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アメリカの高校~ハワイ~

先日、真珠湾攻撃80周年を迎えました。

一度パールハーバーにある展示を見に行ったことがあります。
日本=加害者
アメリカ=被害者
と完全に分けられたような解説に正直嫌な気持ちになってしまい、それからパールハーバーには一度も行っていません。
ここはアメリカなので仕方がないと言えばそれまでなんですが。

この日に合わせて日本からもハワイの子どもたちがどのような教育を受けているのか、続々と取材が入っていたようです。
現地の学校で日本語を教える友人たちも続々とコーディネーターとして活躍したいた模様。
そこで知ったハワイの教育の一部ですが、現在は「加害者・被害者がどちらか」ではなく「戦後どのように手を取り合ってきたか」「どのように手を取り合っていけるのか」という前向きな指導・取組みが行われているようです。

友人が活躍するのは素直に嬉しいですし、そんな活躍ができる友人がいることは心強いのですが、一方、
「今の私は何をしているんだろう」
「今の私には何もない」

と焦りが募ります。

さて、話はタイトルにある本題に移ります。

なぜ、今回アメリカの高校教育について書こうと思ったかというと、
昨日かつて勤務した学校の先生に招待されて、AP Japaneseを受講中の高校生と日本食レストランRinkaに行ってきたからです。

本当に日本のお味でした!
お寿司がおいしそうで食べたかった~🍣産後は絶対生魚とシャンパンで乾杯と決めています! (その日の夜はミルクでお願いします!と今からお願い中)

私がハワイで勤務した高校の当時の校長先生は今年から州の教育長にまで昇進しました。私が在籍していたころにはハワイ最優秀教育リーダー賞のようなものを受賞しています。オアフの中でも貧困層の暮らすエリアで治安も決して良いほうではない地域の高校ですが、なんと学区外から進学を希望する人が溢れるほどの人気校へと変わりました。
教頭先生だけで7名ほどいるマンモス校です。かなり漸進的な取り組みを行う校長だったので、紹介する取り組みが全ての高校で行われているわけではありません。しかし、「公立」高校でもこれだけ自由な取り組みができるのだ、というアメリカの教育の幅広さを含めてご紹介できればと思います。

時間割はスクールカウンセラーが決める

アメリカの高校は日本のようなクラス分けがありません。
ホームルームはありますが、本当に連絡事項の共有のための時間です。
務めた学校では、学年で集められるというより先生に生徒が割り当てられるといった感じで、生徒もどの教師のホームルームが良いか希望を出せました。結果学年もバラバラのグループができます。

アメリカは小・中・高校の年数が地域や学校によって変わるので一概には言えませんが、中学2年間、高校4年間のシステムが比較的多い印象です。
K-12といって、Kindergarden(小学校入学準備クラス1年)と小・中・高12年、計13年が義務教育です。

高校が4年ある学校として話を進めていきます。
アメリカの高校は日本の大学と仕組みが似ているかもしれません。1年生は忙しく、4年生は自由(授業は少ないが進学準備に忙しい)。

1年生(Freshman) は高校卒業に必要な単位を取得することが優先されるため、担当のスクールカウンセラー/学校のシステムで殆どの時間割が決められます。数カ所空いたスポットに自分で選んだ授業を入れることができます。もし、取りたい授業の枠に既に授業が入れられていたら、カウンセラーと相談して時間割を組み替えることも場合にによっては可能です。
この選択授業ですが、外国語、美術系のクラス、技術系のクラス、その他さまざまなユニークなクラスから選べます。しかし、大学進学には外国語2年、または美術系のクラス2年分の単位取得が必須のため、進学を考えている多くの子は外国語を選択します。日本の「英語」のように外国語は卒業必須単位ではありません。現在、コロナ渦によりNetflixでの日本アニメブーム、鬼滅の刃ブームで日本語人気が再燃中です。

2年生(sophomore)1年生に比べて少しは余裕ができるものの、まだまだ時間割の自由さは限られています。単位制なので、1年目で落としたクラス(卒業要件に入っているクラス)は再受講しないといけません。

3年目(Junior)この辺りから時間割はかなり自由度が増してきます。将来の進路、計画を見据えてカウンセラーと相談をしながら難しい数学のクラスに挑戦する、英語の授業を多めに取る、などを決めていき、時間割りも個性豊かに。ただし、ここまでに単位をたくさん落としている子はカウンセラーがその子に合わせた時間割を組むので自由度は相変わらず低いままです。

4年目(Senior)ともなるとかなり自由です。もう十分単位取得しているから授業を入れないで良い時間ができる子もいます。そんな子は好きな先生のところに行ってアシスタントに立候補します。たとえば、私のクラスにいたアシスタントの4年生は、日本語1の授業中に会話のお手本役となったり、宿題のチェック係りをしてくれたりしました。仕事がないときはスマホでゲームをしたり他のクラスの宿題をしていたりと結構自由です。中には3年生の時点でアシスタントをしている子もいます。
このシステム、教師と生徒はお互い助け合ってWinWinですが、保護者からすると、勉強してくれと嘆きたくなるかも・・・

この時間割が個別に作られる良いところは2つあると思っています。
1. 自分のペースで学習ができる
 日本の場合、高校にはある程度似た学力の子が集まるのでそのまま比較できませんが、授業についていけなかった場合自力でどうにか対策する必要があると思います。アメリカの場合、その子に合わせてクラスの難易度も調整できますし、再度同じ授業を受講でき、「周りと一緒に」「同じペースで」伸ばしていくことは求められません。

2. 将来の目標、好きな事に集中できる。
 高学年になればなるほど、自分が学びたいことに集中できます。いくつも違う授業を選択する必要がないので「得意を伸ばせる」「好きを伸ばせる」環境だと思います。これはアメリカの大学受験システムが、日本のAO入試に近いのも大いに関係していると思います。(5教科7科目も受験しなくて良い。志望大学ごとに異なる学力試験もない。)

APクラスとNational Honor Society

Japanese APを受講中の生徒と日本食レストランへ、と最初に書きましたが、このAPとはAdvanced Placementの略です。
AP Japanese
AP World history
AP Mathematics
など各教科で存在します。
高校で最も難易度が高いクラスです。

年度の最後に全国共通試験が行われます。合否ではなく5段階評価です。
アメリカ・カナダ国内で受験する場合は1教科$96ですが、家族の収入など諸条件で割引などもあります。
APのクラスは大学の教養科目レベルだと認定されており、3以上を取得すると大学の単位として認められる場合が多いです。多い、と書くのは大学によっては4以上を求めるところや認める科目が限定されている場合もあるからです。

アメリカの大学は年間の学費を払ったら授業受け放題というわけではなく、1クラスの学費($500~1500程度)X授業数=学費が多いです。ですから、APで1つでも大学で受ける授業数を減らせると経済的メリットも大きくなります。

APクラスを取っている4年生はこちらに集中するため、余計な授業は取らないという子も増えてきます。2つ以上APクラスを取っているだけでも「大変ね~」といった感じですが、中には4つも5つも取っている強者も。

APクラスを取っている子、取ることを見据えているような子が入っているクラブがNational Honor Societyです。
National Honor Society(NHS) 全米優等生協会と訳されます。
協会が定めた条件があり、誰でも入れる訳ではありません。
ある程度その学校で成績優秀、ボランティア活動など課外活動に積極的と認められれば入ることができます。定員数などもあるので、競争の激しい学校だとそうでない学校より入るのが難しいかもしれません。
NHSと言うと全体的に優等生な子ですが、教科に特化したものもあります。
例えば
Japanese National Honor Society
National Math Honor Society - Mu Alpha Theta
など。

私の勤務校では日本語2年目以降、
Japanese 2、Japanese 2 honor
Japanese 3、Japanese 3 honor
Japanese 4、AP Japanese
と同じ日本語2、3、4でも気楽に学びたいクラス、集中コース(Honor)、のように分けて授業を提供していました。(こういったこと、現場の教師が決め、上に確認するだけでできちゃったりします。)
このHonorコース、APを取っている3、4年生はJapanese National Honor Societyに入っている場合が多いです。入ってなくても困ることはないのですが、大学入試の際のアピールにはなります。


 長くなったので、本日はこの辺で。
次回はEarly Collegeと放課後の部活動について少しご紹介したいと思います。

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