書評『事例問題から考える憲法』

松本和彦『事例問題から考える憲法』有斐閣・2018

初学者おすすめ度:★☆☆☆☆ 星1
既習者おすすめ度:★★★☆☆ 星3

本書は法学教室の連載が元ネタになった本です。
憲法の事例問題が全部で30問掲載されています。問題と解説のみで、答案例などはついていません。憲法はまず初学者は答案の形を把握してから勉強した方がよいと思っているので、自分が初学者段階ではやらないかなと思います。そのため、初学者おすすめ度は星1です。

本書は、一方当事者の立場から憲法論を論じるという問題の立て付けになっています。一般的な出題形式である、「主張·反論·私見型」「意見書型」とは違う特殊な問題の立て付けです。
確かに、解説の内容を読むと、反論を想定した立論をすることにはなるので、反対の立場からの見解が身につかないということはないです。しかし、実際の試験ではあまり見ない形式であることは確かです。そのため、「事案に引き付けた形で知識を吸収したい」というのであればスムーズに読み進めることができますが、「答案の形をイメージしながら読みたい」という場合は、結構じっくり読まないといけないなという感じです。
受験という観点でいえば、答案の形をイメージしながら読んだ方が学習効果は高いと思いますし、そういう使い方をするという観点では、最初から問題の立て付けが「主張·反論·私見型」の方が、問題集としてはありがたいなと思います。そのため、既習者おすすめ度は星3です。


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