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小さな世界の、ものがたり

こんにちは。カナ・ノワール堂の音海奏乃です。

実は、カナ・ノワール堂は新しく、きっかけアクセサリーのお店として再スタートしました。やることはこれからも変わりませんが、より多くの人に、きっかけを届けられるお店になれるように努めていきます。これからも、どうぞよろしくお願いします。

さて、今日は物語についてのお話です。物を語るから物語なのか、物が語るから、物語なのか。難しく考えずに、さらっとお読みください。

子供のころから本が好き

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私は子供のころから、本がとても大好きでした。学校の中では図書館が一番お気に入りの場所で、時間をすっかり忘れて読みふけっていてことも何度かあります。中でも、架空の国や人物が登場するような物語が大好きで、難しい漢字を辞書で調べながら読み進めていくのは、とても充実した気持ちになれました。

人魚姫の物語も大好きでしたが、特に影響を受けたのは、中学生の頃に出会った、上橋菜穂子さんの書かれた「獣の奏者」シリーズでした。初めて知ったのはアニメでしたが、それをきっかけに、原作を買い、外伝まで集めて、現在も大切にしています。その出会いをきっかけに、自分でも物語を創作するようになって、それが実は、現在のハンドメイドにも活きていたりします。

見たことのない世界への興味

獣の奏者に出会ってから、見たことない世界への興味が、とても強くなりました。現実には存在しないのに、どうしてこんなに登場人物たちは生き生きとしているんだろう。生活や言語は、いったい何を参考にして生み出したんだろう。世界のたった一部なのに、すごく親近感が湧くのはなぜ? とまぁ、とにかく作品に魅了されていました。何より、少し自信を持てずに子供時代を過ごしていた私にとって、「現実に存在しない世界」を「ここにはこの世界があってこういう仕組みです!」と断定することに、感心したのです。実際になくても、創りだして。私の世界ではこうです、と表現する。そこに惹かれました。

自分で物語を書くようになってからは、常にいろいろな可能性を考えるようになりました。あそこでこうしたら、いや、こっちでああいう風に……というように、キャラクターがどうしたら個性を活かせるか、魅力的に動けるのかを頭の中で試行錯誤していたのです。それがハンドメイドの場合は、パーツの組み合わせ方につながります。この組み合わせはどうか、パーツを活かせているか、それでいて着ける人の魅力を損なっていないか。そういうことを考えるのに、とても役に立っています。

物語と、ハンドメイドの共通点

物語と、ハンドメイド。この二つの共通点を挙げてください、と言われたら、「世界の表現」と「組み合わせ」と答えます。「魅せ方」でひとくくりにもできますが、ちょっとわかりにくいので、あえて二つに分けました。

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世界の表現、というのは、読んで字の通り、自分が考えた、生み出した世界観を、表現するということです。例えば、カナ・ノワール堂で取り扱うアクセサリーは、海の世界を表現したものが多いです。ヒトデやシェルなど、明らかに海のモチーフもありますが、ガラスやパールなど、様々なもので"私の考えた"海の世界を表現しているのです。一口に海といっても、どう捉えるかは人それぞれ。いろいろな海がある中で、音海奏乃が創り出す海も、誰かの心に届くことを願っています。

組み合わせ、というのも、見てのとおり、組んで合わせることです。表現には組み合わせが不可欠です。たとえ一粒パールのポストタイプピアスでも、丸いパールなのか不定形のパールなのか、また金具の色、留め具の種類など、組み合わせ次第で大きく変わります。より良い表現をするためには、良い組み合わせを探す必要があります。表現したい理想に、限りなく近いパーツなどを組み合わせていって、初めて作品が完成するからです。もちろん、そのためにはいいパーツを、と思う方もいるかもしれませんが、そうとも限りません。いいパーツがそろっていても、組み合わせ次第では魅力が伝わりにくくなってしまいます。またパーツの主張が激しければ、身に着ける人の魅力を奪いかねません。

こう考えてみると、なんだか物語とハンドメイドって、とても似ています。ハンドメイドと物語、というのは不思議な関係だと感じています。例えば辞書で、物語、と引けば、このように書かれています。

人の生涯や事件など、起こったことを語るもの。人によって書かれ、伝えられているもの。

この通りに行くと、作品の魅力を語るのは「私」になります。でも、ハンドメイドにおいては、「作品」つまり「物」が、自ら魅力を語ることもあるのではないかな、と考えています。組み合わせて世界を表現した作品たちは、「こんな世界もあるんだよ」と語りかけているように見えるのです。

……私だけかも、しれませんが。

だから私は表現することにした

組み合わせて世界観を表現できる、ハンドメイドアクセサリー。完成した時の「思った通りに素敵!」とか、「思っていたより綺麗!」という感情が好きで、今も作り続けています。私の世界を、興味示して! 理解して! 好きになって! とは、ヤドカリマインドな私は、声を大にして言えません。

それでも、作品を作ることで、私の世界を一人でいいから知ってくれる人がいる、というのが嬉しいのです。こういう海の世界はどうですか、興味を持ってくれる人がいたら幸いです、と小さなヤドカリが出した作品を見てもらえるだけで、幸せ。それが誰かのポジティブな感情につながるなら、もっと幸せ。そうやって、幸せをつなげていくために、見てくれる一人のために、表現し続けるのです。

いつか本当に、アクセサリーが誰かの手に届いて、幸せの瞬間をお手伝いで来たら、こんなにうれしいことはありません。きっと来るその日に向けて、小さなヤドカリ、音海奏乃は、ちょっとずついろいろな工夫をして、試行錯誤を繰り返しているのです。

ありのままの、物語で

今回は、物語とハンドメイドについてお話ししました。物語書いてる割には、文章が下手だな、と思った方もいるかもしれません。でも、いいんです。確かに、いわゆる「読ませる文章」というものが書ければ、いろいろな人が見てくれる可能性があります。しかしそのテンプレートに当てはめると、自分らしさが失われるので、ありのままなスタイルで書いていきます。

こんな、流れに揺られる昆布みたいなスタイルですが、それが私にはぴったりなので、それでこれからも進んでいきます。しっかり自分の心に根を張って、まだ見ぬ世界を、求めて。

きっかけアクセサリーのお店 カナ・ノワール堂 音海奏乃

お試しさん (2)


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