書評『実戦演習 民法―予備試験問題を素材にして』

古積健三郎『実戦演習 民法―予備試験問題を素材にして』2021・弘文堂

初学者おすすめ度:★☆☆☆☆ 星1
既習者おすすめ度:★★★★★ 星5

予備試験考査委員経験者である学者が予備試験の解説をしている本です。

題材が予備試験であるため、初学者向きではなく、既習者向きでしょう。

具体的な内容としては、各年度につき、
問題→解説→出題趣旨の分析→答案例→事案から派生した発展的議論
という流れで記述されています。

解説は、民法の短文事例問題をある程度やったぐらいのレベルの人なら十分に読めると思います。中には、予備校答案の書き方について具体的な理由を説明しながら批判している部分もあり、非常に参考になりました。
出題趣旨の分析では、一部年度について、出題について疑問を呈しており、興味深かったです。
答案例は、考査委員経験者の答案例ということで、参考になるということに多言を要しないでしょう。
発展的議論については、予備試験の解説というよりも判例や学説の詳しい解説なので、予備試験の問題演習という観点でいえば、重要性は相対的に低いと思います。

予備試験考査委員経験者の予備試験解説本(しかも答案例つき)という点で、受験生にとって非常に価値がある本だと思いますので、ぜひ手に取ってみることをおすすめします。

ちなみに申し上げると、私は受験生時代、特にこの本を使っていませんでしたが、最近、答案を添削するために本書を購入しました。考査委員経験者が書いた解説·答案例ということで、非常に説得力があり、重宝しています。


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