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ステイホームなクリエイティブ

あらゆるエンタメ業が打撃を受けたコロナ禍で、映画やビデオの撮影もままならなくなった。そんな時目にした一本のミュージックビデオ。メロディ・ガルドーとスティングがデュエットする新曲のlyric videoとして制作されたものだが、単純な手法なのにとてもドラマティックで素敵だった。

・焼け落ちていくポラロイド写真

曲のタイトルはLittle Something 。男女の様々な表情や情景を写したポラロイドが炎に包まれ、だんだんと焼けていく様を早回しで繰り返し写しているだけなのだが、これが不思議な効果をもたらしている。ポラロイドの白い縁の部分に手書きで、メッセージのように歌詞が書かれていて、切ないギターの音色とともに、次々と目に飛び込んでくる。時におどけたり、時に頰を寄せ合ったりする男女の写真が炎で歪む、ただそれだけの自然変化なのだが、なんだか目が離せなくなるほど、雄弁なのだ。

・カラフルなタイルも効いている

ポラロイド写真はカラフルなスペインかモロッコか、民族調の模様が綺麗なタイルの上に置かれていて、このちょっとしたグラフィックが、曲調と相まってまたメランコリックなムードを醸し出している。これが例えばコンクリートとか、古びたウッド調の板の上とかだったら、こんなムードは出ないだろうなーと思うと、ちょっとした事なのに上手い、、!と、そのセンスに感心する。。

・スティングの声ってほんと、ズルいわー。

メロディ・ガルドーも良いけど、スティングの声が好き。。一言歌っただけで、唯一無二の楽器のような声のシンガーって、ほんとにズルい。スティングはスティングという世界で一つしかない楽器なんだと思う。ポリス時代も良いけれど、ジャズ好きの私としては、スティングが歌うジャズが大好き。オススメしたいパフォーマンスがいくつもあって、My Funny Valentine 、Someone to watch over me 、In The Moonlight などなど、YouTubeで探すとたくさんあって、いわゆる王道のジャズボーカルっていう感じではないけれど、スティングにしか奏でられない、シルクのような歌声でホントに素敵。。

と、最後は個人的な趣味の話になってしまったが、大がかりなセットや仕掛けをしなくても、心を掴んで放さないクリエイティブはいくらでもできる、ということを改めて感じた一本のミュージックビデオだった。シンプルで、特に答を提示していない表現だからこそ、観る人の想像や想いを無限に拡げる余白があるんだと思う。

ちなみに2人が一緒に演奏する動画も複数あるので、この曲が気になった方はぜひぜひ、検索してみてくださいねー♪

・Melody Gardot & Sting - Little Something (Lyric Video)
https://youtu.be/7WgN7yyIrck

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