書評『コンパクト版 基礎からわかる民事訴訟法』

和田吉弘『コンパクト版 基礎からわかる民事訴訟法』商事法務・2015

初学者おすすめ度:★★★★★ 星5
既習者おすすめ度:★★★☆☆ 星3

本書は初学者向けの民訴の教科書です。
企業の法務部の人や非法曹志望者といった人を読者として想定しているとのことで、非常に分かりやすい内容になっています(そのため、初学者おすすめ度星5です)。

以下の3点が、私が思う本書の特徴です。

①図が多い
文字だけのページがほぼないです。民訴は抽象的な概念を扱うことが多い科目なので、図や表があることで非常に理解がしやすくなっています。

②確認問題が多い
各章に選択肢や正誤(○✕)の確認問題が挟まっています。これにより、自分の頭で考えながら読み進めることができるので、ダラダラと字を追うだけにはなりにくいです。

③タイトルの通り“コンパクト”
民訴は、とりあえず一周するということが非常に重要です。訴訟手続の全体像がつかめると、二重起訴・弁論主義・処分権主義などの問題が、訴訟手続のどういう場面(どのフェーズ)で生じるのかが分かり、理解が格段に進みます。そのため、コンパクトにまずは一周できるのは魅力的です。具体的には、約200頁であり、数日で読み切ることが可能です。
コンパクトであることの裏返しとして、他の基本書と比べて判例や学説について詳細な説明が載っているというわけではないので、しっかり判例や学説も基本書で深めたいという人は『基礎からわかる民事訴訟法』の方を手に取ってみるといいと思います(そのため、既習者おすすめ度は星3です)。



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