも多数ありますし、胸郭の可動性の低下が骨盤に影響を及ぼしていることも多いです。

例えば、小学生の時の足首の捻挫だったとしても、妊娠中のホルモン弛緩で骨盤の症状に繋がることもすごく多いんですよ…
ってことは…整形外科のPTさんは、骨折や靭帯損傷の患者さまがいらっしゃったら、可動域がちゃんと最終域まで戻るように丁寧にみてあげることも「今できること」かもしれないですよね。

●骨盤の細かい評価

【寛骨】
・前傾/後傾
・挙上/下制
・インフレア/アウトフレア
・上方回旋/下方回旋

【仙骨】
・ニューテーション/カウンターニューテーション
・回旋

など、骨盤全体だけではなく寛骨や仙骨のレベルでの骨盤の評価はよく行っています。動きは本当にごくごくわずかですが、静止立位や臥位や座位だけでなく、片足立ちやスクワットなどの動作の中で評価することも多いです。

また、股関節や脊椎の動きとの関連性を見ることも多いです。他の関節と合わせて考察していくような全身を含めた骨盤のアライメント評価は、臨床的に必須かもしれません。


●1回の介入で変化を体感できる

基本的に、妊産婦さんってあんまり病院に頻回に通院するのが生活上難しい方が多いな〜という印象です。
妊婦さんはお仕事されてる方も多いですし、産後は「子どもを連れて外に出る」というだけでも大変なミッションなんですよね…
入院中だとしても、産後の入院って数日しかありませんし、妊娠中に入院されてる方は基本的にはハイリスクの方が多いので、そんなに長時間の介入は難しいケースだったりします。

つまり…
評価の精度をあげて、運動の中で変化を体感できるようにわかりやすく導く技術が必要になる!
っていうのが、私が今までやってきて思う部分です。


■泌尿器科・産婦人科の基礎

運動器的な体の見方は、PTの仕事をする中で、臨床的に磨いていける技術かなと思うのですが、そこに加えて勉強が必要になってくるのが、泌尿器と産婦人科の基礎の部分。

いくら整形外科的な介入ができたとしても、ホルモンによる特有の変化を知らないと対応できないこともたくさんあったりするので、ここを学ぶことも必須なんですーー

●骨盤底の解剖
●インナーユニットとしての運動
●排尿や排便の生理学・病態理解
●妊娠〜分娩の基礎
●女性ホルモンとライフステージの変化
などなど…

●泌尿器科分野

尿失禁や骨盤内臓器脱など、産前産後〜更年期に関わる泌尿器の疾患もたくさんあります。なんでもかんでも骨盤底筋エクササイズでいいわけではないんですよーー

骨盤底筋って、産後ゆるんでるという印象が強いかもしれませんが、実際に評価してみると、

・肛門挙筋が硬くて動きが悪い
・骨盤底筋に負担のかかる姿勢のまま動かそうとしている
・どこを動かしたらいいのかわかっていない
・代償運動だけで骨盤底筋は動いていない
・腹圧コントロールができていない

などなど、「骨盤底筋が動かせない」というだけでもいろんな方がいらっしゃいます。その評価がちゃんとできて、コントロールができるようにきちんと導いていくことが必要なんですよね。

動かせていると思っていても、実はできていないという方がものすごく多いのも特徴的です。評価の方法もたくさんありますし、股関節疾患など整形外科疾患との関連性も深い部分なので、勉強されるとまた視野が広がるのではないかな〜って思います。


●産婦人科分野

・女性ホルモンとライフステージの変化
・妊娠〜分娩の基礎

妊産婦さんのみでなく、思春期から老年期まで女性のホルモン変化って一生の中で大きな波がありますよね。

大きな波の中で、そのライフステージ特有のトラブルが起って来ることもあります。

妊娠や出産はその中でもすごく大きな体の変化を伴うので、トラブルが出やすくもあるんですが、実際にどんな変化が生理学的には正常範囲内なのか?どこまで介入したらいいものなのか?という部分は、やはり産婦人科の基礎を学ぶ必要があって、そこが大事な赤ちゃんとママを守ることに繋がります。

きちんと学ばないままなんとなく触るというのほど怖いことってないな〜と、やっぱり思うので、リスク管理の観点からも産婦人科の基礎は大事ですよね。


■今できることたくさんあります

勉強を重ねていくと、視野が広がっていくので、目の前の患者さまから学べることもきっとたくさんあると思います。街中の妊産婦さんを見る視点も少し変わってくるかもしれません。

勉強をするって、単に知識を増やすだけではなく、より俯瞰してものを見ることができるようになるということなんじゃないかなと思うので、ぜひいろんな教科書や文献などからも情報をとって、学んでみていただけたらと思います。

書籍の情報などはこちらにもまとめていますので、よかったら参考にしてみてくださいね。


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近藤カナ@産科の理学療法士
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