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息子の友だちアイ君のこと。

小学5年生の息子の友だちにアイ君(偽名)という男の子がいる。
近くのマンションに住んでいて、学校帰りや週末に、ときどきやってくる。
平日は、私が仕事から帰ってくる前に遊びにきて、私が家に帰る前に自分の家に帰っていく。

さて、このアイ君。あまり、ご近所からの評判が良くない。
まず、小学5年生になって未だに九九を覚えられていない。
幼稚園生のときに前髪を金髪に染めていたことや、お父さんがかなりの強面でまるでヤクザの風貌だったり。評判が良くないのは、そのためではないかと思う。息子もアイ君が学校でもご近所でもあまり好かれていないという噂を陰で聞いて気にしていた。

息子が先日、アイ君の家に遊びに行ったとき、お父さんが裸でびっくりしたんだよとか、アイ君がウチに遊びに来るといつも暗いのが落ちつくと言って真っ先にカーテンを閉めたり。
正直なところ、私も初めはこの子は遠ざけた方がいいものなのか?と頭をよぎったこともあった。


息子と家で遊ぶときは、何か作っていることが多い。自分でYouTubeチャンネルを開設して動画を撮ったり、ゲームをしながら、家の階段にドミノを作って、撮影して編集したものを私に見せてきたり。
ちゃんと挨拶もするし「汚れているから片付けてー」と言うと息子と一緒に片付けるし、YouTubeの規定や規約も自分なりに、一生懸命調べて、ちゃんと遠慮もある子だよね。ということで家で遊ぶことに私は口を挟まないことにした。

そう、この子はこの子。
息子曰く、あんな怖そうなお父さんなのに、明るく育っているのがアイ君のいいところなんだ。とのこと。

こんなこともある。
家のソファーでゲームをしているアイ君の指の動きのあまりの速さに
何のゲームしてるの?と聞くと、
「フライデーナイトファンキン」という音を追うゲームとのこと。
画面に流れてくる音の球に合わせて素早くボタンを押していくゲームなのだが、私はアイ君のリズム感の良さに感嘆した。
そーんなに速いなら、何か「フライデーナイトファンキン」の試合とかに出てみなよと煽った。
言われたアイ君は、興味なさそうにうーんと言っていたけれど、
数日後の夕方「きょう、8時からアイ君の試合なんだよね」と
息子がそわそわしている。
なんとアイ君は自分で大会を調べエントリーして、日本大会で3位を取った。
すごいじゃないか!やるねぇ!みんなに自慢しなよ!
とアイ君に伝えたけれど、「いや、別に。学校でもみんなには、言わない。」という具合。もしかしたら学校での、みんなの自分に対する振る舞いに気がついて傷ついているのかもしれない。

もっと自慢すればいいんだ。
まわりの見方なんて一瞬で変わるんだから。
大会3位とかそういうの、もっと使えばいいんだ。

後日、息子調べによると、アイ君の出た試合は
「フライデーナイトファンキン」ではなく、それを真似て作られた
「ビートバトル」という大会だった。

惜しいぞ!アイ君。

でもいいんだよ。自分でそこまで調べてエントリーして戦ったんだから
すごいじゃないか。九九を覚えられないのも、九九に興味が持てないだけだ。好きなYouTubeで覚えりゃぁいい。
負けんなよ。まわりからの偏見に。

※こう書いてきましたが、これでさえも私のアイ君への偏見が混じっている可能性があります。でも、私はこれからも彼を快く家に招き入れたいと思います。





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