かな | 今日もひとりで脳内おしゃべり

一日中ベッドで本を読んだりしたいし価値観がひっくり返る未知の場所でどっぷりそこの文化に…

かな | 今日もひとりで脳内おしゃべり

一日中ベッドで本を読んだりしたいし価値観がひっくり返る未知の場所でどっぷりそこの文化につかりたい。取るに足らないことや日々の日常が愛おしく感じられる瞬間を大切に書き残します。落書きのような絵も描きます。

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スペインの海町で暮らす人たち

この町にいると、いろんな音が聞こえてくる。 平日の午前中は、近くの幼稚園か保育園の子どもたちが外で遊び回る声。 レストランのテラス席で盛り上がる人々の笑い声。 車に乗っている人と、歩道を歩いている人の立ち話。 スーパーや市場で働いている人たち同士のおしゃべり。 日曜日の朝から夜まで教会(?)から聞こえてくるズッチーズッチーズッチーという重低音。 ざーっ...という波の音。 誰も知らない町でも、 滞在中一度も寂しく感じなかったのは、 いつも聞こえてくるにぎやかな音と、 こ

    • スペインの海町月曜から日曜

      まだ外が薄暗い。 彼は日本のお昼から夕方までの時間でリモートワークをしているから、 6時ごろには電気をつけて、もう机に向かっている。 私は日本語のオンラインレッスンが入っている時間に合わせて起きる。 たまに私も6時から。 全部終わったら昼寝、たっぷり寝られる、と自分に言い聞かせながら ほぼほぼ目が開いてない状態で コーヒーマシンのスイッチを押す。 マシンはガガガガガと大きな音を出し、 ジョボジョボジョボと茶色い液体を抽出する。 ああ、コーヒーの香り。朝だ。 少しだけ目

      • スペインの海町生活のはじまり

        「この1ヶ月が今までの人生でいちばん幸せだったと思う」と 滞在残りわずかの日の日記に書いた。 次の日、彼も同じことを言っていた。 幸せな一日、はあっても幸せな1ヶ月、と 心から言えることは今までなかったように思う。 北のバルセロナから230kmくらい、 南のバレンシアからは150kmくらいに位置している、 地中海に面した人口2.674万 (2018年)人くらいの比較的小さなスペインの町、ベニカルロ。 アーティチョークという野菜で発展した町らしく、 町の中心にある大きな聖

        • 誰も追い出されない空間

          日本語学校での仕事が今日で本当に終わった。 週二回、途中からずっと週一回の授業だったけど、この学校には4年3ヶ月くらいいた。 日本語学校で働いていて、 私がいちばん幸せを感じる瞬間は 国籍、出身、文化、習慣、第一言語などがぜんぜん違うみんながいっしょに笑ってるとき。 それをさいごのさいごに実感した。 日本語を習得するというひとつの目標はみんな共通していて、 逆に言うとそれしか共通点がない。 でもみんな、いじったりいじられたりして、笑い合って、それを見てると、 違いとか、い

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        • スペインの海町暮らし
          3本

        記事

          バニラとポップコーンはアメリカの香り

          東京に行った時に地下鉄の駅のホームで、見つけた。 あのドブのような、排泄物の混じった、古い地下のにおい。 そのにおいを運ぶ生ぬるい空気。 それは、ニューヨークの地下鉄の空気だった。 いいにおいとは言えないしできればかぎたくないはずなのに、 それを見つけた私は、 ここにあったんだ…! という、 失くしたと思っていたものを偶然見つけた時のような気持ちだった。 どうしてそんな気持ちになったんだろう、と考えてみてわかった。 私はそのにおいを探しているんじゃない、 そのにお

          バニラとポップコーンはアメリカの香り

          ソファ締め出され事件

          私の唯一のこだわりで手に入れた、 あの背もたれが薄っぺらくて丸みを帯びたほっそい木製の足で立ってる椅子が 硬くておしりが痛い。 そして冷える。 ブランケットを敷いたりなんだりしてみたけどそれでも心地がよくない。 おしりにやさしい椅子がほしい。 ふたりでも座れるソファがほしい。 ほら、ふたりいっしょに座ってくつろげる感じの。 おしりにはやさしくなかったけど、 この生活感増す部屋に少しの統一感を与えてくれた白く薄っぺらい椅子たち。 1年半くらい、ありがとう。 ほかの家に行って

          底冷えするいとしの我が家

          引っ越しの荷物、椅子なんかを載せられるだけ載せたレンタカーのなかで聞いた 新しい年号、「令和」。 聞き慣れない新しい年号と、新しく始まる二人暮らしに、こどもの頃のクリスマスイブとか大晦日みたいに心がそわついていた。 大学を卒業して2年目。 春から、日本語教師になりたい人が資格をとるために通う 日本語学校の日本語教員養成科に入ることになっていた。 半年間はほとんどフルタイム学生。 もともと、家族と離れて暮らしてみたいと思っていたし、 当時彼にも定住する家がなくて、 これはすご