猫を連れて長距離の引越し
はじめに
初めて猫を連れて夫婦で福岡から神奈川まで長距離の引越しを経験しました。
引越しが決まってから、どうやって連れていったらよいかネットでさんざん調べ、悩みに悩んだ結果、わが家では最終的に新幹線での移動に決めました。
その際に獣医師監修の情報サイトや実体験のブログ・動画などを参考にさせてもらったので、わが家の体験も誰かの役に立つかもしれないと思い、今回noteにまとめることにしました。
1. 愛猫について
ここまで移動方法について悩んだのは、うちの猫の性格的な問題もあります。愛猫は6歳半の元保護猫で、保護主さんから生後3か月のときに引き取りました。当初からとても臆病な性格で、家族以外の人間が近づくことをとても警戒します。また、不安定な場所を嫌がり、抱っこは家族でもNG。病院へ行くときは、二人がかりで追い込み漁のようにネットに入れ、大声で鳴き叫ぶ中、キャリーケースで運んでいます。
これまで通院や留守番のストレスで粗相をしたり体調不良になったことがあるので、長距離移動によるストレスをとても心配していました。
2. 移動手段の候補
【候補1】飛行機
スターフライヤーのFLY WITH PET!サービスが羽田-北九州線で始まったときは、いつか引越しするときはこのサービスを利用できたらいいなと考えていました。
ところが、今年の年始に起きたJALの航空機衝突事故で貨物室に預けられていたペットが犠牲になったことで、一気に不安が高まりました。
スターフライヤーであれば機内にペットを持ち込めますが、緊急脱出の際には置いていかなければなりません。万が一そんな事態になれば、取り返しのつかないことになってしまう。
今年から全路線で前述のサービスが利用できるようになり移動時間も短くなったのですが、緊急時の不安がどうしても拭えず、飛行機は断念することにしました。
【候補2】フェリー
東京九州フェリーにペットと一緒に泊まれる部屋があると知り、こちらも検討しました。
個人的に船旅に憧れていたこともあり、とても魅力的に感じたのですが、21時間の移動中、飲まず・食わず・排泄しない可能性を考えると愛猫への負担が大きいため断念。
また、愛猫の場合は一度部屋に放ってしまったら再び捕まえるのは困難ですし、かといって長時間ずっとキャリーに閉じ込めておくわけにもいかないという問題もありました。
結局、フェリーは夫が車を運ぶために別途利用することにしました。なお、夫にフェリーの感想を聞いたところ、かなり揺れて船酔いしてしまったので、猫を乗せなくてよかったとのでした。
【候補3】車
Googleマップで検索して所要時間13時間と表示されたので、フェリーと同じ理由で諦めました。わが家の場合は、自分がペーパードライバーで運転を交代できず、夫を休ませることができません。フェリーに比べて飼い主の負担が多すぎるという事情もありました。
【候補4】新幹線
新幹線の場合、所要時間は前後の乗継ぎを含めて6時間程度。近くで愛猫の様子が見られるし、何かあった場合は途中下車も可能です。飛行機より時間はかかりますが、他の移動手段と比べて安心感があったため、新幹線で移動することに決めました。
座席については、比較的足元が広いという口コミをもとに最前席を予約しました。グリーン車も検討しましたが、フットレストがあってキャリーが置きにくいということで却下になりました。
JR車内にペットを持ち込むには、手回り品きっぷ(290円、支払いは現金のみ)が必要です。事前に窓口で確認したところ乗車する駅でキャリーを見せて購入するように説明がありましたが、出発が早朝で駅の窓口が開いていないため事前に購入させてもらいました。
3. 引越しの準備
引越しの2週間前にワクチン接種と体調チェックも兼ねて病院へ連れていきました。血液検査を受けようと思ったのですが、愛猫への負担が大きいので、現時点で特に気になる点がなければやめたほうがよいという判断になりました。検査はせずとも、病院へ行くことでストレスを与えてしまったので、もっと早くに連れて行っておけばよかったと反省。獣医さんに猫の引越しについて相談することができ、抗不安サプリのジルケーンを出してもらえたことはよかったです。
同時期に、引越先に家財が届く前に使おうと購入した猫壱のポータブルキャリーを居間に設置しました。事前に慣れてもらおうと思ったのですが、まったく気に入ってもらえなかったので、これも出すのが遅すぎたと反省。
この頃から荷造りや不用品処分を開始したこともあり、愛猫が情緒不安定になってきました。そこで引越し2-3日前に飲ませようと思っていたジルケーンを早々に与えることにしました。
出発2日前にはトイレとお気に入りの毛布を梱包して新居へ発送しました。
4. 引越し当日(移動)
朝5時半にネットに入れて、いつも使っているハードタイプのキャリーケースへ。リュックタイプも検討しましたが、人間の運びやすさより安定感を重視しました。キャリーにはおしっこシートと、その上にふわふわのマットを敷きました。それでは防水シートの意味をなさないとも思ったのですが、長時間移動を少しでも快適にしたかったのです。愛猫は人がいない場所では鳴かないので、暗くした寝室にキャリーを置き、人間は別室で急いで出かける支度をしました。いつも病院へ行く日は人間が起きてきた瞬間に気づかれてしまうので、わが家では毎回この方法をとっています。
6時半発の在来線に乗って博多駅へ。新幹線の座席の足元にキャリーを置いて上からタオルをかけました。正直、座席のスペースは、後ろの席とそこまで変わらないような気がしましたが、前の席の方が座席を倒したりできないのはよかったと思います。ただ、出入口付近なので、停車駅で人の出入りが多くて騒がしく、愛猫が落ち着かないのではないかと気になりました。
愛猫は新幹線では全く鳴かず、キャリーの中で固まって震えていました(心が痛い)。もし鳴くようならデッキに連れて行くためにも最前席が便利ではないかと考えていましたが、杞憂に終わりました。むしろ静かすぎて心配になり、ときどきキャリーを覗いたりしながら、ようやく新横浜へ到着。
降りる前にキャリーを覗き込んだら目があって一度だけ小さい声でニャアというのが聞こえてホッとしたのを覚えています。
5. 引越し当日(新居)
管理会社で鍵を受け取り、13時半ごろには新居に到着しました。新居では持ってきたポータブルケージの簡易トイレに猫砂を入れて寝室のクローゼットに設置しました。家財が3日後に届いたときの隠れ場所としてクローゼットがよさそうだったので、まずはその場所に慣れてもらおうという狙いです。
使用済みの砂を混ぜたせいか、キャリーから出したら真っ先にケージの簡易トイレへ駆け込みました。
その後、旧宅で使用していたトイレが届いたので、そちらに猫砂をセットしたら、その後はトイレに立て篭もりました。
結局、深夜になってようやく出てきて鳴きながら徘徊。明け方にはおしっこをして、おやつも少し食べてくれたので、安心しました。
おわりに
3日後、家財の搬入時はクローゼット内のトイレに籠って耐えてくれました。しばらくの間は夜鳴き徘徊に悩まされましたが、到着から2週間たった今ではかなり落ち着いて過ごしています。ストレスのせいか頭を掻きすぎて血が滲んでいましたが、その傷も治りました(耳と目の上にハゲが残ってしまいました)。
猫も人間も緊張と寝不足で疲れ果てましたが、何とか無事に引っ越しを終えることができて本当によかったです。
なお、新居では家具を変えないほうがいいという情報をもとに、できるだけ似たような配置を心掛け、ファブリック類も洗っていません。カーテンも愛猫が引っ掻いてボロボロのままで我慢しています。
念のためジルケーンを追加で購入したり、新居ではフェリウェイを焚いたりしていますが、正直これらの効果はわかりませんでした。普段フードやおやつに薬を混ぜるとすぐに気づいて拒否もしくは取り除いてしまうのですが、ジルケーンに関してはまったく気にせず食べてくれたのは助かりました。
今回初めて長距離移動してみて、いつも一緒にいる愛猫が非常事態にどういった行動をとるかは本当に読めないなと感じました。結局、新調したポータブルケージだけでなく、旧宅から送った愛用の毛布も一切使ってくれませんでした。何が正解・失敗だったのかは本猫に聞いてみないとわかりませんが、様々なケースを想定して、できる限り準備しておくしかないのかなと思います。
これから猫を連れて長距離の引越しをされる方にとって少しでも参考になれば幸いです。