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「ラジオネーム『カナチョフ』」vol.1

2024年4月7日、娘の春休みの最終日。わたしはこの日を待ちわびてきた。

作曲家、そしてラジオパーソナリティーでもある、西岡大貴さんのトーク&ミニライブイベント「Pure」が開催されるのだ。

名古屋のラジオ局「ZIP-FM」で毎週土日の朝に放送される彼の番組「BigYup!」は、週末の早朝を彩ってくれる。この番組をリアルタイムで聴きながら家事をするのが、わたしにとって大切な時間だ。金曜日の夜は、翌朝の放送に胸躍らせながら眠りにつく。

今回のイベントは、ご自身主催の形で行われた。
告知を受けてから是が非でも行くつもりでいたものの、幼な子2人も連れてライブハウスなんて場違いなのでは、そもそも静かに出来るはずないし…と二の足を踏んだ。えぇい聞いてしまえ!と直接西岡さんにメールでお尋ねしたところ、

「ぜひお子さんと一緒に遊びに来てください。」

という旨のお返事を頂いた。さすがにメール全文を載せるのは遠慮しておくが、会場についての説明も添えてあり、お会いできるのを楽しみにしています、という結び。お人柄を感じる温かいお返事に、わたしは飛び上がりたい気もちに。
そしてその後、まさかの子ども料金を設け、SNSで「小さなお子さん連れの方もいるのでそれぞれ配慮を…」というアナウンスまでしてくださった…。感謝などという言葉では表せない。これからも応援させてください。イベント前から心を掴まれた。

以来この日を楽しみに、子どもたちの春休み後半を乗り切ったと言える。しかし、「楽しみなイベントは直前でおじゃんになるジンクス」を身をもって実証してきたわたしとしては、手放しに喜ぶわけにはいかない。子ども風邪ひくなよ、天変地異起きんなよ、顔に吹出物できんなよ。

そして無事に迎えられた当日!ありがとう神様!小鼻に小さな吹出物できたけど。(少しでも顔を整えようと、前日にいじくったのがあだとなった。慣れないことはするもんじゃない。)

いそいそとめかし込むわたしの隣では、夫が出社の支度をしている。罪悪感が湧いてきた。

いやでも、今日だって朝5時前に起きてパソコンを開きパート業務こなしたし、弁当作ったし、洗濯掃除したし、やるべきことはやったさ、許せ。

昨日だって、娘2人と公園で3時間遊び、帰宅後はわたしだけ昼食摂り損ねたまま庭で水遊びしたし、泥まみれのチビの後処理に追われ、空腹でふらふらのわたしに(これは自分が悪い)、4歳長女は食卓に座りながら
おやつまだー?
等とほざきやがったし、花吹雪のように撒き散らされた折り紙を片付けていたらカーペットに恐ろしい量の毛髪の塊、聞けば長女が折り紙用のハサミで自分の髪を切った由。怒り狂いながらコロコロをかけたのだ。そんなわたしなのだ、許せ。

あらゆる言い訳を胸に、いざゆかんライブハウス「鑪ら場」!

会場は吹上駅近辺。会社員時代、仕事でよく通っていた道沿いにそのライブハウスはあった。こんな形でまた、この場所に来るとは。
周辺には既に、開場待ちの方がまばらにいた。

個人主催のイベントとはいえ、客層は基本的にラジオリスナーであろう。聴き慣れたラジオネームの方もたくさんいるはず。
ほとんど一日中、ラジオを聴いているわたしだ。BigYup!をはじめ、各番組にはそれぞれ常連リスナーがいる。パーソナリティーが読み上げる彼らのメッセージから、そのリスナーの住む地域、最近の出来事、音楽の趣味、はたまた家族構成まで知ることが出来る。それを聴きながら、わたしは顔も知らぬ誰かの生活に想像をめぐらせる。
そんな彼らに、今日はじめて会えるかもしれないのだ。期待と緊張が入り混じる。

開場時刻となり、地下への階段を下る。ライブハウスなんて、学生以来だ。あの頃は色々なライブに行ったなぁ…。

「鑪ら場」は、その名の通り、ジブリ映画「もののけひめ」がモチーフとなっているとのこと。ライブハウスらしい閉塞感がありつつ、木目調の造りと照明で、温もりある雰囲気。真冬の夜にここに来たら、体も心も温まりそう。キャパは40名くらいらしい。小ぢんまりとしている。

やはり幼児を連れてくるにはハードルが高かったなぁ、てかこんな小さいの連れているのあたしだけだ…、と所在無く感じていると、先に席につこうとしていた方が
「お子さん連れだから大変ですよね、どの辺に座りたいですか?」と声をかけてくださった。ご配慮に深く痛みいる思い…。
結局、後方座席に腰掛けた。先程声をかけてくださった方々の近くだ。お騒がせすると思います、とあらかじめ周囲にお詫びを入れる。

すると、そのうちのおひとりが
「カナチョフさんですか?」と声をかけてくださった。
カナチョフとは、わたしのラジオネームである。(正確にはシンヤコワ・カナチョフなどという訳あり謎ネーム)
子どもを連れているからわたしだと察してくださったそうだ。そう、わたしのことを常連リスナーのひとりとして覚えてくださっている方がいるのだ!感激!

聞けばその方々は、わたしが一方的にプロファイリングしているリスナーの皆さまであることが分かった。
○○さんですか?あの?!
と言った具合で会話が始まる。既に大興奮だ。

中にはこのnoteで繋がるリスナーさんもいて、わざわざ「note読んでます」と言ってくださった…恐悦至極である。

そんなやり取りをしているうちに、いよいよ西岡さんの登場!
会場は一気に緊張感に包まれる。

後半へ、続く。

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