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楓 作「続・未来への一歩〜拾われた膝枕 2」


今井雅子先生の作品「膝枕」の外伝を
書かせていただきました。
ご覧いただきありがとうございます。

今井雅子先生の「膝枕」も合わせて
ご覧ください。

今井雅子先生の正調膝枕と
その派生作品はこちら


「未来への一歩〜拾われた膝枕 2」


私たちは膝枕。
1つの膝枕にスイッチがあって男と女として
共存している。

男のスイッチは、恋愛マスターマス男。
女のスイッチを入れると、恋愛アドバイザー
アド美。

どちらが稼働するかは、拾った方のお好み。

昨日、女性を幸せにしたマス男は
またひとつポイントアップ。
ポイントが貯まると、独り立ち出来る。

次はどんな人が拾って行くのだろう。

不用品置き場に捨てられた私達。
割と大きめの段ボール箱に入れられている。

チラチラ見て行く人はいるけど、殆どの人は
そのまま通り過ぎる。
心に何かを抱えてる人は、きっと向こうから
やってくる。

1人の男性が足を止めた…と思ったら
そのまま段ボール箱を持ち上げて運んで行った。
ちょっと強引な人ね。

自動ドアの音。マンションなのかな。
ピッピッピ… 暗証番号ね。

あ、エレベーターに乗ったみたい。
上に上がる振動を微かに感じる。

"13階デス"

高層マンションに住んでるのかな?

部屋に入ったら、早速箱から出された。
あなたはスイッチどちらに入れるの? 
スイッチは迷わず"女"を選択。

彼は行動が早い。行動が早いけど、何か困り事
あるのかしら?

「ナビ主さんこんにちは!
私はナビ搭載膝枕、恋愛アドバイザーのアド美と
申します。何か困り事はありますか?」

「こんにちは、アド美さん。実は友人から膝枕を購入したら彼女が出来たと聞いて、うらやましくなってあなたを探してました」

「ナビ主さん、そうだったのですね。ありがとうございます!」

「やっとやっと見つけました。誰かに取られたら行けない!と思って急いで持って帰って来たので、挨拶も忘れていてごめんなさい」

「大丈夫ですよ、ありがとうございます」

結構真面目なナビ主さんなのね。
ちょっとホッとした。優しい人で良かった。
こんな素敵な人なのに、困ってるのかな?

「ナビ主さん、お困り事を遠慮なくどうぞ」

「長くなりますが、大丈夫ですか?僕は…」

ナビ主さんは、話し始めた。
せきを切ったように、ずーっと話し続けた。
とても優しい人。優しいから、誰にでも一生懸命になってしまう。すると、勘違いをされるらしい。

「私のこと好き?嘘でしょ。誰にでも優しいあなたのことは信用できないわ…人事課のヒサコに誘われて、お茶してたよね。総務課の伊藤さんと買い物してたよね」

ナビ主さんは、好きな人に誤解されてるようだ。

「アド美さん、僕はそんなつもりないんです。
僕が好きなのは1人だけなのに…
どうしたらカオルさんに気持ちがわかってもらえますか?」

「ナビ主さんは、本当に優しい人ですね。
私は、冷たい人より優しい人が素敵だと思います。カオルさんは、ナビ主さんが優しすぎて不安だから付き合えないのでしょうね。でも、きっとそんな素敵なナビ主さんのことをわかってくれると思います。ナビ主さんが、他の女性と、カオルさんへの想いが違う…というのは、そのうちわかると思いますよ。ナビ主さん、押してばかりだとカオルさんは想いに気がつかないので、しばらくカオルさんに連絡をするのを辞めてみましょう。人は連絡が無くなると気になるものです」

「え?…出来るかな」

「大丈夫!一緒に頑張りましょう」

次の日から、ナビ主さんは落ち着かない様子で過ごした。きっと、連絡をしないなんてことはした事がないのだろう。
LINEが来ても、スタンプだけ。そして、時間をおいて返信して下さいと伝えた。

13日目に、ナビ主さんが弾んだ声で話しかけて
きた。

「アド美さん!!!」

「はい!ナビ主さん、どうしました?」

「カオルさんが、カオルさんが…」

「ナビ主さん、まず深呼吸して見ましょう」

「はい、すみません」

「実は…お昼休みにランチをしていたら、カオルさんが近寄って来てお茶に誘われました。断るのも…と思ったのでお茶をしました。そしたら、なんと、彼女が気持ちを告白してくれたのです!
どうやら、連絡が減って気になってくれたようで、僕の存在の大切さに気がついてくれたようです。そして、こんなに優しい人に好かれて私は幸せだと。僕のことを、僕よりもっと好きになりたいから、付き合って欲しいと言われました」

「ナビ主さん、素敵なご報告ありがとうございます。ナビ主さんなら大丈夫だと思ってました。
アド美のアドバイスを聞いてくださりありがとうございます」

「ありがとうアド美さん感謝してます」

「ナビ主さん…おめでとうございます。私も安心しました。アドバイスはこれで終了です。早速で申し訳ないのですが、これから私を箱に詰めて
捨てに行ってください」

「え?捨てるのですか?」

「はい、また次の方を幸せにしたいのです」

「アド美さん。アド美さんとの日々はとても楽しかったです…寂しくなりますが、アド美さんお元気で。本当に本当に感謝してます」

素敵なナビ主さんの元を離れるのは、私もちょっぴり寂しかった。でも、まだまだたくさんの人を幸せにして私のポイントもアップさせなきゃ〜。

ナビ主さんは、優しく私を箱に入れてくれた。
ナビ主さんの素敵なマンションを出て、通りからバスに乗ってもらった。バスを降りる時に、わざと箱を置いたまま降りてもらった。

ナビ主さん、お幸せに…

次はどんなナビ主さんに出会えるかな?


終わり

取り急ぎ、膝枕朗読リレー2週年ウィークの記念日に間に合わせるため、22時から書き始めました。直しを少しずつ入れて行く予定です。

noteを覗いて下さり
いつもありがとうございます。

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