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全国朝市サミット協議会にて、ゼミ生が研究発表をおこないました

国際日本学部の山本志乃ゼミナールでは、旅・移動・観光に関わる人々の営みを、さまざまな角度から探求しています。2023年度のゼミでは「市(イチ)」をテーマに、文献講読やフィールドワークを通して、人と人とが顔を突き合わせ、物のやりとりをする「市」という場の歴史的変遷や現代社会における役割などを考えてきました。
なかでも活動の主軸としたのは、9月上旬に3泊4日で実施した、岩手県盛岡市でのフィールドワークです。ここで開催されている神子田朝市にうかがい、ゼミ生全員で分担を決め、組合長さんや出店者の方々から、出店のいきさつ、商売の苦労や楽しみ、お客さんとの関係など、さまざまなお話を聞くことができました。3日間、毎朝5時から8時過ぎまで、普段の生活とはまったく違う時間帯での活動でしたが、朝市の皆さんの暖かい心づかいに励まされ、無事に調査を終えることができました。

神子田朝市の事務所にて吉田晃組合長からお話をうかがう(2023.9.7)
朝市の出店者からお話を聞く学生たち(2023.9.8~9.9)
朝市の出店者からお話を聞く学生たち(2023.9.8~9.9)
ミーティング会場の「プラザおでって」ロビーにて(2023.9.10)

そして2023年11月11日(土)、千葉県勝浦市で開催された「全国朝市サミット協議会代表者会議」にて、今年のゼミ活動の研究発表をする機会をいただきました。全国朝市サミット協議会は、朝市を地域の文化として大切にしている14の団体で構成された任意の集まりで、神子田朝市もそこに加わっています。例年、各団体の持ち回りでサミットを開催してきましたが、ここ3年ほどは新型コロナウイルスの影響で延期となっていました。来年度本格的な再開の見込みが立ったことから、今年はその準備として勝浦にて代表者会議が開催されることになり、会場となった勝浦はじめ、北海道や東北、神奈川など各地の朝市関係者の方々約30名が集まるなか、会議の終わりの30分程度をいただいて、学生たちが研究発表を行いました。

全国朝市サミット協議会代表者会議での学生による研究発表(2023.11.11)

発表では、今年のゼミ活動で学んだことを、神子田朝市でのフィールドワークを中心にまとめ、大学生の目でみた市という生活の場のあり方について考察しました。参加者の皆さん熱心に聞いてくださり、発表後の質疑応答では、学生自身が出店してみたいと思う場面があったかなど、朝市を主催する方々ならではの質問も投げかけられ、貴重な意見交換の場となりました。

以下に、参加したゼミ生の感想を紹介します。


「勝浦の朝市サミットに行って」

 地域の宝とされている朝市の存在。そんな朝市を最もよく知り、大切に思う、全国7ヶ所の代表が集まり話し合う朝市サミットを見学した。突然決まったサミット参加であったが、ゼミ生9人全員が参加でき、会議最後には、9月に訪れた盛岡神子田朝市の研究発表をプレゼンすることができた。コロナ禍をきっかけに盛り上がる朝市もあれば、衰退していく朝市が存在する。その悩み、営業方法を共有しながら、絶対になくならないで欲しいと肩を叩き、鼓舞し合う代表たちの姿は印象的であった。朝市には500年以上もの歴史を持つところも存在し、時代と共に変化しながら受け継がれてきた。そして、今では生産者と消費者が直接やりとりできる貴重な場として残っている。地域の特色と魅力があり、朝市にいる人は年齢と反して生き生きしている。そこで暮らす人たちにとって、生き甲斐であり、コミュニティとしてあり続ける朝市を知った。実際足を運び、見て、聞き、感じる経験としてのフィールドワークの大切さを学んだ。(国際文化交流学科3年 綾部芙美)

 私たちは今回、朝市サミットでゼミの研究発表をさせていただきました。加えて朝市サミットでの会議にも同席させていただき、各地の朝市の活動について知ることができました。コロナ禍における活動の結果や成果、現在の課題や今後の目標なども、それぞれの朝市がその土地に合わせた考えを持っていました。朝市といえば、地域の活性化や観光客などにフォーカスしたり、さまざなイベントを開催したりと、特別感や非日常といったイメージがありますが、会議に出席していたそれぞれの組合の代表者の方々の考え方は地元に寄り添ったものであり、柔らかでアットホームな雰囲気で話し合いを行なっていました。笑いも交えながら朝市をどう盛り上げるか、どうやって来る人に楽しんでもらえるかを真剣に考え会議しているように感じました。朝市というものがその地域の人々にとっては身近で日常であり、その日常の楽しみを守るために本気になって活動する皆さんの姿とこのような朝市サミットの在り方を目の当たりにし、感銘を受けました。学生の私たちにとって大変貴重な経験をさせていただきました。(歴史民俗学科3年 汀真央)


 神子田朝市のフィールドワークをはじめとする今年のゼミ活動の成果は、年度末に発行するゼミ誌にまとめるため、現在編集作業を進めています。できあがったゼミ誌は、お世話になった関係者の方々に謹呈する予定です。

(神子田朝市公式インスタグラムには「神奈川大学生さん」のストーリーズも公開されています)

国際日本学部歴史民俗学科教授
山本志乃

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