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感覚的なオンナたち

「女の子は8歳になったら育て方を変えなさい!」

ずいぶん前の話だが、そんなタイトルの育児本を見つけた。
「ほぅら読んでみたくなるでしょう」という、あからさまな出版社の思惑!ケッ下品にすら感じるわ、と思いつつまんまと手に取り、そしてまんまとけっこう読みこんでしまった。出版社の思惑通りに。

色々と思うところはあり、なかなか学びの多い一冊であった。

女の子だから男の子だから、という時代ではなくなった(というか、世間がそうさせている?)ものの、いつの時代もオトコとオンナっつーのは別の生き物であることはわたしの経験上間違いないのだ。生物学的、そして本能的に、感覚的に。的に、的に、そうなんとなく。

いわく、女の子は感性を豊かにすべし。詳細は忘れたが、ざっくり言うと
「女性は感覚で物事をとらえ、男性は論理や数字でとらえる。だからこそ、低年齢のうちから優れた感性を磨くことが、女の子の情緒成長を促し、また心の豊かさにつながる」とかなんとか。はー、でしょうねでしょうね。よく聞く話だ。

具体的には、例えばこんなうららかな春の陽気、そよ風が吹くシチュエーション。女性は「気持ちの良い風!ちょうど良い天気!」とその環境全体の心地よさを捉えるのに対し、男性は「今日の気温は何度くらいかなぁ」などと思うのだそうだ。なるほどねなるほどね、まぁ分かるな。

数日後、週末開催される長女の運動会について夫に話していた。

初めての運動会、残念ながら彼は仕事で不参加なので、プログラム内容だけでも報告しておく。

年少さんは、ダンスとかけっこがあるんだって。

そう言ったあと、これまでの長女の姿から想像される、彼女の走りへの一抹の不安(とある種の諦め)をわたしが感じていると、夫が言った。

「ふーん、年少って、何メートルくらい走るのかなぁー」

目が点になった。何メートル?4歳児のかけっこの、距離?
考えたこともなかった、いや、たかが知れているし何メートルかなんて、考えもしないというか、もう、とにかくびっくりした。

ひとの考えることって、こんなにも違うのか。オトコとオンナの違いなのか個体差なのか。感動すら覚える。

さて、運動会当日の長女は、センスがあるとは言えないものの想像していたよりちゃんと走っていて、何より楽しそうだった。そんな彼女の笑顔を見て、わたしもまた幸せだった。

そして彼女が走った距離だが、まぁわたしの想像の範ちゅうは超えていなかった。が、あれは正確には何メートルなのか、10メートルくらいなのか、いや15メートルくらいあるのかもしれない。うーん、そうだな感覚的には縦4畳くらいという表現がしっくりくるが、結局わたしには検討つかない。

あれは、なかなか的を射た育児本であった。

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