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華生ばかり #0011

 さて皆様、ご機嫌いかが? 吉川華生です。今日は真っ赤な服着てますので、テンションもいい感じです。目の前にトマトとか並べられてたらすごいテンションになるんだろうな。そういえばコンタクトの件ですが、炭酸系の洗浄液使い始めたら、いきなり霞まなくなりました! いえい! もしかしてだけどー、もしかしてだけどー、メイクの汚れでもついてんじゃないのー♪ とは思ってたけど、本当にそうだったらしいね。

 ちなみにアイボンみたいなやつは防腐剤が入ってる関係でドライアイの人は余計ドライアイになりやすいと聞いたので、別のモノを使うことにしました。コンタクトひとつでこんなに時間取られるとは思ってませんでしたけど、ようやくニュートラルなところに辿り着けそうです。長かったな……。

 そして、いきなりではありますが。新企画行ってみたいと思います。こういうのどうかな。

■「野良につけた名前」

(「アルバトロス・シンデレラ」より)

 ……まさか、雪でも降るのだろうか。今朝はやけに肌寒い。私はぼんやりした眼を軽く擦りながら起きあがると、クローゼットの中の制服を手に取り、あくびを噛み殺しつつ迅速に着替えた。

「……ふむ、今日はこれにするか」

 制服はすべて同じデザインだが、タイだけはその日の気分によって色を変えることにしている。灰色の空は遠くまで続き、その先は更に漆黒だ。黒のタイを締めると同時に、ベルの音がした。

「……いいタイミングだな」

 あのベルは、朝食の用意を手伝えとのメイドからの合図だ。部屋を出ると、ワゴンを押してメイドがやってくるところだった。

「ロック様。あの……こちらを、王子のお部屋までお願い致します」

「分かった」

 新人のメイドが、些か言いにくそうに上目遣いでこちらを見ている。勤続年数が長い私のことを怖がっているのかもしれない。特に珍しいことでもない、よくあることだ。私は思わず喉で笑い「気にすることはない」とだけ答え、メイドに対して下がるように目線で促した。メイドは頭を下げ、早足で戻っていく。

 これはずっと前から、私の仕事と決まっているのだ。そう、ずっと前に受け継いだ。あれから何年経ったのだろうか。あの頃を思い返すと、この国も随分平和になったものだ。平和になったからこそ、引退していった執事もいる。私にも、かつては上司がいたのだ。ワゴンをゆっくり押しながら、何となく昔のことを思い出した。

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