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#7『天穂のサクナヒメ』から学ぶゲームデザインの引き出し(1)「2つのジャンルのミックス」

本記事は遊んだゲームから、一つのアイデアに注目してゲームデザインの実例を勉強していく連載記事です。

自身の勉強と、ゲーム開発者やゲーム制作を志す方へ向けての記事となっています。

ゲームの紹介

『天穂のサクナヒメ』(てんすいのサクナヒメ)は、2020年に、Nintendo Switch / PlayStation 4 などで発売された和風アクションRPGです。

アクションゲームとしての面白さもさることながら、稲作パートの米作り部分が奥深く、あまりにリアルに作られていることが大きな話題を呼びました。

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『天穂のサクナヒメ』 ©2020 Edelweiss. Licensed to and published by XSEED Games / Marvelous USA, Inc. and Marvelous, Inc.

稲作で米を育てて主人公のパラメータを向上させ、そのパワーアップした能力でアクションパートを攻略するという、2つのパートが上手く組み合わさっていることもこのゲームの評価が高いポイントでしょう。

本ゲームの魅力は様々なサイトで語られていますので、本記事では改めて深くは触れませんが、私も非常に楽しんだ作品です。

アクション×稲作の好循環

先に書いたとおり、本作は大きく「アクション」と「稲作」の2つのジャンルの異なったゲーム部分から成り立っています。

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『天穂のサクナヒメ』 ©2020 Edelweiss. Licensed to and published by XSEED Games / Marvelous USA, Inc. and Marvelous, Inc.

豊穣神である主人公のサクナは、舞台となる荒れ果てた島にたどり着いたときにはまだまだ非力ですが、稲作パートでより良い米作りをすることで米の力を源泉とし、能力を成長させることができます。

その成長した能力でアクションパートを先に進めることで、稲作で出来ることも広がっていき、今度はもっと良い米が作れるようになり……という循環のゲーム構造になっています。

この「アクション」と「稲作」の2つのパートが良く循環していますし、「豊穣神」という日本古来の宗教観に基づいたテーマがそれを説得力のあるものにしていると感じます。

2ジャンルのミックス

過去に色々なゲームが、2つのジャンルのミックスを試みていますし、この記事を読んでいる皆さんも考えたことがあるかもしれません。

成長要素(≒RPG要素)のあるアクションゲームは多数ありますし、RPGの中に経営などのシミュレーション要素が入っているものもよくあります。

『パズル&ドラゴンズ』に代表されるような、ゲーム中のバトルなどの部分に別のパズルゲーム要素を入れたシステムも流行りましたね。

「好循環」と「テーマ」

どんなゲームジャンルであれ、1つのゲーム中に2つのジャンルをミックスすることは出来ると思いますが、その2つのジャンルがバラバラに存在しているだけでは1つのゲームに落とし込んだ意味がありません。

『天穂のサクナヒメ』のように、2つのパートの融合が説得力のあるものになるためには、どういう点が重要でしょうか。

AとBの2つのゲームシステムがあったとして、

・Aの成果がBの攻略に影響を与え、また、Bの成果がAに影響を与えるというように循環があること。

・そのAとB部分が、(サクナヒメでは「日本神話」のように)共通のテーマによる説得力が与えられていること。

が上手いジャンルミックスのポイントなのではないでしょうか。

考えてみましょう

皆さんの遊んでいるゲームや、開発しているゲーム、構想中のゲームに、他のジャンルを一つ足すことを考えてみたら、どのようなジャンルが足せるでしょうか。

その際に、2つのパート間での「好循環」はどのようなものが考えられるでしょうか。
また、2つのパート間を繋ぐ「テーマ」はどのようなものが考えられるでしょうか。

皆さんも一緒に、色々とアイデアを考えて勉強してみましょう。
本記事がゲーム開発におけるアイデアの引き出しになれば幸いです。


本連載の趣旨については下記記事をご覧ください。

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(※本記事中のゲーム画像は、「引用」の範囲で必要最低限の範囲で利用させて頂いています)