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国際日本学部の特色のある授業紹介〜日本文化学科の授業:舞台芸術論

舞台芸術論では日本の近現代舞台芸術について知識を身につけるだけでなく、劇場での観劇やゲスト俳優の方々によるワークショップ・講演など実践的に舞台芸術を学ぶことができます。今回は日本の劇作家・演出家である平田オリザ氏の作品を中心に様々な日本の舞台芸術について学びました。

その一環としてこまばアゴラ劇場にて平田オリザ氏が主宰する青年団の作品「S高原から」を鑑賞しました。実際に劇場で観て、映像では感じられない劇場内に漂う作品の雰囲気や舞台の外にある客席や音響照明設備の存在を感じられました。動画配信がメジャーになってきている今でも舞台芸術を実際に客席で観ることの価値は十分にあると再確認できました。

青年団「S高原から」(2022)撮影:三浦雨林

3回行われたゲスト回では、現役の俳優の方々が、ご自身の活動に関するお話やワークショップをしてくださいました。

南波圭さん(なんばしすたーず/NPO法人演劇百貨店/青年団)がいらっしゃった回では、全員で円になるように座ってゲームをしたり、実際に観劇した「S高原から」の一場面を、徐々にタスクを増やしながら読んだりしました。ゲームも読み合わせも即興力とチームワークが求められるもので、演劇をする側に必要なスキルやその楽しさを体験することができました。

大石将弘さん(ままごと/ナイロン100℃)がいらっしゃった回では、実際に大石さんが参加している演劇プロジェクトから、多様な演劇の可能性を学びました。また、授業内で班に分かれて大石さんが参加している「きくたびプロジェクト」の活動を体験させて頂きました。このプロジェクトは演劇の手法で情報を音声にするもので、今回はあるひとつの絵を言葉で表現した音声を作成するワークショップを行いました。その絵には具体的な物が描かれていないので、色や模様を形容して説明したり、その絵の印象が伝わるような表現でその説明を読み上げたりと、工夫を凝らしました。まるでお芝居の脚本を作って演出をしているようで、演劇は劇場の中に囚われず、表現の手段として利用できることを知りました。

武石守正さん(SPAC)の講演はオンラインで行われました。武石さんが俳優として今の活動をするに至るまでの経緯や、日本の演劇界についてお話してくださいました。その中でも、稽古や作品づくりを通しての演出家と俳優の関係についてのお話はとても印象深く、観劇するだけでは見えない演劇の姿を知ることができたような気がしました。

授業全体を通して、映画や商業演劇ではない近現代の日本の舞台演劇の歴史や実態を知り、ゲスト回で演劇をつくる側の貴重なお話を聞いたことで、舞台芸術に対する理解が深まりました。
舞台芸術、エンターテイメントの見方は人それぞれですが、知識を身につけることで、より批評として共有できるような芸術鑑賞の見方ができるようになったと思います。

(日本文化学科2年 T.I.)


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