終わりの始まり

私は2度結婚に失敗している。1度目はモラハラ、2度目は私の鬱病によって夫に負担をかけて破綻させてしまったから。

初めての結婚は23歳で、相手は9つ歳上。トレンディドラマに出てくる俳優とイケメンシンガーを足したようなイケメンで、安定した事業を家族で持っている自営業者だった。親が厳しく、早く家から出たいと思っていた世間知らずの私は、イケメンでお金持ちの彼にすぐに夢中になった。思えば、お付き合いをしていた時からキレやすいところがある人だった。それでも、そこは見えないふりをした。怒っている時以外はとても優しかった。色んなものも買ってくれて、毎週県を跨いで泊まりがけで会いにきてくれた。外泊が許可されていなかった実家暮らしの私は自宅に帰るのに、ホテルをとって週末一緒にいられるようにしてくれた。それが毎週末。とても愛されていると感じた。電話しながら喧嘩してよく泣いている私に、結婚を考え直すなら今だよと親は忠告してくれたが、前述の通り、早く家から出たかった私はそれも聞かなかった。

出会ってからちょうど一年後、結婚をして他県にある彼の家に引っ越した。敷地内同居で、ご両親は所謂スープの冷めない所に住んでいた。結婚してから数ヶ月後、妊娠していることが分かった。私は悪阻が酷く、朝起き上がることはもとより、食べ物も水分も何も摂ることができなかった。余裕が全くなくなっていたといえば言い訳になるかもしれないが、夫を気遣うこともできず、それどころか本能がむき出しになっていたと思う。結局入院することになり、入院して1週間ほど経った頃、夫がお見舞いに来た。少しでも気持ちが紛れるように持ってくるねと約束していた本を忘れてきていたので、楽しみにしていたのになーっと言ったところで夫がキレた。大部屋の病室にも関わらず大声で罵倒する夫。ごめんなさいと言いながら耐えた数分が数時間にも感じた。

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