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不妊治療ヒストリー63 ~天国から地獄へ~

【※不妊治療が保険適用になる前の話です。現在の状況と異なる部分があります】


ドキドキの凍結結果

採卵日から10日後、凍結結果を聞きに病院へ。

採精結果も悪くなかったし、卵も4個採れた。
きっといい結果であると信じて疑わず、もしかしたら次の周期に移植したら妊娠できるかも?ついに私もママになるのね!などと浮かれた気分でいた。

しかし世の中甘くはない。

卵は全滅だった。

4個中3個は初期の段階で成長が止まったが、残りの1個は桑実胚まで育ったらしい。胚盤胞まであと一歩だったが、あえなく力尽き…とのことだった。

結果を聞きながら「ああ…採卵結果を聞いたときに”初期胚で!!!”と猛プッシュすれば…いや、前院での結果を見て初期胚で凍結してくれるものだと勝手に思っていたのがいけなかった…」と猛烈に後悔した。

しかし覆水盆に返らず。
頑張ってくれた卵たちの結果が印刷された紙を目にしながら心の中でそっと「ごめんね」と謝った。

次だ、次があるさ

先生からは次周期はお休みし、再度採卵するスケジュールを組むことを提案された。

年齢的に休むことは気が進まないが、卵巣を休ませるという意味でも小休憩をはさんだ方がいいかな…と思い提案を受け入れた。

生理2日目~5日目に来院するように言われ、病院を後にした。

考えても仕方がないことだが、転院したことで少しは状況が好転すると信じて疑わなかったし、新規予約がとれないことで有名な病院にすんなり行けたし縁があると思っていたのにとグルグル考えを巡らせる。
自分の思い込みで初期胚で凍結したいという意思を見せなかったからという思いの反面、病院側も確認してくれてもいいじゃないかと少しだけ相手のせいにもしたくなった。卵があまり取れない人間にとっては死活問題なのに、と。

だが後悔しても全滅した卵たちは戻ってこない。
辛くても悲しくても次に向けて気持ちを切り替えるしかないのだ。

夫には「全滅だった。ごめん」とだけメールを打ち家路につく。
しばらくして「そっか…お疲れさまだったね」と返信が来た。

落ち込んでいるのは私だけではない。
普段あまり感情を表に出さない夫だが、文面だけでも十分にショックを受けているのが分かる。そんな中でも私をねぎらう言葉を見つけてくれた。

私が落ち込むのは家に帰るまでだ。

帰り道自分へのご褒美を買い、晩御飯は夫の好きなメニューを作ることにした。

3軒目でのチャレンジはまだ始まったばかり。
今日だけは自分を甘やかし、明日からは次回採卵に向けて体調を整えていこうと決めた。

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