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地域の引きこもり相談に行ってみたよ

 月に一度開催される地域の引きこもり相談ができてから数年。
 テレビの地域ニュースで取り上げられるたびに「おっ、私のための場所だな!」と言ってはスベって家族から冷笑をいただく、あの引きこもり相談。そこに行ってきました。
 とはいえ私はなにに困っているのか自分でもわからないレベルの拗らせ引きこもり。強いて言うなら働く勇気がないまま断続的に約20年引きこもってしまったというところか。
 まあなんにせよ、引きこもりで困っているものの、なにに困っているかもわからないがとにかく助かりたい、という気持ちだけ伝えてこようと、いざ相談を受け付けている福祉施設へと向かったのです。

 無駄に長い文章なので結果から言うと、相談は支援ではないので話を聞いてもらうのがほとんどでした。そりゃそうだ。
 家族会とハロワのプリントはもらったけど、相談はあくまでも相談で、自分に合う支援を探すのは自力なんだなー、と当たり前のことに気づいた感じです。でもそれができないから引きこもってるわけで、堂々巡りですな。
 受け身では助かりません。解決するのは己です。世界は厳しい。つらい。
 でもお話を聞いてもらえてよかったし、相談員さんはとても良い方たちでした。地元に優しい人がいると知れただけでも嬉しかった。外を歩くのが少しだけ怖くなくなります。
 帰り際、今日からお友達って言ってもらって大号泣しちゃったね。あんな子どもみたいな泣きかたしたのは、去年のメンクリの診察以来かも。なんだわりと最近だな……。
 また会えたらいいな。ご縁がありますように。
 名刺をいただいたので、なにかしら行動ができた際はお礼のメールを送りたいなと考えています。時間はかかるかもだけど、いつか送りたい。

 さてさて。時間は戻って施設到着。
 緊張で吐きそうになりながらも施設に入ってすぐ、ラウンジみたいな場所で早速迷子になりました。
 なにを隠そう隠さないが、私はホームが一つしかない新幹線の駅で迷いに迷って改札を見つけられずにホームの端から端まで往復した女です。半年通った高校の通学路で迷い、まったく逆方向の違う学校に辿り着いてしまった女です。
 ……とはいえ、とはいえ!
 お前さん……まがりなりにも福祉施設だろうに……入り口付近に施設内図の一つもない。そういうとこだぞ地元よ……。見落としてたら言いがかりだな、ごめんな……。
 しかしながら迷い慣れしている私は文明の利器の使い方に長けているので、サッとスマホを取り出しネットで場所を調べ、とりあえずエレベーターから該当の階へ向かうことに成功。
 無事に目的の階に到着して、今度は謎のロビーみたいな場所に放り出されます。
 天井からはおまけ程度に案内板がぶら下がっていますが、この階になんの課が入っているかをずらりと並べているだけ。トイレの場所さえわからない。おまけとばかりに、引きこもりのひの字も見当たらない。
 言っちゃ悪いですがこれ、相談にきても諦めて引き返す人いるんじゃないかな。私も引き返そうか真剣に迷った。
 たぶんここ以前に施設の入り口で帰った人も何人かいると思う。引きこもりに対してハードルがものすごく高い。
 そう。社会は優しくない。甘ったれたことを言っていたら引きこもりからは抜け出せないのである。世知辛いねえ。

 ということで、適当な窓口の人に、引きこもりの相談ってどこでやってますか、と訊ねることに。
 去年の私なら間違いなく帰ってたぞ。よかったな、これがおばさんパワーだ! 歳をとるのも悪くないぞ!
 訪ねた先の、引きこもりとはまったく無関係な介護用品レンタルの窓口の方に連れられて、総合福祉課みたいな窓口に引き継がれます。
 予約の有無を聞かれたのだけど、予約不要って書いてあったからきたんだよ……予約いるの……? いるなら帰る……と思ってたら案内開始。細い通路を通り奥まったドアの片方に……ありました! 引きこもり相談用の個室です!!
 これ、少しわかりやすくするか、どうやって案内してもらうか書いておいてくれたほうがいい気がするな。勝手に入っていっていいのかもわからない雰囲気。何度も言うけど絶対引き返した人いると思うよ。もったいない。
 だってここの相談ができて数年だけど、当事者が来たの私が初めてって聞いたし。うそだろ? 4,000人を超える引きこもりどこにいるんだよ! 新聞に書いてたぞ! 地域に4,000人以上いるって! 私が一人で4,000人分なのか!? 荷が重いぞ!
 でも知ってる! そのうちの大多数は定年退職して家に閉じこもったタイプの人! 田舎の高齢化ヤバイ! うちのトーチャンもそれだ! 家から平気で数ヶ月出ない! 私より深刻じゃん!
 というか、冗談抜きで! 外に出て活動できるようになりたい引きこもりのためにも、辿り着きやすさプリーズ! 施設内の案内がなさすぎる!
 引きこもりはしつこいくらい矢印が引いてるレベルじゃないと不安になって迷った瞬間引き返す人もいるから! 去年までの私がそうだから!

 で。
 隣室では生活の総合的な相談をしているっぽい。声が聞こえてくる。つまり私の話もダダ漏れというわけだ。ご時世上仕方ないね。換気大事ね。みんなで私の身の上話を聞くといいよ。面白くないしオチもないけどな。酒の肴にはなるで。
 そんな思いで室内へ。相談員さんがおふたりいらっしゃいます。どちらも女性でした。月によって違うのかも。記事で見た時は男性と女性のご年配ペアだったので。
 気になる場合は確認してから行ったほうがいいのかなーと思うも、その確認ができたら苦労しないよ引きこもり。電話もできんしメールもできん。
 いろいろチラシをもらったけれど、どれもこれも連絡は電話なんですよね。こちとら引きこもりなので病院予約の電話もできんのにな! 行くとしたらぶっつけで行きますね! アポ無し歓迎ありがとう!
 こちらからしたら、もっとドーンと構えて、いつでも来いよ! って頼もしく言ってほしい。でも悲しいかなここは田舎。引きこもり相談の需要は少ないのでホイホイと門を開けっぱなしにしてはいられないのです。
 需要があるのは高齢者福祉。高齢過疎化が進んでいます。若い人はみんな……東京か札幌に出るから……。そして人口が減ってくると近隣の集落を吸収合併して人口の維持をするから……。
 とはいえですよ、今日私が相談に行ったことで、引きこもり需要をアピールできたのではないかね?
 ないか? 2年以上待って最初の1人だからな? 本当に私が最初でいいのか? あれだろ? 市の資料とかの利用者データに2022年:当事者(1人)とか書かれるんだろ? それ私! やったぜ! テッテレー

 当事者家族しか来ないから引きこもっている本人の要望もわからないし、言えることも少なくてアドバイスも定型になりがちっておっしゃってたな。
 家族や親は自分達がいなくなった後のお金の心配とかが多くて、結局FPさんに繋ぐとかになっちゃうらしい。本人のニーズと食い違うことが多いみたい。わかる。みんな身の上話しに行こうぜ。当事者が望む支援を国には作ってもらいたい。
 でもなにに困ってるかわからないんだよな、わからないけど困ってることだけは間違いなくて混乱してなにもできないんだよな。私がそれだ。わからないけど困ってるって主張したらいい。私はそうした。

 しかし市内の引きこもりたちー、本当に存在するのー? 存在を感じられないよー!
 でも従兄弟が市内で引きこもりだからいるにはいるのか。
 ん? まだ彼は引きこもっているのか? わからんな? 親戚付き合いが希薄だからなぁ。
 従兄弟まだ引きこもってるのかなあ。子どもの頃からいろいろ厳しくされてて、高校に入るまでマックを食べたことがなかったタイプの従兄弟です。高校になっても禁止されてたけどこっそり食べたって。だよねー。
 昔はうちの兄がたまに内緒でゲーセンに連れてったりしてあげてたみたいだけど、最近はまったく交流がないのよね。元気かい? 生きてるだけで上出来だと思うぞ、従兄弟よ。髭は伸ばしているかい? 仙人みたいでイカすって兄が話していたぞ。何歳になったのかも思い出せぬ。30くらいか?
 法事とかでおじさんおばさんに会っても話題に出ないらしい。私は親戚の集まりには絶対に出ないから詳しくわからないけど。せっかくなんだからうちの親もいろいろ話して情報交換したらいいと当事者は思うのだが、やはり引きこもりの子の存在は隠したいのかな。まあ隠れてないし筒抜けであるが。
 あとは双方で親としてのスタンスが違うから、話が合わない可能性もありそう。我が家は過保護な放任主義。向こうは過保護の過干渉。どっちがマシなのかな。わからないな。足して二で割ればいいのでは。
 いずれにも当てはまるのは、相互理解と対話の少なさかもしれないね。

 さて。話を戻そう!
 お相手は私より少し年上の方と、ご年配の方。元当事者と、元当事者家族という立場の相談員さんらしい。これはありがたい。女の私からしたら、とても話しやすい布陣。
 でも逆に考えると、男性が相談に行ったときに話しにくかったりするのかな。そのへん難しいと思います。人によって性別、年代で話しやすさってすごく違うので。でもそこを解消するとなると予約制とかになってしまって行きにくくなるのかな。人員も増やす必要があるし。難しい。
 相談ですが、困りごとがわからないレベルで困っていることと、身の上話をひたすらしてました。泣きながら。名前も言わずに。匿名でオッケー。ハンカチは必須。
 お話ししながらべしょべしょ泣いたりもらい泣きしてもらったりしつつ、とにかく褒めてもらいました。相談にきたこともだし、過去のパート体験も、学生時代のことも。
 その上で、私は私に対する理想の作り直しとか、現状の理解と棚卸しとか、妥協と諦めと開き直りとか、手の届く範囲内における未来の展望とか、なんかそんなものたちがちょっと必要かな、みたいな印象らしい。
 わかる。ただひたすら焦ってるけど焦ってるだけで何にもしない怠惰の権化が私だ(こういうマイナスに持っていく自己評価が良くないみたいだけど、開き直ったら社会からフルボッコにされるので謙虚に卑屈るしかないんだねえ)。
 やれるけどやらないだけと自認しているのに行動できていないのは、やれないとイコールで繋げて処理した方がいいと言われました。すごく難しい……。同じことは前の主治医からも言われてた。先生元気かな。
 社会的な普通に憧れるのをやめて、自分の中の普通を確立させていけばいいらしいけど、それを社会は認めないじゃないか。うーん、言い訳と文句ばかり出てきてしまう。悪い癖だ。
 でもでもだってで覆ることのない、確固とした自分が必要なのだろうな。そんなん作れたら引きこもってないけど。
 周りが普通に生きている中で、自分だけが普通を諦めるってとても苦しいことだと思う。精神障害者保健福祉手帳を取ったけど、未だにそれを認められない自分がいるし。
 でも映画をいつでも1000円で見れるのは嬉しい。先日手帳届く前に普通のお値段でストレンジ先生見てきました。好き! ああー好きだよストレンジ先生……映画めちゃくちゃ興奮した……あんなん好きに決まってるじゃん……。
 誰かとこの興奮を分かち合いたい……あの最後の戦いの演出と姿大興奮しませんでしたか……私はしました……自分でも驚くほどマスクの下は笑顔でした……

 そんな感じで相談時間30分の枠を丸々丸々丸々1時間半使ってお話は終わりました。長々とすみませんでした。他に相談者さんいなかったし許されたい。椅子が腿裏の汗でびしょびしょだよ。重ねて申し訳ないです。
 内容は、先ほど書いたもの以外では依存先と相談先を増やせーってくらいのアドバイス。あとはほぼ身の上話という感じ。傾聴というやつですね。話すだけでも気持ちは軽くなるからね。
 それと、税金払ってるんだから国の支援はちゃんと使うべきって。そこに罪悪感は不要で、なんなら特典みたいな考えで使えばいい、と。
 他にも、当事者家族の気持ちを聞く機会がなかったので、とてもよい経験でした。元当事者さんの話もすごく共感できたし。同じじゃないけど似通った状態や考えの人が近くに存在しているとわかって心強くもなりました。
 あ、ハロワの相談窓口の人も親身になってくれるから行ってみたらいいって言われた。仕事に対する不安を解消できるとかできないとか。
 ハロワ、いつも混んでるけどどうなんだろう。朝、始まる前からいっぱい並んでるもん。予約取れるのかね。そもそも私はなにが不安なのかもわからない。変化と不変の両方だな。求職者カード作ったら引きこもりから無職にジョブチェンジできる?
 とりあえず相談は後回しにしていいからカードだけそのうちまた作りにいこうか。急ぎ足ではなく一歩一歩地盤を固めて自信をつけていく方が、最終的に見て近道だったりするとも言ってもらったので。
 うーん。やはりぼちぼちやっていくしかないんですね。私は病院にかかるのも脱引きこもりに取り掛かるのも、すっごく時間が経ってからになってしまっているので、余計になのかもしれません。
 病院は発症(と思われる状態)から10数年後、引きこもりに関しては断続的に20年以上続けてきて、今回はじめての相談。

 相談についてですが、また行きたいと思う反面、そのハードルが高いな、という印象があります。
 あと迷惑かけちゃうみたいな気持ちも強いですね。長居しすぎちゃったし、結局泣きながら一方的に喋っただけだし。それでいいと言われようが、なんだか申し訳なさが心に残っている。謙虚なのではなくチキンなだけ。
 あくまでここは支援ではなく相談なので、通う通わないはどちらでも正しいのだと思います。
 最終的には本人次第。すぐにでもどうにかしたかったら支援を探せばいい。ゆっくり立て直すのなら相談を繰り返せばいい。もちろん自力でやってもいい。ただしどちらも先にあるのはゴールではなく過程。ゴールなんてないことは忘れてはならない。
 ゴールを求めるとつらいです。そんなもの死ぬ瞬間にしかないのだから。

 そんな感じでした。
 行ってよかったし、行けた自分おめでとう。
 優しい人が地域にもちゃんとたくさんいるのだね。それを知れただけで実りはあったし、知らない人と会話をするという経験もできて、社会進出の一歩としては大きかったのではないかなと思います。
 やはり目標は人との繋がりを増やすことだなあ。人間関係、面倒臭がらずに続けられるようになりたいです……。



 それにしても救われたいね……。
 でも自分を救えるのは自分だけだからね……強くなろうな……筋トレしよか……

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