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#11『スナイパー3Dアサシン』から学ぶゲームデザインの引き出し(2)「視野の切り替え」

本記事は遊んだゲームから、一つのアイデアに注目してゲームデザインの実例を勉強していく連載記事です。

ゲーム開発者や、これからゲーム制作を志す方へ向けて、アイデアの引き出しとなれば幸いです。

ゲームの紹介

『スナイパー3Dアサシン』(Sniper 3D)はスマホ用の一人称シューティングゲーム(主人公視点で銃で敵を撃つタイプのゲーム)です。

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Sniper 3D / Fun Games For Free

(※ストアを確認したらクローンアプリが多数あったためご注意ください)

主人公は凄腕のスナイパー(狙撃手)となり、依頼されるミッションをこなすために、スナイパーライフルを用いて犯罪者や悪人の頭を撃ち抜いていくというゲームです。

例えば、人質を取って立てこもる誘拐犯を仕留めたり、麻薬の取引現場で密売人を始末したり、不正に手を染める権力者を葬ったり、といった具合です。

ハンドガンやショットガンなどの他の銃器を使うモードや、オンラインで他のプレイヤーと競い合うPvPモードなども用意されています。

拡大スコープ機能

本ゲーム特有の機能ということではなく、数多のFPSゲームでもおなじみの機能ではありますが、本ゲームではスナイパーライフルの「拡大スコープ」を覗くというのが重要な要素になっています。

肉眼では捉えられない長距離の狙撃で、照準をターゲットに合わせるのが難しいところ、拡大スコープを使って画面をズームさせることで、しっかりと狙いを定めてヘッドショットを決めることができるというわけです。

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Sniper 3D / Fun Games For Free

FPSゲームの中でも、接近戦でマシンガンを撃ち合うような場合はスコープを使わないこともありますが、遠距離で狙撃をするスナイパーにとっては、必須の機能となっています。

ただし、拡大スコープには欠点もあります。

スポーツ観戦などで双眼鏡を覗いたり、天体観測で望遠鏡を覗いたことがある人には分かるかもしれませんが、一度に見渡せる範囲が狭いため、周囲の状況が把握しづらかったり、一度見失うと再びターゲットを探し出すことが困難になるのです。

そのためズームの拡大・縮小を切り替えながら、周囲の状況と、細部の状況を把握する、といった立ち回りがゲームでは求められます。

全体の視野と、細部の視野

さて、ここまでは拡大スコープの話をしてきましたが、これは、要するに情報を見れる「範囲」と「詳細度」をコントロールするシステムといえるでしょう。

広い範囲をザッと見渡すか、狭い範囲をしっかり見るか。
このような一度に見れる範囲を拡大・縮小できるような要素を取り入れたシステムは、どういったものが考えられるでしょうか。

例えば、「スマブラ」シリーズのようなアクションゲームでは、各キャラクターの立ち位置によって、近距離の場合は迫力のあるズーム画面、遠距離の場合はステージ全体を見渡せる引きの画面のようにスムーズに拡大・縮小するものもあります。

RPGや、2Dの戦略SLGのように全体マップと縮小マップを切り替えられるようなものも多くあります。ゲームシステムというよりは単に情報の提供方法ですが、これも全体と細部の切り替えを選択できるシステムです。

弾幕シューティングゲームで、自機の周囲を拡大し、弾幕のわずかな隙間をすり抜けることができるシステムなどもあるかもしれません。

『Among us』の鬼ごっこのようなゲームパートで、自分の周囲しか見れないプレイヤーと、それよりも広い範囲が見える犯人役(Imposter)のように視野の量に差を付けた非対称ゲームもあります。

「視野の切り替え」を考えてみる

このように、あなたの遊んでいるゲームや、開発しているゲームで、プレイヤーが受け取る情報範囲が変わるような「拡大スコープ」のような機能を入れるとしたらどこが考えられるでしょうか。

単に拡大・縮小するといった観点だけでなく、拡大時にはどんな情報が増えて、逆にどんな情報が減るのか。縮小時にはどうなのか。与えるべきメリットとデメリットについても考えてみましょう。

その受け取る情報の変化によって、プレイヤーの体験や立ち回り、ゲームの操作性はどのように変わるでしょうか。


皆さんも一緒に色々とアイデアを考えて、より良いゲーム作りのための鍛錬を積んでいきましょう。
本記事がゲーム制作をする皆さんのインプットに役立てば幸いです。


本連載の趣旨については下記記事をご覧ください。

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(※本記事中のゲーム画像は、「引用」の範囲で必要最低限の範囲で利用させて頂いています)