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ーあこぎ小説ー  誰が私をこうさせたのか

 夫が事業に失敗して、高額な借金を残して自殺しました。

 「これからは、ネット通販の時代だ!」

 と、30年古いことを言って、会社を辞めて、マメ殻やら稲わらやらもみ殻やらをミキサーで粉砕してカプセルに入れて、『下痢して痩せるダイエットサプリ』なんていうとんでもないものを手作りで作って売ろうとしたり、『テンガ専用のコンドーム』という意味不明なものを作って売ろうとしたり、ついには小学校4年生の自分の娘を裸にして亀甲縛りにして写真に撮り、その画像を売ろうとしたり(この時は本気で離婚を考えました)

 こんな馬鹿みたいな商売を借金してやるんですからそりゃ最後は自殺でしょう。

 幸いなことに、外で死んでくれたので、自宅マンションが事故物件にならずに済みました。

 自殺だし、お金が無いので、葬儀社に相談して、とにかく棺桶に入れて、お坊さんに来てもらってお経を唱えてもらい、すぐに棺桶を火葬場に車で運び、焼いてもらいました。

 遺骨は一応骨壺に入れ、霊園の無縁仏にしました。

 しかし、それからが大変でした。

 連日のように借金取りたちがたくさん来るのです。 

 「オラー、卵子売れー」

 「子宮売れー。代理母になれー」

 「風呂に入れー」

 ガラの悪い金貸しばかりです。夫はよほど信用が無く普通の銀行やテレビでCMをやっているようなサラ金ではお金を借りることは最初から考えなかったのかな、それとも借金を溜めると、どうしてもこんな人たちばかりが来るのでしょうか・・・。 

 とにかくお金を返さないといけません。


                           つづく



 

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