引きこもりと美容室

　長期引きこもっているわりに引きこもりとしての意識が低いので、髪は自分で切ったりとかはせず、渋々お外に切りに行きます。
　むしろ病院や美容室、役所の手続きに買い物くらいでしか家から出ないことが常なため、外出チャンスとして意識的にお外で切ります。ほんとにね、こういった社会に顔を出すチャンスは作っていったほうがいい気がする。孤立が加速する。
　頻度にして二年に一度で、世間的には少ないけど、引きこもりとしては多いと思う。多分。

　本人とは違って生命力に溢れた毛根を持っているため二年あれば40センチは伸びるので、ヘアドネーションをし、誰かの役に立てたかもしれない……まだ生きててもいいな……社会貢献できてる……と自己肯定感のチャージも兼ねてたり。
　とはいえ最近はドライヤーを持つのも疲れるダメっぷりで、そんなに伸ばしてらんないな……とスパンを短くしていこうと考えています。
　ドライヤー重い。髪の量が多いから、セミロングを超えると乾かすのに20分以上かかる……無理……。

　あとね、なんと言っても人と話す練習ができるので！　対人スキルを上げるために、どんな場面も利用するこの貪欲さ！　グイグイ行こうぜ！
　もちろん、今日はお休みですかとか、お仕事何してるんですかとか聞かれるのは苦痛……だったのも以前までの話。
　今はこの苦痛をそっくりそのままお返ししてやるぜ、その質問をしたことを後悔するがいい！　痛み分けじゃ！　との勢いで、毎日休日の無職引きこもりを公言して話の種にします。
　それで、えー見えないですーとか言わせちゃう。リップサービスありがとう！
　あと、うつ病の療養中とかね。言うね。隠すことじゃないからね。じゃんじゃん言っちゃう。

　もちろん困らせても嫌なので、深刻には言わず。持ちネタの一つみたいなテンションで。
　ほら、気まずいまま3時間とか嫌だし……。
　お腹痛くなったら大変だし……。
　どうせあとで笑い話として消費されるんだろうし……。

　そして意味もなく、会話の中で推しの名前を出すというミッションも課してる。
　今のところ割といけてる。推しを知ってた人はおらん。

　出来上がりはどこに行っても駄目ですね。
　1000円カットでも、そこそこのサロンでも、どこでも同じ。
　なにぶん顔が駄目なので、どんな髪型にしてもコケシ。多毛で首も短くて太いからさらにドン。でも軽くなるからいいか……みたいな。
　切るとしばらく外出したくなくなるよね、ほんと。ただでさえしたくないのに。
　大金出してこれか……みたいな……そういう美容室事情ですね。インスタとか見るとね、可愛い子ばっかりだから、自分も可愛くなれるって勘違いしちゃうんだよな……。