書評 『憲法ガールRemake Edition』『憲法ガールⅡ』

大島義則『憲法ガールRemake Edition』法律文化社・2018
大島義則『憲法ガールⅡ』法律文化社・2018

初学者おすすめ度:★★☆☆☆ 星2
既習者おすすめ度:★★★★★ 星5

憲法ガールは、司法試験の過去問を登場人物が解いていく物語形式の本です。司法試験が題材のため、初学者が読むことは難しい気がしますが、単に小説として読むのであれば、初学者でも読めると思います。そのため、初学者おすすめ度は星2という感じです。


私が思う憲法ガールの特徴は、以下の通りです。

①題材が司法試験
司法試験を目指す人であれば、ゴールである司法試験で問われる水準を知ることは大事です。ゴールを知ることで、自分の不足部分が分かりますし、それを埋めるための方法を考えることもできます。
そのため、次の司法試験を受けるという人に限らず、学部生であっても、いずれ司法試験を受けようと志すのであれば、憲法ガールを手に取ってほしいと思います。

②解答例つき
憲法の答案の型を身に付けるためには、答案例を見るのが一番早いです。憲法ガールは、答案例がついているので、憲法の答案のイメージができるようになります。
また、自分で答案構成ないし答案作成した後に答案例を読めば、自己添削できるので、効率よく演習できます。
『Remake Edition』の方は、解答例がロングバージョンとショートバージョンがあります。ショートバージョンを読んで、文章量的に現実的な答案ラインを把握することができたのはよかったです。

③解説が丁寧
解説が分かりやすいです。問題で扱われているテーマについて、基本的な部分から応用的な部分まで説明がされているので、事案解決に必要な憲法の知識·発想を効率よく吸収できました。予備校本と比べて、解説の節々で注釈·参考文献を付してくれるので、発展的な学習につなげやすいというのも、おすすめポイントです。

④ワンポイントアドバイスが神
個人的な憲法ガールのイチオシ要素は、ワンポイントアドバイスです。主張反論私見型で陥りがちな答案の書き方とか、問題文の誘導の分析とか、答案を書く上で参考になるアドバイスが載っています。答案を書く上での注意点が言語化されているので、自分の頭で一から答案を構築する際に意識するポイントを把握することができました。これにより、答案例を見て何となく答案の作り方を分かった気になっていた段階から、一つステップアップできたのではないかと思います。

以上が私が思う憲法ガールの特徴です。



ちなみに、参考までに説明させていただくと、憲法ガールを買ったのは司法試験1か月前です(めっちゃ愛用者の雰囲気を出しておきながらすみません)。
それまで、私は憲法については何となくロー受験や予備は直前に論証だけ頭に入れてやり過ごしていた感じでした。そんな状態ですから、いざ司法試験の過去問を解いてみると、ふわっとした知識や答案作成技術では厳しいということに気づきます。そこで、何とかしようと模索する中で、憲法ガールの存在に思い至り、過去問演習のために憲法ガールを買いました。流石に憲法に真剣に取り組むのが直前すぎたので本番はBでしたが、憲法ガールをやっていたからこそBで踏みとどまれたのかなと思います(特に、それまで主張反論私見を解いた経験がなかったので、憲法ガールをやっていなかったらやばかった気がします)。今から振り返ると、もっと早く買っておけばよかったです。今はレジュメ作成や添削などの際に参照するなどして愛用しております。


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