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映画「世界一キライなあなたに」を観て。

※ネタばれあります。これから観ようとしている方はご遠慮ください。

賛否両論あるこの映画。
なぜ終わり方にモヤモヤするのか、私なりに理由を考えてみた。

2日前にAmazonプライムで観た映画「世界一キライなあなたに」(2016年作品, 原題:Me Before You)のことがどうしても頭を離れない。

実はこの映画、前にも一度観ているのだ。

観始めてすぐに「ああ、前にも観たな。」と気づいたが、なんとなく「明るいハートフル・ラブ・コメディ」の気分だったので、そのまま観ることにしたのだ、が。

こんなにモヤモヤしたのは、久しぶりだ。

可愛い主人公と、心を閉ざしたイケメン障害者の心が通じ合っていく過程を基本的には明るく軽いタッチで描いているのだが、終わり方がどうも・・・なのだ。

以前観た時には「うーん、まぁいっか。」と、あまり深く考えずに流してしまっていた。ところが、、どうも今回はそれができそうもないので、こんなものを書いている。

「安楽死」という重いテーマを扱っているので、これについてはまたの機会に考えることにして・・・。
※「安楽死」とは、回復の見込みがない人が病気などの苦痛から解放されるために自ら選ぶ(人為的な)死、「尊厳死」とは、延命措置をせずに自然な死を迎えること。

私の感じるモヤモヤについて説明しよう。

まず、主人公の女性が愛する人の安楽死をどう捉えているのかがイマイチよくわからない。
エンディングシーンがあまりにあっさりしすぎているのだ。

主人公の女性の服装が愛する人の生前に比べて急に大人っぽく変化していることから、「愛する人の死を乗り越えて生まれ変わった」ということを表現しているのだろうが、本当に「生まれ変わった」のならば、愛する人の手紙に従って愛する人のかつての青春の思い出が残る場所(パリ)を歩き回る、ということが果たして一体何になるのだろうか。

手紙によれば、主人公にそれなりの遺産を残したらしいので、もしかしたら「それを受け取る代わりに自分の青春の良き思い出が残る場所を訪ね歩いて欲しい」、と遺言書に書かれていたということなのだろうか。だとしたら・・・なんとも独りよがりではないか。

主人公はそれを本当に気持ちよく受け入れることができたのだろうか?

愛する人の死を乗り越えるために、どれだけ苦しんだことか。

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もしかしたら、浴びるほど酒を飲んだり、どうでもいい相手と一夜限りの関係を持っ
たりしたのかもしれない。安楽死を思いとどまらせることができなかった自分を許すことができず、後を追うことさえ考えただろう。

いや、しかし・・・逆に言えば「愛する人の死を乗り越えるために」パリを歩いたのかもしれない。そうすることで、彼の「青春の良き思い出」を追体験し、その時の空気を共有することで、彼が障害を負う以前の幸せな感覚を感じることができた、ということは十分考えられる。

そうだとしたら、、やはりあの妙にスッキリした表情の主人公の顔が理解できないのだ。

あのスッキリ感は一体どこからきているのか・・・と観ているこちらには何ともモヤモヤが残る終わり方であるという印象は、その理由を分析してみたものの、結局なんら変わることはなかった。
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果たして3度目の正直はあるのだろうか?
その時に自分がどう感じるか、ちょっぴり楽しみではある。


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